ウンベラータ

ウンベラータのかっこいい形を作る!剪定と曲げ方で理想の樹形へ

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ウンベラータのかっこいい形を作る!剪定と曲げ方で理想の樹形へ

観葉スタイル・イメージ

こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。

おしゃれなカフェの片隅や、センスの良いインテリアショップのウィンドウで、独特の曲線を描く幹や、バランスよく四方に広がった枝を持つウンベラータを見かけて、思わず足を止めてしまった経験はありませんか?

そして、自宅のリビングにある、ただなんとなく上に伸びているだけの自分のウンベラータと見比べて、「うーん、なんか違うんだよなあ…どうしてウチの子はあんな風にかっこよく育たないんだろう」と、小さくため息をついてしまったこと、一度や二度はあるのではないでしょうか。

私自身も、ウンベラータを育て始めた当初は全く同じ悩みを抱えていました。「いつか勝手にあんな形になるんだろう」と期待して毎日水をやっていましたが、待てど暮らせどひょろひょろと背が伸びるばかり。あのかっこいい樹形は、選ばれた特別な株にしか現れない奇跡のようなものだと思い込んでいたのです。

でも、実は違うんです。あのおしゃれで洗練された樹形は、最初から自然にあのような姿で生えてきたわけではありません。そのほとんどが、生産者さんや持ち主の手による計算された「剪定(せんてい)」や、愛情のこもった「曲げ仕立て」という介入によって、後天的に作られたものなのです。

「剪定」と聞くと、なんだかプロの職人さんがやる難しい技術のように聞こえますし、「もし失敗して枯れてしまったらどうしよう」という不安が先に立って、ハサミを入れるのを躊躇してしまう気持ち、痛いほどよく分かります。

しかし、フィカス・ウンベラータという植物は、私たちが想像している以上に生命力が強く、そして再生能力に優れたタフな植物です。植物が本来持っている成長のルールさえ正しく理解してあげれば、私たちのような趣味の愛好家でも、まるで彫刻を作るように、自分好みの理想的な形に仕立てていくことが十分に可能なんです。

この記事では、私が数々の失敗(変なところで切ってしまったり、曲げすぎて折ってしまったり…)を繰り返しながら、試行錯誤の末に身につけてきた「ウンベラータをかっこいい形にするための具体的なテクニック」を、余すことなくお伝えします。

単なるマニュアルではなく、植物の生理に基づいた「なぜそうするのか」という理由も一緒に解説しますので、読み終わる頃にはきっと、自信を持ってハサミを握れるようになっているはずですよ。

ポイント

  • 憧れのY字樹形や、空間に動きを生む曲がりを作るための具体的な剪定手順とメカニズム
  • 日照不足でひょろひょろに伸びてしまった残念な株を、劇的に再生させる丸坊主剪定の極意
  • ワイヤーや身近な道具を使って、幹を理想のカーブに曲げるための安全な矯正テクニック
  • 苦労して作った美しい樹形を崩さず、長く楽しむために欠かせない日々の環境管理のポイント

ウンベラータのかっこいい形を作る剪定と曲げ方

ウンベラータのかっこいい形を作る剪定と曲げ方

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ウンベラータの最大の魅力は、なんといってもあの大きなハート型の葉と、白っぽい独特の幹肌が織りなす樹形美ですよね。しかし、ただ漫然と育てるだけでは、あのような魅力的な姿にはなりません。

植物は光を求めて上へ上へと伸びる性質があるため、放っておくとどうしても単調な一本杉のような形になりがちです。

ここでは、自然任せにするのではなく、私たちが意図的に介入することで「かっこいい形」を作り出すための核心的なテクニックについて深掘りしていきます。

ハサミを入れる最初の一手は勇気がいりますが、その小さな勇気が、あなたのウンベラータを世界に一つだけのアート作品へと変える第一歩になります。

剪定で人気のY字樹形にする手順

数あるウンベラータの仕立て方の中でも、特にインテリア性が高く人気なのが、幹の途中から二股に分かれて広がる「Y字樹形」です。この形は、視線を上に誘導しつつ、空間に広がりとリズムを与えてくれるため、部屋に置いた時の存在感が格段にアップします。

しかし、自然界で勝手に綺麗なY字に枝分かれすることは稀です。では、どうすればいいのか。ここで重要になるのが、植物生理学の基本原理である「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」というメカニズムの理解です。

頂芽優勢(Apical Dominance)とは?

