ウンベラータ

失敗しないウンベラータの曲げ方!最適な時期と道具を徹底解説

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失敗しないウンベラータの曲げ方!最適な時期と道具を徹底解説

観葉スタイル・イメージ

こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。

ゴムの木の仲間の中でも、ひときわ大きなハート型の葉が魅力的なウンベラータ。インテリアショップやカフェで見かけるような、幹が優雅な螺旋を描くおしゃれな樹形に憧れる方は本当に多いですよね。

私も最初は、真っ直ぐに伸びるだけの自分のウンベラータを見て、「もっと個性的な形にしてあげたいな」とため息をついていた一人でした。

でも、いざ自分で「ウンベラータ 曲げ方」について調べて挑戦しようとすると、次から次へと不安が湧いてきませんか? 「いつやるのが正解なの? 時期を間違えて枯らしたくない…」 「専用の高い道具が必要? 100均の針金や家にある紐じゃダメなの?」 「もし力を入れすぎて、バキッと折ってしまったらどうしよう…」

その気持ち、痛いほどよく分かります。大切な家族のような植物に、自分の手で傷をつけてしまうかもしれないという恐怖心は、誰にでもあるものです。ですが、安心してください。

正しい植物生理学の知識と、ちょっとしたプロのコツさえ掴んでしまえば、ウンベラータの曲げ木は決して難しい作業ではありません。

実は、支柱を使ってテコの原理を利用したり、作業前の水やりをコントロールして茎の柔軟性を高めたりするだけで、驚くほどスムーズに、そして安全に理想のフォルムを作ることができるんです。

この記事では、私が長年の栽培経験の中で培ってきたノウハウと、失敗から学んだ教訓をすべて詰め込みました。

この記事でわかること

ポイント

  • ウンベラータの幹を絶対に折らずに曲げるための、植物生理学に基づいた最適な時期と気候条件
  • 100均でも十分に揃う道具の賢い選び方と、植物の成長を妨げないワイヤーの素材・種類の見極め方
  • 紐や支柱を使ってリスクを最小限に抑えながら、美しい曲線を作るための具体的な手順と力学的テクニック
  • 作業後のデリケートな時期の管理方法と、一生残る傷跡を防ぐための針金除去のベストタイミング

失敗しないウンベラータの曲げ方と時期

失敗しないウンベラータの曲げ方と時期

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ウンベラータを理想の形に仕立てるためには、ただ闇雲に力を加えて曲げれば良いというわけではありません。それは人間で言えば、準備運動なしに無理やり体を捻るようなもの。怪我をして当然ですよね。

植物には植物の都合があります。彼らの体の中で起きている「生理的なメカニズム」を深く理解し、彼らが本来持っている「環境に合わせて変わろうとする力」を最大限に引き出してあげることこそが、失敗しないための最短ルートです。

ここでは、リスクを極限まで減らすための、最適なタイミングと事前の準備について、どこめでも詳しく解説していきます。

ウンベラータを曲げる最適な時期

ウンベラータを曲げる最適な時期

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ウンベラータの曲げ加工において、成功率を9割以上左右すると言っても過言ではない最も重要な要素、それが「時期」です。結論から申し上げますと、5月下旬から9月中旬までの「成長期」が絶対的なベストシーズンとなります。

なぜ「5月〜6月」が最強なのか?

特に私が強くおすすめしたいのは、最低気温が安定して20℃を超え始めた「5月下旬から6月」のタイミングです。この時期、ウンベラータの内部では劇的な変化が起きています。冬の長い休眠から目覚め、根が水分を吸い上げ始め、細胞分裂が爆発的に活発になっているのです。

植物の茎、特に新しい緑色の枝は、「一次細胞壁」という柔軟な組織でできています。春の成長期には、この組織がみずみずしく、非常に高い可塑性(形を変えられる性質)を持っています。

人間で言えば、お風呂上がりの体が柔らかくなっている状態や、運動前のウォーミングアップが完了して体が温まっている状態に近いですね。この時期に曲げを行うことで、細胞を破壊することなく、スムーズに新しい形へと誘導することができるのです。

真夏の成長力を利用して「固定」する

また、5月〜6月に曲げ作業を行うことには、もう一つの大きな戦略的メリットがあります。それは、直後に訪れる「日本の高温多湿な夏(7月〜8月)」のエネルギーを利用できることです。

