ポトス

ポトスを上に伸ばすと巨大化する?100均支柱や賃貸での壁固定術

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ポトスを上に伸ばすと巨大化する?100均支柱や賃貸での壁固定術

観葉スタイル・イメージ

こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。

ふとリビングのポトスに目をやったとき、棚からダラリと垂れ下がっている姿を見て、「もっとお店やSNSで見かけるような、あのかっこいいジャングルのような姿にできないかな?」と思ったことはありませんか?

実は、私たちが普段目にしている可愛らしいポトスは、本当の姿の「ほんの一部」に過ぎません。ポトスは「上に伸ばす」というスイッチを入れてあげることで、まるで別の植物かのように葉を巨大化させ、モンステラのような野性味あふれる切れ込みを見せてくれるポテンシャルを秘めているんです。

でも、「賃貸マンションだから壁に穴を開けて誘引なんてできないし…」「専用の支柱って高そうだし、どうやって固定すればいいのか分からない」と諦めている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、私が実際に自宅で試行錯誤してたどり着いた、100均アイテムだけで作れる高機能な支柱の自作方法や、壁を一切傷つけずにポトスをダイナミックに這わせる裏技的テクニックについて、失敗談も交えながら徹底的に詳しくお話しします。

ポイント

  • ポトスが「上に登る」と認識した瞬間に葉が巨大化し始める驚きのメカニズム
  • 100均の園芸コーナーにある材料だけで作れる!プロ仕様のモスポール自作手順
  • 賃貸住まい必見!壁に穴を開けずに数キロのポトスを支える魔法のような固定術
  • 気根を第二の根として活用し、植物の生命力を爆発させる水やりと保湿の極意

ポトスを上に伸ばす方法と支柱の選び方

ポトスを上に伸ばす方法と支柱の選び方

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ポトスといえば、ハンギングバスケットに入れて吊るしたり、高い棚の上に置いてツルを垂らしたりする「下垂スタイル」が一般的ですよね。

ゆらゆらと揺れる姿は涼しげで魅力的ですが、もしあなたが「もっと葉を大きくしたい」「迫力のある株に育てたい」と願うなら、その育て方は一度忘れる必要があるかもしれません。

なぜなら、ポトスの本来の生態学的ニッチ(自然界での居場所)は、熱帯雨林の薄暗い林床から、光を求めて巨木によじ登っていく「クライマー(登攀植物)」としての姿にあるからです。

ここでは、ポトスの遺伝子に刻まれた本能を呼び覚まし、部屋の中に小さな熱帯雨林を作り出すための、科学的かつ実践的なアプローチについて深掘りしていきましょう。

ポトスの葉を巨大化させる仕組み

ポトスの葉を巨大化させる仕組み

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皆さんは、植物園の温室や南国のリゾート地で、人の顔よりもはるかに大きな葉を持ち、無数の穴が開いた巨大なポトスを見たことがありますか?

「これはきっと特別な品種なんだろう」と思われがちですが、実はあれ、私たちがホームセンターで数百円で買ってくるポトス(Epipremnum aureum)と全く同じ種類なんです。

では、なぜ家のポトスは手のひらサイズで、自生地のポトスはあんなに巨大なのでしょうか。その鍵を握っているのが「接触屈性(thigmotropism)」と呼ばれる植物の生理反応です。これは簡単に言うと、植物が物理的な接触を感じ取り、それに応じて成長の仕方を変える性質のことです。

ポトスのツルや気根(茎から出る根っこ)は、垂直な樹木や岩肌に触れることで、「おっ、今はしっかりとした足場があるぞ。これなら体を支えられるから、安心して体を大きくできるぞ!」と認識します。

この接触刺激がトリガーとなり、植物ホルモンであるオーキシンやエチレンの分布が変化し、茎を太くし、より多くの光を受け止めるために葉面積を劇的に拡大させるモード(成熟相)へと移行するのです。

逆に、ハンギングなどで空中にぶら下がっている状態では、ポトスは足場を見つけられず、「今は不安定だから、体を軽くしておこう」と判断します。その結果、いつまで経っても葉は小さく、ツルは細いままの「幼年期(juvenile phase)」の状態が維持されるわけです。