植物は通常、茎の先端にある「頂芽(ちょうが)」の成長を最優先させ、その下にある脇芽の成長を抑制する性質を持っています。これは、頂芽で作られる「オーキシン」という植物ホルモンが下へと移動し、脇芽の活動を抑え込んでいるためです。(出典:日本植物生理学会「みんなのひろば 植物Q&A」

つまり、一番上の芽がある限り、下の芽はいつまで経っても動き出さないのです。「かっこいい枝分かれ」を作るためには、この頂芽を物理的に切除(剪定)し、オーキシンの供給をストップさせる必要があります。

すると、抑え込まれていた脇芽たちにかかっていたブレーキが外れ、「サイトカイニン」というホルモンが活性化して、「主役がいなくなったぞ!次は私たちが伸びる番だ!」と一斉に動き出すのです。これが、剪定によって枝分かれが生まれる仕組みです。

では、具体的な手順を見ていきましょう。成功率を高めるためには、以下のステップを丁寧に行うことが大切です。

ステップ1:時期を見極める

剪定は植物にとって外科手術です。術後の回復を早めるために、必ず成長期である5月〜9月の間に行います。

特に、気温が上がり始め、植物のエネルギーが満ち溢れている5月〜6月がベストシーズンです。冬場や真夏に強行すると、新芽が出ずに枯れ込んでしまうリスクがあるため絶対に避けましょう。

ステップ2:道具を準備する

切り口から雑菌が入るのを防ぐため、必ず清潔なハサミを使います。使用前に消毒用エタノールや火で刃を消毒しておくと安心です。また、ウンベラータの幹は意外と繊維が硬いので、文房具のハサミではなく、切れ味の良い園芸用の剪定バサミを用意することをおすすめします。

ステップ3:切る位置(高さ)を決める

ここが一番の悩みどころですが、完成形をイメージして決めます。Y字に分かれた後、そこから枝が伸びて葉が茂ることを考慮すると、鉢を含めた全高の半分から3分の2程度の高さでカットするのが黄金バランスです。

あまり高すぎると天井につかえてしまいますし、低すぎると頭でっかちで不安定に見えてしまいます。「将来ここから枝が広がるんだな」と想像しながら、マスキングテープなどで目印をつけると失敗が少なくなりますよ。

ステップ4:思い切ってカット&処置

位置が決まったら、躊躇せず一気にスパッと切断します。ためらって何度もハサミを入れると、切り口の組織が潰れて腐敗の原因になります。

カットした直後から白い樹液が溢れ出てきますので、濡れたティッシュで拭き取り、切り口の乾燥と雑菌侵入を防ぐために「癒合剤(ゆごうざい)」を塗布します。私は「トップジンMペースト」という殺菌剤入りのものを愛用しています。オレンジ色の薬液が傷口をしっかり保護してくれるので安心感が違います。

ステップ5:運命の「芽かき」

剪定から2〜3週間もすると、切り口の下あたりから複数の脇芽がポコポコと顔を出します。この瞬間が一番嬉しいんですよね。しかし、ここで満足してはいけません。Y字(2本)にしたい場合、たくさん出てきた芽の中から、方向と勢いの良い2つだけを選抜し、他の芽は全て手で摘み取る(芽かき)必要があります。

「せっかく出たのに可哀想…」と思うかもしれませんが、これをしないと栄養が分散してしまい、細くて頼りない枝がたくさん出る「箒(ほうき)状」の樹形になってしまいます。心を鬼にして芽を整理することで、残した2本の枝にエネルギーが集中し、太く力強い、理想的なY字のアームへと成長してくれるのです。