曲げた枝がその形で固定されるためには、植物が新しい組織(あて材といいます)を作り、固める必要があります。これには膨大なエネルギーが必要です。初夏に曲げておけば、夏の旺盛な成長力をすべて「形の固定」に充てることができ、早ければ約3ヶ月という短期間でワイヤーを外せる状態になります。

【危険】絶対に避けるべき時期(11月〜3月)

逆に、秋から冬にかけての時期は「絶対に」避けてください。気温が15℃を下回ると、ウンベラータは休眠状態に入ります。この時、茎は「リグニン化(木質化)」が進み、まるで乾燥した割り箸のように硬く、脆くなっています。

また、冬の間は樹液の流動が止まっているため、万が一枝が裂けてしまっても、修復するための樹液が出てこず、傷口から細菌が入って枯れ込んでしまうリスクが非常に高くなります。

「冬の間に部屋で暇だから…」という理由で手を出して、大切な株をダメにしてしまった方を何人も見てきました。冬は、じっと春を待つのが正解です。

ちなみに、もしお住まいの地域が北海道や東北地方などの寒冷地である場合は、このカレンダーを少し後ろにずらして考えてください。あくまで「室温が安定して20℃以上あること」がGOサインの目安です。

100均でも代用可能な道具の選び方

「曲げ木に挑戦したいけど、盆栽用の高価な道具や専門的な資材を揃えるのはハードルが高い…」 そう思って二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。ですが、安心してください。

実は、身近な場所で手に入る道具でも十分に代用は可能です。最近の100均(100円ショップ)の園芸コーナーやDIYコーナーはプロも驚くほど充実しており、初心者の方が最初に試すキットとしては十分なアイテムが揃っています。

100均で揃える「三種の神器」

まず、これだけは最低限揃えておきたいアイテムをご紹介します。

アイテム名選び方のポイント100均での入手性
アルミワイヤー必ず「アルミ製」を選ぶこと。色は黒や茶色が目立たずおすすめ。太さは2mm〜3mmが一般的。◎(園芸・工作売場)
ラジオペンチワイヤーを切る「ニッパー機能」がついているもの。先端が細いと作業しやすい。◎(工具売場)
麻紐・ビニール紐「牽引法」で使う場合に必要。太めで柔らかいものが植物に優しい。◎(園芸・梱包売場)

100均ワイヤーの注意点と工夫

ただし、100均のワイヤーを使う際には一つだけ注意点があります。それは「太さ(ゲージ)のバリエーションが少ないこと」です。多くの店舗では、扱いやすい1mm〜2mm程度の細いワイヤーが主流で、太い枝を曲げるための3mm以上の太いワイヤーが置いていないことがあります。

細すぎるワイヤーで無理に太い枝を曲げようとしても、枝の反発力(スプリングバック)に負けてしまい、全く曲がらないか、すぐに元の形に戻ってしまいます。そんな時は、諦める必要はありません。

「細いワイヤーを2本〜3本束ねてねじり、1本の太いロープのようにして使う」という裏技を使いましょう。見た目は少しゴツくなりますが、強度は格段に上がり、太い枝もしっかりホールドできるようになります。

あると便利な「保護材」の代用品

ワイヤーが直接幹に当たると傷がつくのを防ぐ「保護テープ」や「ラフィア」という資材がありますが、これも家にあるもので代用できます。

例えば、「使い古したストッキング」「Tシャツを切った布切れ」、あるいは「マスキングテープ(粘着面を外側にして巻く)」などが優秀です。特にストッキングは伸縮性があり、幹の成長を妨げないので、プロの愛好家でも愛用者がいるほどなんですよ。

※また、観葉植物を安全に育てるための便利な100均道具を色々紹介している記事もありますので参考にしてみてください。→ 観葉植物のいたずら防止法!100均の活用や赤ちゃんとペット対策も

失敗しないワイヤーの太さと種類

失敗しないワイヤーの太さと種類

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道具の話が出たところで、最も失敗が多い「ワイヤー選び」について、もう少し深掘りしておきましょう。ここで選択を誤ると、幹に深い傷跡を残してしまったり、逆に全く曲がらなかったりと、取り返しのつかない失敗に繋がります。

素材は「アルミ」一択!銅線はなぜNG?

