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ウンベラータ水耕栽培のやり方!枯れる原因と植え替えのコツ

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ウンベラータ水耕栽培のやり方!枯れる原因と植え替えのコツ

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こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。

ハート型の大きな葉と、独特の樹形が魅力的なフィカス・ウンベラータ。「おしゃれなカフェにあるようなこの木を、自宅のリビングにも飾りたい!」そう思って検索してみると、土を使わない「水耕栽培」や「ハイドロカルチャー」という育て方があることを知った方も多いのではないでしょうか。

「土がないから虫がわかないし、清潔そう!」 そんな期待に胸を膨らませる一方で、 「でも、水だけで本当にあんな大きな木が育つの?」 「土から植え替えたら、すぐに枯れてしまうんじゃないか…」 「根腐れやカビの対策って、具体的に何をすればいいの?」

そんな不安や疑問も同時に湧いてきますよね。実は私自身も、初めてウンベラータを水耕栽培にしたときは、毎日ドキドキしながら根っこの様子を観察していました。そして、いくつもの失敗を重ねてきました。葉っぱを全部落としてしまったり、水が腐って異臭騒ぎになったり…。

でも、安心してください。植物の生理学的なメカニズムや、水耕栽培特有の環境制御のコツさえ掴んでしまえば、ウンベラータは水だけの環境でも元気に、そして美しく育てることができるんです。

この記事では、私が実際に経験し、学んできた知識をフル動員して、ウンベラータの水耕栽培を成功させるための「全ノウハウ」を余すことなくお伝えします。

ポイント

  • 土を使わないハイドロカルチャーへの安全な植え替え手順と根洗いの重要性
  • 剪定した枝を無駄にしない!水挿しで発根させて増やすための生理学的テクニック
  • 根腐れやカビを未然に防ぐための、酸素供給と水質管理のメカニズム
  • 冬の寒さから守り、枯らさずに春を迎えるための温度管理と環境制御術

ウンベラータの水耕栽培の始め方と基本の育て方

ウンベラータの水耕栽培の始め方と基本の育て方

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「よし、やってみよう!」と思い立ったら吉日。ですが、いきなり鉢から抜く前に、まずはウンベラータが水耕栽培という環境でどのように生きるのか、その仕組みを知っておくことが成功への近道です。

土を使わない栽培方法は、インテリア性が高く非常に魅力的ですが、植物にとっては「生きる世界が180度変わる」ほどの大きな変化でもあります。

ここでは、失敗しないための準備や、植物の生理機能に基づいた「理にかなった導入方法」、そして日々のケアにおける重要なポイントを、私の経験とリサーチデータを交えて徹底的に解説していきますね。

水耕栽培にするメリットとデメリット

まず最初に、ウンベラータを水耕栽培(ハイドロカルチャー)にするメリットとデメリットを、少し専門的な視点も含めて深掘りしておきましょう。「おしゃれだから」という理由だけで始めてしまうと、後で管理の大変さに気づいたり、植物の状態変化に戸惑ったりすることになります。

まず、私たちが一般的に「水耕栽培」と呼んでいるものには、大きく分けて2つのスタイルがあります。一つは、花瓶などに水を張って根を直接浸す「純粋水耕(Water Culture)」

もう一つは、レカトン(ハイドロボール)などの人工培地を使って土の代わりに体を支える「ハイドロカルチャー(Hydroculture)」です。インテリアグリーンとして楽しむ場合は、後者のハイドロカルチャーが一般的ですね。

清潔さと管理のしやすさが最大のメリット

  • 圧倒的な清潔感(バイオフィリックデザイン) 土を使わないので、テーブルの上やキッチン周り、寝室にも抵抗なく置けます。土埃が舞うこともなく、アレルギーが気になる方にも優しい環境を作れます。これは「バイオフィリックデザイン(人間は本能的に自然を求めるという概念)」を生活に取り入れる上で、非常に大きな利点です。
  • 害虫リスクの低減 コバエ(キノコバエなど)は、土に含まれる有機物を餌にして繁殖します。無機質のハイドロボールや水だけの環境では、彼らは生きていけません。「部屋に虫が出るのだけは絶対に無理!」という方にとっては、これ以上ない解決策になります。
  • 水やりの可視化 透明なガラス容器を使えば、水の残量が一目瞭然です。「土の表面が乾いたら…」という曖昧な判断が必要なく、水位計や目視で機械的に管理できるので、水やりの失敗が少なくなります。