切り戻しはどこ切るのが正解か

切り戻しはどこ切るのが正解か

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「剪定の理屈は分かったけど、ミクロな視点で見たとき、具体的に茎の『どの部分』に刃を入れればいいの?」という疑問は、初心者が必ずぶつかる壁です。適当な場所で切ってしまうと、枯れ込みがひどくなったり、想定外の方向から芽が出て樹形が乱れたりと、せっかくの努力が水の泡になりかねません。

正解を単刀直入に言うと、「成長点(節)の5mm〜1cm上」です。

ウンベラータの幹や枝をよーく観察してみてください。数センチおきに、かつて葉っぱが付いていた跡である横線(リング状の模様)が入っているのが分かりますか?その線のすぐ上に、小さなポチッとした突起があるはずです。

これが「節(ふし)」あるいは「成長点」と呼ばれる部分です。植物の新しい芽は、何もないつるっとした樹皮から唐突に生えてくることはなく、必ずこの「節」に隠されている休眠芽から発生します。

なぜ「5mm〜1cm上」なのか、それには明確な理由があります。

  • 節に近すぎる場合(ギリギリで切る) ハサミの圧力で節の組織を潰してしまったり、切り口からの乾燥が節まで及んでしまったりして、肝心の芽が死んでしまうリスクがあります。芽が出なければ、その枝はそこで成長がストップしてしまいます。
  • 節から遠すぎる場合(長く残して切る) 節から数センチ上で切ると、新芽は節から出ますが、その上の「残した部分」はどうなるでしょうか。水や養分が行き場を失うため、この部分は茶色く枯れ下がり、やがてミイラのように干からびて残ります。これを「枯れ込み」と言います。植物の健康に直ちに悪影響はありませんが、見た目が非常に悪く、「かっこいい形」を損なう大きな要因になります。

したがって、節の組織を守りつつ、枯れ込み部分を最小限にするための絶妙な距離が「5mm〜1cm」なのです。このわずかな余白が、乾燥や菌から大切な新しい芽を守る防波堤の役割を果たしてくれます。

【重要】樹液トラブルに注意してください

ウンベラータを含むフィカス属(ゴムの木)の仲間は、切断すると切り口から粘り気のある白い樹液を出します。これは天然ゴムの原料となるラテックス成分を含んでおり、体質によっては触れると激しいかゆみや炎症(ラテックスアレルギー)を引き起こす可能性があります。

剪定作業を行う際は、必ずゴム手袋を着用し、樹液が皮膚や目、衣服に付着しないよう細心の注意を払ってください。もし床やカーペットに垂れてしまうと、黒くシミになって落ちにくいので、作業エリアには新聞紙やビニールシートを広めに敷いておくことを強くおすすめします。小さなお子様やペットがいるご家庭では、舐めたり触ったりしないよう、特に注意が必要です。

また、切る際はハサミの角度にもこだわってみましょう。水平に切るのも良いですが、少し斜めに刃を入れることで、切り口に水が溜まるのを防ぎ、腐敗のリスクを減らすことができます。特に屋外で管理している場合や、湿度の高い梅雨時期に剪定する場合は、このひと手間が株の生存率を左右することもあります。

切り終わった後の切り口には、先ほども触れた「癒合剤」を塗るのがベストですが、もし手元にない場合は、ロウソクの蝋(ロウ)を垂らしてコーティングしたり、木工用ボンドで代用したりする裏技もあります(あくまで応急処置ですが)。

とにかく、「切りっぱなしにしない」ということが、美しい傷跡治癒と、その後のスムーズな発芽につながります。

ひょろひょろ株は丸坊主で再生

室内で長く育てていると、どうしても日照不足になりがちです。その結果、節と節の間が間延びして茎だけがヒョロヒョロと長く伸び、葉っぱは先端の方にしかついていない…という、なんとも頼りない姿になってしまうことがあります。いわゆる「徒長(とちょう)」した状態です。

残念ながら、一度徒長してしまった茎は、その後いくら日光に当てても、太くなったり短くなったりして元に戻ることはありません。その細い茎のまま成長を続けるため、将来的に重くなった頭を支えきれずに垂れ下がってしまい、「かっこいい形」とは程遠い姿になってしまいます。