まず素材ですが、ウンベラータに関しては必ず「アルミ線(アルミワイヤー)」を選んでください。 盆栽の世界では「銅線」もよく使われます。銅は「加工硬化」という性質があり、曲げた後にカチコチに硬くなるため、松や柏などの強い樹木を固定するには最適です。

しかし、ウンベラータのような成長の早い観葉植物に銅線を使うのは非常に危険です。銅線は一度硬くなると微調整が効かず、成長して太くなった幹に容赦なく食い込んでいきます(これを「噛む」と言います)。

結果、ワイヤーを外す時に樹皮ごと剥がれてしまったり、深い溝のような傷跡が一生残ってしまったりするのです。

一方、アルミ線は柔らかく、何度でも曲げ直しができ、成長に合わせて少し緩めるなどのメンテナンスも容易です。色は、樹皮と同化する「ブロンズ色(茶色)」や「黒色」にアルマイト加工されたものが、仕上がりが美しくおすすめです。

太さの黄金比率「1/3ルール」

次に迷うのが「どの太さのワイヤーを買えばいいの?」という問題です。これには明確な物理学的な基準があります。それは「曲げたい枝の太さに対して、1/3〜1/2の太さのワイヤーを選ぶ」というルールです。

具体的な選び方の目安
  • 枝の直径が 5mm以下(爪楊枝〜鉛筆くらい) ワイヤー径 1.5mm 〜 2.0mm 新芽の向きを変えたり、葉っぱの角度を調整するのに適しています。
  • 枝の直径が 5mm 〜 10mm(小指くらい) ワイヤー径 2.5mm 〜 3.0mm その年に伸びた若い緑色の枝を曲げるのに最適です。
  • 枝の直径が 10mm 〜 20mm(親指くらい) ワイヤー径 3.5mm 〜 4.0mm 茶色く木質化し始めた主幹を曲げるには、このクラスの太さが必要です。これ以上太い場合は、ワイヤーを2本並行して巻く「二重巻き」で対応します。

もし手持ちのワイヤーで強度が足りるか不安な場合は、実際に枝に当ててみて、軽く曲げてみてください。ワイヤーが枝の反発で「びよん」と戻ってくるようなら太さ不足です。その場合は、迷わず番手(太さ)を上げるか、ダブルで巻くようにしましょう。

おしゃれなS字や螺旋にするコツ

道具と時期が分かったら、次はデザインの話です。せっかく曲げるなら、ただぐにゃりと曲げるだけでなく、インテリア雑誌に出てくるようなおしゃれで洗練された樹形を目指したいですよね。

美しい「S字(S-curve)」や「螺旋(Spiral)」を作るための最大のコツ、それは「3次元(3D)でイメージすること」です。

「お辞儀」の角度を取り入れる

初心者が陥りやすい最大のミスは、正面から見た時の「左右のカーブ」だけを意識してしまうことです。これだと、横から見た時にペラペラの平面的で、なんだか不自然な印象になってしまいます。

自然界で風雪に耐えて育った樹木のように、力強く美しいフォルムを作るには、左右の動き(X軸)だけでなく、「手前」や「奥」への動き(Z軸)を取り入れることが不可欠です。

特におすすめなのが、「トップ(頂点)を少し手前にお辞儀させる」というテクニック。こうすることで、見る人に対して植物が迫ってくるような迫力と、包み込むような安定感が生まれます。

美しさの法則「漸減(ぜんげん)の美」

もう一つのポイントは、カーブの大きさに変化をつけることです。 根元に近い一番下のカーブ(第一曲線)を最も大きく、ゆったりと描きます。そして、上に行くに従って、徐々にカーブの波を小さく、細かくしていくのです。

これを「漸減(ぜんげん)の法則」と言い、巨木を地面から見上げた時のパースペクティブ(遠近感)を擬似的に作り出すことができます。この法則を守るだけで、たとえ小さな鉢植えでも、大木のような風格とバランスの良さを演出することができるんですよ。

ワイヤーの巻き角は「45度」が鉄則

実践的なテクニックとして覚えておいてほしいのが、ワイヤーを巻く角度です。枝に対して常に「45度」の角度を保つように螺旋を描いて巻いていきます。

  • 角度が浅すぎる(密巻き) 「コイルばね」のようになってしまい、ワイヤー自体が伸び縮みして枝を固定できません。また、成長を阻害する「絞殺」のリスクが高まります。
  • 角度が急すぎる(疎巻き) 枝との接触面積が減り、曲げた箇所でワイヤーが浮いてしまい、力が伝わりません。