つまり、ポトスを大きく育てたいのであれば、肥料や日光よりもまず先に、「登るべき垂直な壁や柱」を与えてあげることが、生物学的に絶対不可欠な条件となるのです。

さらに、登攀(とうはん)が成功して葉が成熟してくると、葉脈の間に細胞死が起こり、あの独特な「切れ込み(fenestration)」や穴が形成されます。

これは、林冠部(木の上の方)の強い風を受け流して葉が裂けるのを防いだり、自分の巨大な葉が傘になって下の葉に光が届かなくなるのを防ぎ、木漏れ日を透過させたりするための、非常に合理的な進化の結果だと言われています。

自宅でこの切れ込みの入った葉(フルムーンやハーフムーンなどの斑入り品種ならなおさら美しいです!)を拝むためには、とにかく「上に、上に」と誘導してあげることが、ポトス本来のポテンシャルを解放する唯一の道なのです。

支柱を使って垂直に育てるメリット

ポトスを支柱に這わせて垂直に仕立てること(いわゆるタワー仕立てやヘゴ仕立て)には、単に「葉が大きくなる」という以外にも、栽培管理上やインテリアの観点から、数え切れないほどのメリットがあります。

私が長年ポトスと向き合ってきて実感している、「あえて手間をかけて登らせる理由」を詳しく解説します。

まず最大のメリットは、「草姿(株のシルエット)が圧倒的に美しくなる」という点です。ポトスを垂らして育てていると、どうしても重力に従って節間(葉と葉の間の茎の長さ)が間延びしてしまいがちです。

特に室内で光が不足すると、ヒョロヒョロと長く伸びて、葉と葉の間がスカスカになり、なんだか貧弱な見た目になってしまった経験はありませんか?

しかし、支柱を使って上に登らせると、植物は重力に逆らって体を支えるために、節間をギュッと短く詰めるようになります。その結果、限られたスペースに葉が密生することになり、非常にボリューム感のある、いわゆる「わさわさ」とした豪華な株に仕上がるのです。

360度どこから見ても緑が溢れているような「ポトスタワー」は、たった一鉢あるだけで部屋のフォーカルポイント(視線を集める場所)になり、インテリアのグレードを一気に引き上げてくれます。

次に、「健康状態の維持と管理のしやすさ」も挙げられます。垂直に仕立てることで、葉が重なりすぎずに適度な間隔で配置されるため、株内部の風通しが良くなります。ポトス栽培でありがちな「株元の蒸れ」や、カイガラムシやハダニといった害虫の発生を抑制する効果が期待できるのです。

また、葉の裏側にも目が届きやすくなるため、病害虫の早期発見にもつながります。

そして、意外と見落とされがちなのが「スペース効率の良さ」です。ポトスを横に這わせたり、あちこちに垂らしたりすると、生活動線の邪魔になったり、床の掃除がしにくくなったりすることがあります。

しかし、垂直方向への成長であれば、床面積(フットプリント)は鉢の大きさ分だけで済みます。日本の住宅事情、特にスペースに限りがある賃貸マンションなどでは、高さを活かして緑の量を最大化できる垂直栽培こそが、最も理にかなったグリーンインテリアの手法だと言えるでしょう。

天井に向かって伸びる緑のラインは、視覚的に天井を高く見せる効果もあり、部屋を広く感じさせてくれるという嬉しいおまけもついてきます。

支柱選びの基礎知識や、きれいに巻きつけるための具体的な手順については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。初心者の方はぜひ併せてご覧ください。

ポトスタワーの支柱選びと育て方の完全ガイド!巻き方のポイントは?