そんな絶望的な状況を打破する唯一にして最強の方法が、思い切って葉を一枚も残さず幹だけにする「丸坊主(強剪定)」という再生術です。

「えっ、葉っぱを全部なくすなんて、枯れてしまうんじゃないの!?」と、初めて聞く方は驚愕するかもしれません。確かに、多くの植物にとって葉を全て失うことは死を意味します。

しかし、ウンベラータのようなゴムの木の仲間は、幹の中にたっぷりと水分と養分を蓄えており、非常に強力な萌芽力(芽を出す力)を持っています。そのため、適切な時期と方法で行えば、丸坊主になっても枯れるどころか、むしろ以前よりも生命力に溢れた美しい新芽を吹き出して復活するのです。

この荒療治には、成功させるための絶対条件がいくつかあります。

丸坊主剪定を成功させる3つの鉄則

  1. 時期は「成長旺盛期」限定 必ず気温が高く、植物が活発に動いている5月中旬〜7月上旬に行います。秋以降や冬場に行うと、新芽を出すエネルギーが足りずにそのまま枯死してしまうため、時期厳守です。
  2. 根の状態を確認する この手術に耐えられるのは、地下部の「根」が元気な株だけです。根腐れして弱っている株や、植え替え直後のダメージが残っている株で行うと、トドメを刺すことになります。「元気だけど形が悪い」株専用のテクニックだと覚えておいてください。
  3. 水やりを控える(最重要) 葉を全て落とすと、葉からの蒸散(水分放出)がゼロになります。それなのに以前と同じペースで水を与え続けると、土がいつまで経っても乾かず、あっという間に根腐れを起こします。新芽が出て葉が展開してくるまでは、土の表面が乾いてからさらに数日〜1週間空けるなど、「かなり乾燥気味」に管理するのが復活への鍵です。

手順はシンプルです。残したい高さで幹をバッサリと切り、全ての葉を取り除きます。枝分かれさせたい位置で幹を切断すれば、そこから新しい枝が出てきますし、既存の枝を短く詰めれば、そこから葉が吹き出します。

剪定後は、直射日光の当たらない、明るく風通しの良い場所に置きます。「光合成できないから暗い場所でいいのでは?」と思うかもしれませんが、幹の樹皮の下にある葉緑素でもわずかに光合成を行っていますし、新芽を刺激するためにも明るさは必要です。

ただし、強烈な直射日光は、無防備な幹を焼いてしまい、高温障害を引き起こすのでNGです。レースカーテン越しの柔らかい光がベストポジションです。

早ければ1週間、遅くとも1ヶ月ほどで、幹の節々から小さな赤い角のような新芽(タケノコのようにも見えます)が顔を出します。この瞬間、「生きてる!」という感動で胸がいっぱいになります。

そこからの成長は驚くほど早く、夏が終わる頃には、節間の詰まった、青々とした葉を茂らせた新しいウンベラータに生まれ変わっていることでしょう。かつてのひょろひょろした姿はどこへやら、リセットされた姿はまさに「再生」と呼ぶにふさわしいものです。

おしゃれな曲げ方のテクニック

インテリア雑誌やSNSで見かける、幹がS字にうねっていたり、緩やかな螺旋を描いていたりするウンベラータ。「どうやったらあんな芸術的な形に育つの?」と不思議に思いますよね。

あれは、自然界の風雪に耐えて偶然できた形…ではなく、生産者さんや愛好家が、幹が柔らかいうちに矯正器具を使って人工的に作り出した「曲げ仕立て」によるものです。

「難しそう…」と敬遠されがちですが、基本の原理さえ分かれば、特別な道具がなくても家庭にあるものでチャレンジできます。曲げ仕立ての最大のポイントは、「タイミング」です。