45度という角度は、物理的にも最も効率よく枝をホールドし、かつ植物への負担も少ない「魔法の角度」なのです。これを意識するだけで、仕上がりの美しさが格段に変わります。

作業前の水やりと茎の状態管理

ここはプロの生産者やベテランの盆栽家も実践している、実はあまり知られていないけれど極めて重要な「裏技的」テクニックです。 みなさんは、「植物は水をたっぷりあげて元気な時にいじるのが良い」と思っていませんか? 実は、曲げ木に関してはその逆なのです。

あえて「水切れ」させて柔軟性を高める

ウンベラータを曲げる直前は、あえて水やりを数日間〜1週間ほど控えて、少し乾燥気味(水切れ直前)の状態にさせておくのが正解です。

これには「膨圧(Turgor pressure)」という細胞の仕組みが関係しています。水をたっぷり吸った直後の植物の茎は、細胞の一つ一つが水風船のようにパンパンに膨らんでおり、非常に硬い状態です。

この状態で無理に曲げようとすると、張り詰めた風船が割れるように、細胞が耐えきれず「パキッ」と折れてしまいます。

逆に、少し水分が抜けて葉が垂れ下がるくらい萎れた状態だと、細胞内の圧力が下がり、茎全体に「あそび」が生まれます。驚くほどクニャクニャと柔らかくなり、通常なら折れてしまうような急角度の曲げにも耐えられるようになるのです。

「魔の時間帯」と「ゴールデンタイム」

また、1日の中で作業する時間帯にも注意が必要です。

【危険】早朝(〜午前10時頃)夜の間に根からたっぷりと水を吸い上げ、朝は植物体内の水分量がマックスになっています。茎が最も硬く、最も折れやすい「魔の時間帯」です。絶対に避けてください。

【推奨】午後(14時頃〜夕方)日中の光合成と蒸散によって葉から水分が飛び、茎の水分量が適度に低下しています。茎が少しクタッとして柔軟性が増している「ゴールデンタイム」です。

「水やりを控えた数日後の、晴れた日の午後」。これが、最も失敗のリスクが低い最強のタイミングです。作業が無事に終わったら、頑張ったウンベラータへのご褒美として、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えて、シャキッとさせてあげてくださいね。

実践するウンベラータの曲げ方の手順

実践するウンベラータの曲げ方の手順

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さあ、準備は整いましたか? ここからは、いよいよ実践編です。

ワイヤーを巻き付けるオーソドックスな方法だけでなく、より手軽で初心者向けの紐を使う方法や、どうしても曲がらない太い幹への対処法など、あなたの目の前にあるウンベラータの状態に合わせたテクニックを、ステップバイステップで詳しく解説していきます。

支柱や幹を使った固定のやり方

支柱や幹を使った固定のやり方

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ワイヤーで曲げる際、初心者が最初に躓きやすいのが「ワイヤーの始点(アンカー)が固定できない」という問題です。どれだけ綺麗に螺旋を巻いても、根元のスタート地点がグラグラしていると、枝を曲げようとした時にワイヤーごと回ってしまい、力が全く伝わりません。

この問題を解決するために、支柱や幹の根元の硬い部分を有効活用して、強固な足場を作りましょう。

ステップ1:最強のアンカーを作る

ワイヤーの先端を、ただ土に挿すだけでは不十分です。

方法A(基本) ワイヤーの先端を鉢の底まで届くくらい深く土に突き刺し、そこから地際の幹(根っこに近い一番硬い部分)に2〜3周きつく巻き付けます。これで「大地の力」を借りて固定できます。

方法B(支柱利用) もし幹自体が細くて頼りない場合は、鉢の縁に沿って頑丈な園芸用支柱を深く挿し込みます。その支柱にワイヤーをガッチリと固定してから、目的の枝へと巻き上げていきます。こうすることで、植物本体に負担をかけずに強い支点を作ることができます。

ステップ2:隙間を意識して巻き上げる

固定ができたら、45度の角度を意識しながら枝先へと巻いていきます。この時、ワイヤーを枝にギュウギュウに密着させるのではなく、「紙が一枚挟まるくらいのわずかな隙間」を空けるイメージで巻いていくのがプロのコツです。