生理的なストレスと環境への脆弱性

一方で、植物の生理学的な観点から見ると、水耕栽培には無視できないデメリットやリスクも存在します。

デメリットとリスク

  • 「水生根」への転換エネルギー: これが一番のポイントです。土の中で育った根(土生根)と、水中で育つ根(水生根)は、実は構造が違います。水生根は、水中の少ない酸素を効率よく取り込むために、通気組織(アエレンキマ)を発達させています。土栽培から移行すると、植物は一度、既存の根の機能を停止させ、新しい環境に適応した根を作り直す必要があります。この「作り直し」には多大なエネルギーが必要で、その間は成長が止まったり、葉を落としたりすることがあります。
  • 環境変化への緩衝能力(バッファー)が低い: 土は偉大で、急激な温度変化や水質の変化を和らげるクッションの役割を果たしてくれます。しかし、水やハイドロボールにはその力がほとんどありません。室温が下がれば水温もダイレクトに下がり、直射日光が当たればお湯になります。この環境変化の激しさが、ウンベラータにとっては大きなストレスになるんです。
  • 溶存酸素への依存: 根も呼吸をしています。土の中には空気がたくさん含まれていますが、水中には限られた酸素(溶存酸素)しかありません。水が古くなったり温度が上がったりして酸素が減ると、すぐに酸欠(根腐れ)を起こしてしまいます。

 

このように、水耕栽培は「人間にとっては管理しやすく快適」ですが、「植物にとっては過酷な環境になり得る」という側面を持っています。これを理解した上で、植物が快適に過ごせるようサポートしてあげるのが、私たちの腕の見せ所ですね。

土から水耕栽培へ植え替えする手順

土から水耕栽培へ植え替えする手順

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それでは、園芸店で購入した土植えのウンベラータを、ハイドロカルチャーへ移行させる具体的な手順を解説します。この作業は、単なる「植え替え」ではなく、植物にとっては生存環境が激変する「外科手術」のようなものです。成功の鍵は、いかに「雑菌のリスクを排除し、根の負担を減らすか」にかかっています。

Step 1:土の完全除去(根洗い)

まず、鉢から株を抜き出し、根についている土を落とします。ここで最も重要なのが、「土の有機物を完全に洗い流すこと」です。

土の中に含まれる腐葉土や堆肥などの有機物は、水の中に入ると腐敗し、雑菌の温床になります。これが根腐れの最大の原因です。

  1. まずは手で優しく土をほぐし、落とせるだけ落とします。
  2. 次に、バケツに水を張り、その中で根を揺するようにして洗います。
  3. 細かい根の隙間に入り込んだ土は、弱い水流のシャワーなどを使いながら、徹底的に洗い流してください。「まあこれくらいでいいか」という妥協が、後の失敗を招きます。根が白く見えるくらいまで、綺麗に洗ってあげましょう。

Step 2:根の外科的整理と剪定

土を洗い流したら、根の状態を観察してください。そして、ここで思い切った「根の整理」を行います。

土栽培で機能していた細かい根(毛細根)の多くは、水耕栽培の環境ではうまく機能せず、いずれ腐って落ちてしまいます。腐った根は水を汚す原因になるため、植え替えの段階であらかじめ整理しておくのがプロのコツです。

  • 黒ずんでいる古い根
  • 長く伸びすぎている根
  • 傷んでブヨブヨしている根

これらは清潔なハサミでカットします。全体の根の量を3分の1〜半分程度まで減らしても構いません。むしろ、根を減らすことで、植物は「吸水能力が落ちた」と判断し、蒸散(葉からの水分放出)を抑えようとします。これが、植え替え直後の脱水症状を防ぐことにも繋がるんです。

「根を切るなんて怖い!」という方もいるかもしれませんが、正しい時期と方法で行えば、植物は驚くほどの再生能力を見せてくれます。詳しい根の切り方や見極め方については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