ウンベラータの幹は成長に伴って硬化(木質化)していきます。

1. 緑枝期(りょくしき) 新しく伸びたばかりの緑色の茎。非常に柔らかく曲げやすいですが、反発力も弱く、型がつくのに時間がかかります。

2. 木質化移行期 表面が茶色くなり始めた頃。適度な硬さと弾力があり、曲げ仕立てに最も適した「ゴールデンタイム」です。

3. 完全木質化期 完全に茶色く太くなった幹。ガチガチに硬く、無理に曲げようとすると「バキッ」と折れてしまいます。太い幹の矯正はプロでも至難の業です。

つまり、私たちが狙うべきは、その年に伸びた新しい枝や、まだ若くてしなりのある幹です。

初心者におすすめ!「紐と支柱」を使った牽引法

いきなりワイヤーを巻くのはハードルが高いという方には、物理的に引っ張って形を作る「牽引(けんいん)法」がおすすめです。植物への負担が少なく、失敗してもやり直しが効きやすいのがメリットです。

  1. 支点を作る 曲げたい方向の逆側に支柱を立てるか、重さのある鉢の縁などを利用します。
  2. 保護する 紐をかける幹の部分に、摩擦で傷がつかないよう、布切れや厚紙、ゴムシートなどを巻き付けて保護します(これ、地味ですがすごく大事です)。
  3. 引っ張る 保護した部分に麻紐やビニール紐をかけ、支点に向かってゆっくりと引っ張り、固定します。最初は「ちょっと曲がったかな?」程度でOKです。
  4. 段階的に強める 最初から完成形を目指さず、1週間ごとに紐を締め直し、少しずつカーブをきつくしていきます。時間をかけることで、植物の細胞が伸び縮みに順応し、折れることなく美しい曲線が定着します。

この方法なら、S字カーブや、お辞儀をするようなアーチ型など、比較的大きな曲線を作るのに向いています。また、万が一「やっぱりこっちに曲げたい」と心変わりしても、紐を解けば修正が可能です。

ワイヤーを使った幹の矯正方法

ワイヤーを使った幹の矯正方法

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より複雑な曲線や、細かいニュアンス、あるいは「螺旋(スパイラル)」のような立体的な動きを出したい場合は、盆栽の技術を応用した「ワイヤー(針金)掛け」が有効です。紐による牽引よりも自由度が高く、自分の指先で描いたラインをそのまま植物に反映させることができます。

道具選びが成功の8割

使用するのは、ホームセンターの園芸コーナーや100円ショップで手に入る「アルミ線」です。鉄や銅の針金は硬すぎて扱いづらく、錆びやすいので避けましょう。太さは、曲げたい幹の太さの3分の1〜4分の1程度が目安です。

例えば、幹が1cmなら、3mm〜3.5mmのワイヤーを選びます。細すぎると反発力に負けて曲がらず、太すぎると巻くのが大変で幹を傷つけます。また、植物への食い込みを軽減するために、茶色や黒のゴム・ビニールで被覆されたものがベストです。

ワイヤー掛けの具体的ステップ

手順詳細とコツ
1. アンカー(固定)ワイヤーの一端を、株元の土の奥深くに突き刺すか、幹の根元部分にしっかりと巻き付けて固定します。ここが全ての力の支点となるため、グラグラしないように確実に固定します。
2. 巻き上げ幹に対して45度の角度を保ちながら、螺旋状に上へと巻き上げていきます。この時、ワイヤーと幹の間に隙間ができないように密着させることが重要です。ただし、強く締め付けすぎると維管束(水や養分の通り道)を圧迫して成長を阻害するので、「ぴったりと沿わせる」感覚で行います。葉の付け根(葉柄)や芽の上を通らないように注意して避けてください。
3. ベンディング(曲げ)いよいよ造形です。ワイヤーを巻いた幹を両手で持ち、親指を支点にして、ゆっくりと力を加えて曲げます。一度にグイッと曲げるのではなく、数回に分けてじわじわと形を作ります。「ミシミシ」という音がしたら、それは内部の繊維が断裂している悲鳴ですので、即座にストップしてください。
4. メンテナンスと除去形状が固定されるまでには、成長期で約3ヶ月〜半年を要します。幹が成長して太くなると、ワイヤーが樹皮に食い込み始めます(バイト)。これが外すタイミングのサインです。食い込みを放置すると、ワイヤーが幹に埋没して取れなくなったり、醜い傷跡が一生残ったりします。定期的に観察し、食い込みそうになったら早めにニッパーで切断して外しましょう。