このわずかな隙間が、将来の「逃げ道」になります。ウンベラータは成長すると幹が太くなりますが、この隙間があるおかげで、ワイヤーがすぐに食い込むのを防ぎ、長期間固定し続けることが可能になるのです。

ステップ3:テコの原理で曲げる

巻き終わったら、いよいよ曲げ込みです。両手の親指を、曲げたいカーブの内側(縮む側)に当てて支点にし、残りの指で外側から包み込むようにして、ゆっくり、じわじわと力を加えます。

「えいっ!」と一気に曲げるのではなく、「じわ〜、じわ〜」と繊維を馴染ませるように曲げるのがポイント。雑巾を絞るように、枝の軸に対してほんの少し「ねじり」を加えながら曲げると、繊維がバラけずに折れにくくなります。

紐で引っ張るだけの簡単な方法

「ワイヤーを綺麗に巻く自信がない…」「もっと手軽に、リスクを冒さずに曲げたい」 そんな方には、麻紐やビニール紐を使った「ガイワイヤー(牽引)」法が強くおすすめです。これは、枝の一点にをかけ、それを鉢の縁や根元に向かって弓のように引っ張ることでカーブを作る方法です。

紐曲げ(牽引法)のメリット

  • 簡単 難しいワイヤーワークが不要。結ぶだけなので誰でもできます。
  • 安全 ワイヤーのように枝全体を締め付けないため、食い込みによる傷のリスクが低いです。
  • 修正自在 紐の長さを変えるだけで、曲げ具合をいつでも調整できます。

手順はシンプル!でも保護は忘れずに

手順

  1. 保護: まず、紐をかける枝の部分にゴムチューブ、厚手の布、あるいは数回折りたたんだティッシュなどをあてがいます。細い紐が直接樹皮に食い込むのを防ぐためです。
  2. 結束: 保護材の上から紐を輪っか状にして結びます。この時、「もやい結び」のように輪の大きさが変わらない結び方にすると、枝が太くなっても締め付けられません。
  3. 牽引: ゆっくりと目的の方向へ枝を引き、理想のカーブになったところで、紐の反対側を鉢の縁や、別に立てた支柱、あるいは幹の根元などに結びつけて固定します。

 

もし、一度に目的の角度まで曲げるのが怖い場合は、無理をする必要はありません。最初は緩めに結んでおき、1週間ごとに紐を少しずつ短く結び直して、段階的に曲がりを強くしていく方法もあります。これなら植物へのストレスも分散され、より安全に形を変えることができます。

太い幹を曲げる裏技テクニック

「買った時から真っ直ぐで、すでに木質化して茶色くなり、カチカチに固まってしまった太い幹。これを曲げたいんです…」 そんな相談をよく受けます。正直に申し上げますと、直径2cmを超えて完全に木質化した幹を、通常のワイヤーだけで曲げるのは至難の業です。

無理に力をかければ、バキッと折れるのが関の山。

しかし、どうしても形を変えたい場合に、盆栽の技術を応用した少し高度な「外科的手術」のようなテクニックが存在します。

1. ノッチング(楔形切除)法

曲げたいカーブの内側(縮む側)の幹に、鋭利なナイフやノコギリで「V字型(くさび型)」の切り込みを入れ、木質部の一部を取り除いてしまう方法です。

こうすることで、曲げる際の物理的な抵抗(つっかえ棒)がなくなり、そのV字の隙間を埋めるように幹を倒すことで、驚くほど軽い力で曲げることが可能になります。

2. スプリッティング(幹割り)法

さらに荒療治ですが、幹の中央に縦にナイフを入れ、繊維を縦方向に割いてしまう方法もあります。太い一本の丸太を、二本の細い半円の板にしてしまうイメージです。こうすると断面の強度が下がり、柔軟性が生まれます。

【重要】リスクと衛生管理について

これらの方法は、植物の体を傷つける「外科手術」です。成功すれば劇的な変化が得られますが、リスクも伴います。 絶対条件: 使用する刃物はアルコールやライターの火で完全に消毒すること。

そして、施術後は切り口に必ず「癒合剤(トップジンMペーストなど)」をたっぷりと塗り、ビニールテープでグルグル巻きにして防水・防菌処理をすること。 これらを怠ると、切り口から腐朽菌が入り、幹の内部から腐って枯れてしまいます。初心者のうちは、まずは細い枝で練習してから挑むことを強くおすすめします。

枝が折れた時の応急処置と修復

枝が折れた時の応急処置と修復

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慎重に作業をしていても、不意に力が入りすぎて「ミシッ」「パキッ」という心臓が止まるような音がして、に亀裂が入ってしまうことがあります。そんな時でも、絶対にパニックになって諦めないでください!