100均素材でモスポールを自作する

100均素材でモスポールを自作する

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「ポトスを登らせるための支柱」と聞くと、園芸店で売っている立派なものを想像するかもしれません。しかし、市販の支柱はサイズが決まっていたり、意外と高価だったり、機能的に満足できなかったりすることがあります。

そこで私が強くおすすめしたいのが、100円ショップ(ダイソー、セリア、キャンドゥなど)で手に入る材料だけで作る、オリジナルの「モスポール(Moss Pole)」です。

「モスポール」とは、その名の通り「苔(Moss)の柱」のこと。芯材の周りに水苔を巻き付けた支柱のことで、海外の観葉植物愛好家の間ではスタンダードなアイテムです。

これを自作することで、鉢のサイズや植物の高さに合わせて長さを自由に調整できるだけでなく、市販品を凌駕するほどの高い保水機能を持たせることが可能になります。

自作モスポールに必要な材料(全て100均で揃います)

  • 鉢底ネット:プラスチック製の黒いメッシュシート。ロール状で売られているものが使いやすいです。これがポールの外側(殻)になります。
  • 乾燥水苔:園芸コーナーに必ずあります。AAランクなどの高級なものでなくて大丈夫です。これが水分を保持するスポンジの役割を果たします。
  • 園芸用支柱:緑色のイボ竹など。ポールの芯に入れて強度を出します。鉢の深さ+作りたいポールの高さ分の長さがあるものを選びましょう。
  • 結束バンド(タイラップ):黒色を選ぶとネットに馴染んで目立ちません。10cm〜15cmくらいの長さが使いやすいです。

最強モスポールの作り方:完全手順

手順1:水苔の準備 まず、乾燥水苔をバケツの水に浸して戻します。10分ほど放置して十分に水を吸ったら、手でギュッと握って水気を絞ります。このとき、カラカラすぎず、ビチャビチャすぎない、いわゆる「しっとり」した状態にするのがコツです。

手順2:ネットの加工 鉢底ネットを広げ、作りたいポールの太さに合わせてカットします。太すぎると鉢に入りませんし、細すぎると水苔が少ししか入りません。直径4cm〜5cmくらいの円筒が作れる幅(約15cm〜18cm程度)に切るのが一般的です。

手順3:水苔の充填と成形 カットしたネットの上に、絞った水苔を均一に敷き詰めます。この時、中央部分に芯となる園芸用支柱を置きます。そして、ネットを海苔巻きのようにくるっと丸めて円筒状にし、端と端を重ね合わせます。

手順4:固定 重ね合わせたネットの網目同士を、結束バンドでしっかりと留めていきます。下から上まで、5cm間隔くらいで留めると隙間から水苔がこぼれ落ちず、きれいな円筒形になります。余った結束バンドの「しっぽ」はハサミで切り落としましょう。

これで完成です!この「水苔内蔵型」の支柱は、上から水を注ぐと内部の水苔がたっぷりと水を吸い込み、長時間湿った状態をキープしてくれます。ポトスの気根は湿気を感知して伸びる性質があるため、このモスポールに触れると面白いくらいに根を張り、ガッチリと食い込んでいきます。

まさに「垂直な土壌」を作り出すことができるのです。数百円でこの機能性が手に入るのですから、やらない手はありませんよね。

100均アイテムを活用してポトスをボリュームアップさせるテクニックは他にもたくさんあります。興味のある方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

ポトスをこんもりさせたい人のための100均活用術と裏技とは?

ヘゴ支柱の代用品とココヤシの違い

ポトスの支柱といえば、昔から「ヘゴ支柱」が王道とされてきました。ヘゴは木生シダの幹を乾燥させた天然素材で、表面がゴツゴツとしていて気根が引っかかりやすく、通気性と保水性のバランスが絶妙という、まさに着生植物のために存在するような理想的な素材でした。

しかし、残念ながら現在、ヘゴは乱獲による減少のためワシントン条約などで保護の対象となり、市場流通量が激減しています。

園芸店で見かけても非常に高価で、気軽には手を出せない「高級品」になってしまいました。そこで、ヘゴの代わりとして普及しているのが「ココヤシ支柱」や、先ほど紹介した「モスポール」です。これらは一見似ていますが、その性能には決定的な違いがあります。

ココヤシ支柱のメリット・デメリット

ホームセンターやインテリアショップでよく見かける、茶色い繊維が巻かれた支柱がココヤシ支柱です。見た目がナチュラルでおしゃれなので人気がありますが、機能面では少し注意が必要です。 最大の特徴は「乾燥しやすい(水を弾く)」という点です。