ウンベラータの植え替えで根を切る方法!時期と失敗しないコツ

Step 3:定植と初期管理

根の準備ができたら、いよいよ植え付けです。

  1. 容器の準備穴の開いていないガラス容器などを用意します。
  2. 根腐れ防止剤の投入容器の底に、「ゼオライト(珪酸塩白土)」や「ミリオンA」などの根腐れ防止剤を敷き詰めます。これらは水中のアンモニアなどの不純物を吸着し、水を浄化してくれる重要な役割を果たします。
  3. 植え込みハイドロボール(レカトン)などの植え込み材を少し入れ、その上にウンベラータを配置します。根を広げるように置き、周りからハイドロボールを入れて固定します。割り箸などで突きながら、根の隙間にもしっかり粒が入るようにすると安定します。
  4. 水やり最後に、容器の高さの5分の1程度まで水を入れます。

植え替え直後は、植物にとって大きなダメージを受けている状態です。いきなり直射日光に当てたり、肥料を与えたりするのは厳禁です。1〜2週間は、風通しの良い明るい日陰(レースカーテン越しからも少し離れた場所)で、静かに休ませてあげてください。

挿し木で増やす水耕栽培のやり方

挿し木で増やす水耕栽培のやり方

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「今あるウンベラータが大きくなりすぎたから剪定したい。でも、切った枝を捨てるのは可哀想…」 そんな時は、その枝を使って新しい株を増やす「水挿し(みずさし)」に挑戦してみましょう。実は、土に挿すよりも水挿しの方が、発根のプロセスを目で確認できるため、成功率が高いんです。

挿し穂の選定と「ラテックス」の処理

成功の第一歩は、良い「挿し穂(さしほ)」を選ぶことから始まります。

  • 枝の選び方先端に成長点があり、茎が緑色〜少し茶色くなりかけた「半木質化」した枝がベストです。完全に茶色く木のようになった古い枝や、逆に柔らかすぎる新芽の部分は、発根するためのエネルギーが不足していたり、腐りやすかったりします。
  • 長さ15cm〜20cm程度の長さにカットします。

そして、フィカス属特有の注意点があります。枝を切ると、切り口から白い樹液が出てきますよね。これは「ラテックス」と呼ばれるゴムの成分です。これが切り口で固まると、カサブタのようになって導管(水の通り道)を塞いでしまい、水が吸えなくなってしまいます。

重要テクニック 切ったらすぐに、流水で切り口の白い樹液を完全に洗い流してください。樹液が止まるまで、しっかりと洗うことが重要です。また、この樹液は肌に触れるとかぶれることがあるので、手袋をするか、触れないように注意しましょう。

発根を促すホルモン制御と蒸散のバランス

植物が根を出すためには、「オーキシン」という植物ホルモンが切り口付近に蓄積する必要があります。また、根がない状態では水を吸う力が極端に弱いため、葉からの水分蒸発(蒸散)を抑える必要があります。

  • 葉の調整枝に残す葉は、先端の1〜2枚だけにします。さらに、その葉が大きい場合は、ハサミで半分にカットして葉の面積を減らします。「可哀想」と思うかもしれませんが、これによって水分の蒸発が抑えられ、枝に残った体力を発根に集中させることができるのです。
  • 遮光による発根促進根は本来、暗い土の中で育つものです。水挿しの容器の周りをアルミホイルや黒い紙で覆い、切り口付近を暗くしてあげると、ホルモンの働きが活性化し、発根率が上がることが知られています。

管理のタイムライン

水挿しを開始したら、水は毎日交換します。特に最初のうちは樹液が滲み出て水を汚しやすいので、こまめな交換が必要です。

早ければ2週間ほどで、切り口付近に白いブツブツした塊(カルス:癒傷組織)ができ始めます。これは根が出る前兆です。そこからさらに数日で、白い根がニョキニョキと伸びてきます。根が5cm〜10cmほど伸びて、根の量が増えてきたら、ハイドロカルチャーや土への植え付けが可能になります。

水挿しをしているのに、なかなか根が出ない、あるいは枝がシワシワになってきた…という場合は、何らかの原因で給水がうまくいっていません。以下の記事で、枝の選び方や復活のための裏技を紹介していますので、諦める前にチェックしてみてください。

ウンベラータの挿し木は枝だけで成功する?上下の判別と復活のコツ

ハイドロカルチャーで大きく育てるコツ

「水耕栽培のウンベラータは、ひょろひょろとして大きくならない」 そんなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。確かに、豊富な栄養がある土栽培に比べれば成長スピードは緩やかです。

しかし、適切な環境制御を行えば、天井に届くような立派な株に育てることも不可能ではありません。ポイントは、植物のエネルギー源である「光合成」の最大化と、限られた根圏での「栄養管理」です。