ワイヤーを外した瞬間、人工的な矯正具が取れ、植物自身の力で美しい曲線を維持している姿を見ると、「自分だけの作品」という強い愛着と達成感が一気に湧いてきます。それはもはや、単なるインテリアグリーンを超えた、あなたと植物との対話の記録そのものです。

ウンベラータのかっこいい形を維持する育て方

ウンベラータのかっこいい形を維持する育て方

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せっかく剪定や曲げ仕立てで「かっこいい形」を作っても、その後の管理が悪ければ、苦労して作った樹形はあっという間に崩れてしまいます。特にウンベラータは成長が早いため、環境の影響をダイレクトに受けやすい植物です。

美しいフォルムを長くキープし、さらに年輪を重ねて魅力を増していくためには、日々の「環境制御」という名のメンテナンスが欠かせません。

ここでは、私が普段実践している、ウンベラータの「かっこよさ」を維持するための栽培管理の極意について、生理学的な視点も交えながら詳しくお話しします。

徒長を防ぐための日光管理

徒長を防ぐための日光管理

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ウンベラータの樹形を台無しにする最大の敵、それが「徒長(とちょう)」です。

徒長とは、日照不足が続いた際に、植物が光を求めて茎をひょろひょろと異常に長く伸ばしてしまう現象のことです。こうなると、節(葉が出るところ)と節の間隔が間延びし、葉っぱがスカスカの状態になります。

さらに、茎が細く軟弱になるため、自分の葉の重さを支えきれずにだらしなく垂れ下がってしまいます。「かっこいい形」とは対極にある、締まりのない姿です。

この徒長を防ぎ、ガッシリとした幹と、葉が密に茂った美しい樹冠を維持するための鍵は、やはり「光」です。

理想的な光環境:レースカーテン越しの特等席

ウンベラータは、明るい場所が大好きですが、真夏の直射日光は強すぎて「葉焼け(葉が茶色く焦げること)」を起こしてしまいます。葉焼けした葉は二度と元に戻らないため、観賞価値が著しく下がります。

ベストポジションは、「南向きのリビングの窓辺で、レースカーテン越しの柔らかい光が長時間当たる場所」です。

照度で言うと、読書ができる程度の明るさ(1,500〜3,000ルクス程度)が目安です。もし、部屋の構造上どうしても暗い場所にしか置けない場合は、植物育成用LEDライトを補助的に使うのも非常に有効な手段です。最近はインテリアに馴染むおしゃれなライトも増えていますからね。

また、もう一つ重要なのが「光屈性(こうくつせい)」への対策です。 植物には、光の来る方向に向かって成長し、葉の表面を光に向けようとする性質があります。

窓辺に置きっぱなしにしていると、いつの間にか窓の方ばかり向いて成長し、部屋の内側から見ると幹が傾き、葉の裏側ばかりが見える…という残念な状態(偏形)になってしまいます。

これを防ぐテクニックは非常にシンプルです。 「週に一度、水やりのタイミングで鉢を90度、あるいは180度回転させる」。たったこれだけです。

定期的に光の当たる向きを変えることで、植物は全方位に均等に葉を広げようとし、どの角度から見てもバランスの取れた、整った樹形を維持することができます。まるで美容院でカットしたてのようなシルエットを保つには、この「鉢回し」が欠かせません。

さらに、春や秋の気候が良い時期は、ベランダや屋外に出して日光浴をさせるのも効果的です。風に当たることで幹が揺れ、植物ホルモン(エチレン)の作用で幹が太く丈夫になります。

ただし、急に室内から直射日光の下に出すと一発で葉焼けしますので、最初は日陰からスタートし、数週間かけて徐々に明るい場所に慣らしていく「順化(じゅんか)」のプロセスを必ず踏んでください。