ウンベラータを含むフィカス属(ゴムの木の仲間)は、驚異的な生命力を持っています。皮一枚でも繋がっていれば、あるいは完全に切断されていなければ、適切な処置で修復できる可能性が非常に高いのです。

緊急オペの手順

  1. 位置を戻す 裂けてしまった部分を、すぐに元の位置に戻し、隙間なくピッタリと密着させます。時間が経つと傷口が乾いて細胞が死んでしまうので、スピード勝負です。
  2. 癒合剤を塗布 傷口の周りに「癒合剤」をたっぷりと塗ります。これは人間でいう絆創膏と消毒薬を兼ねたもので、雑菌の侵入と水分の蒸発を防ぎます。もし手元になければ、清潔な水で湿らせたティッシュを巻くだけでも一時的な応急処置になります。
  3. ギプス固定 密着させた状態を維持するために、「接ぎ木テープ」や「ビニールテープ」で、傷口が開かないようにきつく巻き上げます。さらに、添え木(割り箸などでOK)を当ててテープで固定し、風などで動かないようにします。

ウンベラータから出る白い樹液(ラテックス)は、天然の接着剤の役割も果たします。この処置をして数ヶ月間そっとしておき、その先の葉が枯れずに緑色を保っていれば手術は成功です。維管束が再接続され、傷跡を残しながらも元気に成長を続けてくれるでしょう。

針金が食い込む前の除去時期

無事に曲げ加工が終わり、数ヶ月が経ちました。ここで油断してはいけないのが、ワイヤーを外す時期の見極めです。

ウンベラータは成長期には驚くべきスピードで太ります。放置すると、あっという間に幹がワイヤーを飲み込み、樹皮に埋まってしまいます。これを「食い込み(Wire Bite)」と言います。

一度深く食い込んでしまうと、ワイヤーを外しても螺旋状のミミズ腫れのような傷跡が一生残ってしまいます。これを防ぐためには、「1ヶ月に1回は必ず幹の状態をチェックする」という習慣をつけてください。

外すタイミングのサイン

ワイヤーが樹皮にわずかに沈み込み、「指で触ると少し段差を感じるかな?」くらいの時が、除去のベストタイミングです。まだ早いかな?と不安になるかもしれませんが、食い込んでからでは遅いのです。

正しい外し方:ほどくのではなく「切る」

いざ外す時、もったいないからと言って、ワイヤーを逆回転させて再利用しようとしないでください。硬くなったワイヤーを無理に解こうとすると、その摩擦で大切な樹皮をベリッと剥がしてしまう事故が多発しています。

安全な外し方は、「ニッパーで細かくパチパチと切断しながら取り除く」ことです。ワイヤーの輪っかを一つずつ切って、ポロポロと外していくイメージです。数百円のワイヤーをケチって、数年かけて育てた植物を傷つけるのは本末転倒ですからね。

ウンベラータの曲げ方で理想の形へ

ウンベラータの曲げ方は、単なる園芸作業の手順ではなく、植物との深い対話の時間です。 「こっちの方向に光を浴びたいかな?」「これ以上曲げると痛いかな?」と、植物の声なき声に耳を傾けながら、指先でその生命力を感じ取る時間は、何にも代えがたい豊かな体験です。

最初は小さな枝のカーブ一つから始めてみてください。もし失敗して枝を折ってしまっても、ウンベラータはまた新しい脇芽を出して、そこから新しい物語を紡いでくれます。

その回復力や、傷跡さえも「味」として愛でてあげることが、本当の意味でのボタニカルライフの醍醐味だと私は思います。

世界に同じ形のウンベラータは二つとしてありません。あなたの手で、あなただけの愛情が詰まった、世界に一つだけのオリジナルな樹形を作り上げてみてくださいね。

  • この記事を書いた人
パキラを持つ運営者

まさび

『観葉植物のある暮らしスタイル』管理人のまさびです。失敗から学んだ実体験と深い知識で、観葉植物の育て方(特にパキラ)を優しく解説。あなたのグリーンライフを応援します。

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