光合成速度と水温上昇のジレンマ

ウンベラータは熱帯原産で、本能的に強い光を求めます。光合成によって作られる炭水化物が、幹を太くし、新しい葉を展開させる材料になるからです。しかし、ここで水耕栽培特有のジレンマが発生します。

「光を当てたいが、当てると水がお湯になる」

透明なガラス容器に直射日光が当たると、レンズ効果も相まって水温が急上昇します。水温が30℃を超えると、水中の溶存酸素濃度が急激に低下し、根が窒息してしまいます。また、高温は根の細胞を直接傷つけます。

この問題を解決する最適解が、「レースカーテン越しの柔らかい光(散乱光)」です。直射日光の熱エネルギーをカットしつつ、光合成に必要な光量子量(PPFD)を確保できる場所。ここがウンベラータの特等席です。

もし光量が足りない場合は、植物育成用のLEDライトを活用するのも非常に有効です。LEDなら熱をあまり出さずに、強光を当てることができます。

イオン交換機能を利用した高度な栄養管理

水とハイドロボールだけでは、植物に必要な栄養素(チッ素、リン酸、カリウムなど)が圧倒的に不足します。そこで活躍するのが、ハイドロカルチャー専用の資材です。

特におすすめなのが、「イオン交換樹脂栄養剤」です。これは、植物の根から排出される老廃物(水素イオンなど)を樹脂が吸着し、その代わりに保持していた栄養イオンを放出するという、化学的なメカニズムを利用した肥料です。

これには2つの大きなメリットがあります。

  1. 根腐れ防止根から出る老廃物が蓄積するとpHが変わり、根腐れの原因になりますが、それを吸着除去してくれます。
  2. 必要な分だけ栄養供給植物が必要として根酸を出した分だけ栄養が放出されるため、肥料焼けのリスクが低いです。

容器の底にパラパラと撒いておくだけで、3ヶ月〜半年程度効果が持続します。大きく育てたいなら、単なる液体肥料だけでなく、こうした機能性資材を併用することをお勧めします。

適切な水やり頻度と肥料の与え方

日々のメンテナンスにおいて、最も質問が多いのが水やりです。「毎日あげなくていい」というのが水耕栽培の売りですが、具体的にいつあげればいいのか迷いますよね。ここでは、根の生理機能に基づいた正しい水やりのルールを解説します。

水位の物理学と「呼吸スペース」

水を入れる量は、「容器の深さの5分の1から4分の1程度」が鉄則です。決して、上までなみなみと注いではいけません。

なぜなら、植物の根は、水から養分を吸うだけでなく、酸素を取り込んで呼吸をしているからです。根の一部を空気に晒しておくことで、気相(空気中)から直接酸素を取り込むことができます。

これを「気中根」としての機能を持たせると言います。全体を水没させると、水中にあるわずかな酸素しか利用できなくなり、酸欠のリスクが跳ね上がります。

「完全換水」の重要性

水やりのタイミングは、「容器の中の水が完全になくなってから」です。水がなくなっても、ハイドロボールが湿っていれば植物は水分を吸収できます。むしろ、一度水を切らして空気を根の奥まで通すことが、根を強くします。

そして、水を足すときは「継ぎ足し」ではなく、「入れ替え」を意識してください。古い水には、植物の排泄物や濃縮されたミネラル(塩類)が残っています。できれば、容器を傾けて古い水を捨てきってから、新しい水を入れてください。

月に1回程度は、容器ごと洗面所に持っていき、上から水を流して容器内の空気を完全に入れ替えるようにジャブジャブと洗うと、老廃物が洗い流されてリフレッシュできます。

液体肥料の使い分け

イオン交換樹脂栄養剤を使っていない場合や、成長期のブーストとして液体肥料を使う場合は、必ず「水耕栽培専用」のものを選んでください(ハイポニカや微粉ハイポネックスなど)。

土壌用の有機肥料などは、微生物による分解を前提としているものが多く、水耕栽培で使うと水が腐敗する原因になります。また、成分が強すぎることもあります。使用する際は、ボトルの表記よりも「少し薄め(2倍の薄さなど)」から始めるのが安全です。

ウンベラータの水耕栽培で枯れるのを防ぐ管理術

ウンベラータの水耕栽培で枯れるのを防ぐ管理術

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順調に育っていたはずなのに、ある日突然、葉が黄色くなったり、元気がなくなったり…。生き物を育てている以上、トラブルはつきものです。しかし、植物が出す「SOSサイン」を早期に発見し、適切な処置を施せば、多くの場合は回復可能です。