適切な水やりと肥料の時期

「水やり三年」と言われるほど、水やりは奥が深いものです。単に水分を補給するだけでなく、ウンベラータの「張り」や「艶」といった美観に直結する重要なケアです。

ウンベラータの大きな葉がピンと張っているのは、細胞内に水が満ちて「膨圧(ぼうあつ)」がかかっているからです。水不足になるとこの圧力が下がり、葉がだらんと垂れてしまいます。逆に、水をやりすぎると根が呼吸できずに腐ってしまいます。

水やりの鉄則は、「メリハリ」です。

正しい水やりの手順

  1. 確認する 土の表面を見て、触ってみて、白っぽく乾いているか確認します。指の第一関節まで土に入れてみて、湿り気を感じなければGOサインです。
  2. 与える 鉢底の穴から水がジャバジャバ流れ出るまで、たっぷりと与えます。これには、土の中に溜まった古いガス(二酸化炭素など)を押し出し、新鮮な酸素を含んだ水を根に届けるという意味があります。
  3. 捨てる 受け皿に溜まった水は必ず捨てます。溜めたままにすると、根腐れの原因になるだけでなく、コバエの発生源にもなります。

そして、かっこいい幹を作るために欠かせないのが「肥料(栄養)」です。 植物の三大栄養素である「窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)」のうち、特に意識したいのが、葉の色を濃くする「窒素」と、根や幹を丈夫にする「カリウム」です。

成長期である春(4月〜6月)と秋(9月〜10月)には、規定量に薄めた液体肥料を1週間〜10日に1回程度、水やりの代わりに与えます。または、土の上に置く固形肥料(プロミックなど)を使用するのも手軽でおすすめです。

ただし、ここで一つ大きな注意点があります。 「冬(11月〜3月)は肥料を一切与えないこと」です。 気温が下がるとウンベラータは休眠状態に入り、成長がほぼ止まります。

この時期に肥料を与えると、根が栄養を吸収できずに肥料成分が土に残り、濃度障害(肥料焼け)を起こして根を痛めてしまいます。「元気がないから」といって冬に肥料をあげるのは、風邪で寝込んでいる人にステーキを無理やり食べさせるようなものです。冬は「水だけ、それも控えめに」が鉄則です。

また、美しい葉を保つためには「葉水(はみず)」も重要です。 ウンベラータは乾燥すると「ハダニ」という小さな害虫がつきやすく、葉の汁を吸われて白っぽく変色させてしまいます。

毎日1回、霧吹きで葉の表と裏にたっぷり水をかけることで、湿度を保ち、ハダニを予防し、さらに葉の埃を落として光合成効率を高めることができます。葉水後の艶やかな葉は、それだけでインテリアとしてのグレードを一段上げてくれますよ。

植え替えで根詰まりを防ぐ

植え替えで根詰まりを防ぐ

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地上部の枝葉をどれだけ綺麗に剪定しても、それらを支える土台である「根」が健全でなければ、かっこいい形は維持できません。鉢の中で根がパンパンに詰まる「根詰まり」を起こすと、水の吸い上げが悪くなり、下葉から黄色くなって次々と落ちてしまいます。

購入から2年〜3年経過している場合や、鉢底の穴から根が飛び出している場合、あるいは水やりをしたに水がなかなか染み込んでいかない場合は、植え替えのサインです。

植え替えの適期は、成長が旺盛な5月中旬〜9月中旬です。

一回り大きな鉢(号数を1つ上げる)に植え替えるのが基本ですが、もし「これ以上大きくしたくない」という場合は、鉢のサイズは変えずに、根鉢(土と根の塊)の土を3分の1程度崩し、黒ずんだ古い根や長すぎる根をハサミで整理してから、新しい土を使って元の鉢に植え戻します。

使用する土は、市販の「観葉植物の土」で十分ですが、私はさらに水はけを良くするために、「赤玉土(小粒)」や「軽石」を2割ほど混ぜ込んでいます。ウンベラータは過湿(水のやりすぎ)を嫌うので、水がサッと抜ける土環境を作ってあげることが、根腐れ防止の最強の保険になります。

植え替え直後の1〜2週間は、根がダメージを受けて吸水力が落ちているため、直射日光や強い風を避け、明るい日陰で静かに養生させましょう。この期間のリハビリが、その後の成長ダッシュを決めます。

※ウンベラータの植え替えについて別の観点から深掘りしている記事もありますので、こちらも参考にしてみてください。→ ウンベラータの植え替えで根を切る方法!時期と失敗しないコツ

インテリアに合う鉢の選び方

「植物は鉢で決まる」と言っても過言ではありません。 どれだけ樹形がかっこよくても、プラスチックのペラペラの鉢のままでは、その魅力は半減してしまいます。

逆に、樹形が多少暴れていても、センスの良い鉢に植わっていれば、それは「味」として昇華されます。鉢は、有機的な植物と、幾何学的な建築空間(部屋)をつなぐ重要なメディアです。

ご自身の部屋のテイストに合わせて、最適な「器」を選んでみましょう。

インテリアスタイルおすすめの鉢・素材デザインの特徴と相性
北欧・ナチュラル陶器(白、ベージュ)、ラタン(カゴ)温かみのあるマットな質感や、自然素材のカゴが最適です。S字に曲がった柔らかな樹形や、鮮やかな緑色の葉と相性が良く、優しい空間を演出します。
インダストリアル・男前モルタル、コンクリート、アイアン無機質でざらっとした粗野な素材感が、植物の生命力を際立たせます。太い幹や、気根(幹から出る根)が発達したワイルドな個体、あるいは強剪定で再生させた個性的な樹形にマッチします。
モダン・ミニマルファイバークレイ(黒、グレー)、樹脂直線的でエッジの効いたデザインや、モノトーンカラーが洗練された印象を与えます。計算されたY字仕立てや、葉の枚数を制限してシルエットを強調したスタイリッシュなウンベラータによく合います。

また、鉢だけでなく、土の表面を覆う「マルチング」も、おしゃれ度をアップさせる重要なテクニックです。

  • ココヤシファイバー ナチュラルで軽やかな印象。土埃が舞うのを防ぎます。
  • バークチップ(木のチップ) 森林のような落ち着いた雰囲気。土の乾燥防止効果が高いです。
  • 化粧石(白や黒の小石) モダンで清潔感がありますが、土の乾き具合が見えにくくなるデメリットがあります。使用する場合は、水やりのタイミングを色で知らせてくれる「サスティー」などの水分計を併用するのがおすすめです。

ウンベラータのかっこいい形は時間と共に完成する

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

ウンベラータの「かっこいい形」とは、お店で買った瞬間に完成している静的なものではありません。それは、あなたが植物の生理を理解し、剪定という外科的な介入と、日々の環境管理という内科的なケアを繰り返す中で、数年単位の時間をかけてゆっくりと彫刻していく、動的なプロセスそのものです。

あなたが思い切ってハサミを入れた切り口は、やがて傷が癒え、そこから新しい枝が広がり、力強い分岐点へと変わります。ワイヤーで矯正したカーブは、植物が成長することで固定され、その個体だけのユニークな動きとして刻まれます。

「失敗したらどうしよう」と怖がる必要はありません。植物は私たちが思うよりもずっと強く、そして寛容です。もし形が崩れても、また剪定して作り直せばいいのです。

そうやって試行錯誤した履歴こそが、あなたのウンベラータを、世界中のどこにも売っていない、あなただけの「緑の傑作」にしてくれるはずです。

ぜひ、今日からあなたのウンベラータとじっくり向き合って、時間をかけて最高にかっこいい相棒に育て上げてみてくださいね。

  • この記事を書いた人
パキラを持つ運営者

まさび

『観葉植物のある暮らしスタイル』管理人のまさびです。失敗から学んだ実体験と深い知識で、観葉植物の育て方(特にパキラ)を優しく解説。あなたのグリーンライフを応援します。

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