ここでは、よくあるトラブルの原因と、その深層にあるメカニズム、そして具体的なリカバリー方法を解説します。

根腐れの原因と効果的な対策

根腐れの原因と効果的な対策

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水耕栽培における死因の第1位は、圧倒的に「根腐れ(Root Rot)」です。これは、ピシウム菌やフザリウム菌などの嫌気性菌(酸素を嫌う菌)が繁殖し、根の組織を破壊することで起こります。

早期発見のための3つのシグナル

  1. 嗅覚による診断 一番確実なサインです。水やりや換水の際、容器から「ドブのような」「卵が腐ったような(硫化水素系)」ツンとする異臭がしたら、根腐れが進行しています。健康な状態なら、土の匂いか、無臭のはずです。
  2. 視覚による診断 透明な容器であれば、根の色を見てください。白やクリーム色なら健康ですが、茶色や黒に変色し、溶けたようになっている場合は危険です。また、水が白く濁り、いくら変えてもすぐに濁る場合も、バクテリアが爆発的に増殖しています。
  3. 触診による診断 幹の根元(地際)を触ってみてください。ここがブヨブヨと柔らかくなっていたら、腐敗が幹まで進行している重篤な状態です。

外科的処置とリカバリー

もし根腐れを確信したら、躊躇している時間はありません。すぐに鉢から抜き出し、手術を行います。

  • 腐敗部分の切除黒く変色し、ヌルヌルしている根は全て切り落とします。手で引っ張ると、スポッと抜け落ちて糸のような芯だけ残ることがありますが、これも機能していないので切ります。硬くて白い根だけを残してください。
  • 洗浄と殺菌残った健康な根と、容器、ハイドロボールを徹底的に洗います。ハイドロボールは煮沸消毒するか、新しいものに交換するのが無難です。
  • 養生植え直し後は、肥料を一切与えず、水だけで管理します。「メネデール」などの活力剤(肥料成分を含まないもの)を水に混ぜると、発根を助け、水を腐りにくくする効果があるのでおすすめです。

葉が落ちたり枯れる時の復活方法

「朝起きたら、床に葉がたくさん落ちていた…」 これは心臓に悪い光景ですが、ウンベラータは環境ストレスを感じると、自ら葉を落として身を守ろうとする性質(落葉性)があります。

原因の切り分け

葉が落ちる原因は主に3つです。

  1. 光線不足(日照不足) 室内の暗い場所に置いていると、光合成ができず、葉を維持するエネルギーが足りなくなります。この場合、葉は黄色くなってから落ちることが多いです。対策は、より明るい窓際へ移動することです。
  2. 水分ストレス(水切れ・過湿) 根腐れで水が吸えない場合も、逆に水切れで乾燥しすぎた場合も、植物体内の水分収支が合わなくなり、葉を落として蒸散を防ごうとします。葉がパリパリに乾いて落ちるなら水切れ、湿ったまま黒くなって落ちるなら根腐れや冷害の可能性があります。
  3. 環境変化のショック 買ってきたばかり、あるいは秋から冬への急激な温度変化など。これは一時的な生理現象であることも多いので、環境(温度・光)を安定させて様子を見ます。

「葉水」による空中湿度の補正

葉が落ちたり、シワシワになったりした時の応急処置として最も有効なのが「葉水(はみず)」です。

根からの吸水が弱っている時でも、葉や幹の表面から直接水分を補給してあげることができます。霧吹きで、葉の表裏、そして幹にもたっぷりと水をかけてください。

これにより、植物周辺の空中湿度(VPD:飽差)が適正に保たれ、無駄な蒸散を防ぎ、植物の体力を温存することができます。毎日、朝と夕方に行うのが理想です。

気になるカビや虫の発生を防ぐには

清潔なはずの水耕栽培でも、悩まされるのが「藻(も)」と「カビ」です。

藻の発生メカニズムと遮光

ガラス容器の内側に緑色のコケのようなものが付着するのは「藻」です。藻は植物プランクトンの一種なので、「水 + 栄養 + 光」があれば必ず発生します。ウンベラータに光を当てれば当てるほど、藻も元気になってしまうのです。

藻自体は植物に直接害を与えませんが、見た目が悪いのと、死滅した時に腐敗して水質を悪化させるのが問題です。

対策 一番の対策は「光を遮断すること」です。インテリア性を損なわない程度に、鉢カバーを使ったり、麻布を巻いたりして、水の部分に直射日光が当たらないように工夫してください。また、藻が発生してしまったら、容器を洗うしかありません。

カビとサーキュレーション

ハイドロボールの表面に、白い綿のようなカビが生えることがあります。これは、室内の通気性が悪く、湿気がこもっている証拠です。特に梅雨時期や冬の結露する窓際などで発生しやすいです。

対策 風通しを良くすることが全てです。サーキュレーターや扇風機を使って、部屋の空気を動かしてください。カビが生えてしまった部分は、スプーンなどで取り除き、ハイドロボールを洗えば大丈夫です。植物自体が元気なら、表面のカビが直接枯死に繋がることは稀です。

冬の管理と元気がない時の対処法

冬の管理と元気がない時の対処法

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熱帯アフリカ生まれのウンベラータにとって、日本の冬は生存をかけた戦いです。特に水耕栽培の場合、土という断熱材がないため、「水温の低下 = 根の死」に直結します。

「10℃」の防衛ラインと断熱対策

ウンベラータは、気温が10℃を下回ると成長を止め、休眠状態に入ります。さらに5℃を下回ると、細胞膜が破壊され(相転移)、回復不能なダメージを受けます。

冬の管理で最も重要なのは、「置き場所」と「時間帯」です。

  • 窓際から離す昼間は暖かい窓際も、夜になると放射冷却で急激に冷え込みます(コールドドラフト)。夕方になったら、部屋の中央や、少し高い場所(冷気は下に溜まるため)に移動させてください。
  • 断熱材の利用容器の下に、コルクマットや発泡スチロール、ダンボールなどを敷くだけでも、床からの冷気を遮断し、水温の低下を和らげる効果があります。

冬の水やりは「断水気味」に

休眠中のウンベラータは、ほとんど水を吸いません。この時期に夏と同じ感覚で水をたっぷり入れてしまうと、冷たい水に根が浸かり続け、あっという間に根腐れします。

冬は、容器の水が完全になくなってから、さらに数日〜1週間ほど待ってから給水するくらいの「乾燥気味」管理で十分です。水を与える際も、冷たい水道水をそのまま使わず、少し汲み置きしてお湯を足し、「ぬるま湯(20〜25℃程度)」にしてから与えると、根へのショックを減らせます。

季節置き場所水やり頻度肥料
春 (4-5月)レースカーテン越しの窓際水がなくなったら薄めに開始
夏 (6-9月)直射日光を避けた明るい場所水切れに注意し早めに規定量を与える
秋 (10-11月)日当たりの良い場所徐々に間隔を空ける停止する
冬 (12-3月)部屋の中央(夜間)、窓際(昼間)乾いてから数日後(控えめに)与えない

冬の寒さ対策や、温度管理のさらに詳しいテクニックについては、こちらの記事で徹底解説しています。初めての冬越しが不安な方は必読です。

ウンベラータの育て方ガイド!室内の冬越しや剪定のコツも徹底解説

ウンベラータの水耕栽培で緑のある生活を

ウンベラータの水耕栽培は、土栽培とは違った難しさやコツが必要ですが、その分、透明なガラス越しに白く美しい根が伸びていく様子を観察できたり、お気に入りの器と合わせてインテリアコーディネートを楽しめたりと、他にはない魅力がたくさんあります。

「酸素をあげる(水位管理)」「水を清潔に保つ(全換水)」「寒さから守る(温度管理)」。

この3つのポイントさえ押さえておけば、決して難しいものではありません。植物の生理機能に寄り添った管理をすることで、ウンベラータは無機質な都市生活空間において、瑞々しい生命力と安らぎをもたらす最高のパートナーとなってくれるはずです。

ぜひ、あなたのお部屋にも、清潔で美しいウンベラータを迎えて、緑のある癒しの生活(グリーンライフ)を楽しんでみてくださいね。

  • この記事を書いた人
パキラを持つ運営者

まさび

『観葉植物のある暮らしスタイル』管理人のまさびです。失敗から学んだ実体験と深い知識で、観葉植物の育て方(特にパキラ)を優しく解説。あなたのグリーンライフを応援します。

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