ココヤシの繊維は油分を含んでおり、一度乾くと水を弾いてしまい、なかなか吸水しません。そのため、気根に対して水分を供給する能力は低く、単なる「物理的な支え」としての役割が主になります。

「とりあえず上に伸ばして見た目を整えたい」という場合には手軽で良いのですが、「葉を巨大化させたい」「気根を活着させたい」という本気モードの栽培には、少し力不足を感じることがあるかもしれません。

モスポール(水苔支柱)の圧倒的優位性

一方、モスポール(特に自作の水苔支柱)は、植物生理学的な観点から見ても理にかなっています。水苔は自重の何倍もの水を蓄えることができ、常に湿った環境を作り出します。

最近の研究でも、サトイモ科の植物の気根は、湿った素材に触れることで活性化し、そこから水分だけでなく窒素などの養分も積極的に吸収することが分かっています。

つまり、モスポールは単なる「棒」ではなく、「第二の土壌」として機能するのです。土中の根だけでなく、空中の気根からも水分と栄養を取り込めるようになったポトスは、成長スピードが加速し、葉のサイズアップも容易になります。

もし、「ヘゴが手に入らないけれど、ヘゴ並みかそれ以上の効果が欲しい」とお考えなら、迷わず水苔を使ったモスポールの導入をおすすめします。

種類素材の特徴保水性気根の活着おすすめユーザー
ヘゴ支柱天然のシダの幹。凹凸があり最高級。入手困難。非常に良い予算を問わず、伝統的な本物を求める人。
モスポール (自作/水苔)水苔をネットで固定。吸水性抜群。極めて高い最高葉を巨大化させたい人。コストを抑えたい人。
ココヤシ支柱ココヤシ繊維。硬くて水を弾きやすい。やや難しいインテリア重視の人。手軽に済ませたい人。
流木・コルク自然の木や樹皮。見た目はワイルド。低〜中普通ビカクシダのような着生スタイルを楽しみたい人。

気根への水やりと肥料の与え方

ポトスを垂直に育て始めると、茎の節々からヒゲのような「気根」が伸びてくることに気づくはずです。「見た目がちょっと気持ち悪いから切ってもいいですか?」という質問をよく頂きますが、巨大化を目指すなら絶対に切ってはいけません!

この気根こそが、ポトスが大きく育つための生命線なのです。

ポトスを上に伸ばす場合の管理で最も重要なのは、「土への水やり」と「気根への水やり」を分けて考えることです。

鉢の土が乾いたら水をやるのは当然ですが、それだけでは高い位置にある葉や茎まで十分な水分が行き渡らないことがあります。特に、重力に逆らって水を吸い上げるには大きなエネルギーが必要です。

気根を活性化させる水やりテクニック

モスポールを使用している場合は、水やりの際にポールの頂上からゆっくりと水を注ぎ、ポール内部の水苔にたっぷりと吸水させてください。こうすることで、気根がポール内の水分を直接吸収できるようになり、土中の根への依存度が下がります。

結果として、植物全体にかかる水ストレス(水不足の負担)が軽減され、上部の葉もピンと張った状態を保てるようになります。

また、毎日の「葉水(はみず)」も欠かせません。霧吹きで葉っぱだけでなく、気根や支柱全体がしっとり濡れるようにスプレーします。特に冬場など空気が乾燥する時期は、気根が干からびて機能を失いやすいので、加湿器を近くに置くか、こまめな霧吹きで空中湿度を高める工夫が必要です。

肥料は「葉面散布」が効く!

肥料についても一工夫しましょう。通常の固形肥料を土に置くのも良いですが、即効性と効率を考えると「葉面散布(ようめんさんぷ)」が非常に効果的です。

液体肥料(ハイポネックスなど)を規定の倍率よりもさらに薄く(例えば2000倍〜3000倍程度)希釈し、霧吹きに入れて、葉の裏側や気根、そしてモスポールに向けて直接スプレーします。

実は、気根は根毛を持たない太い根のように見えますが、表面から養分を吸収する能力を持っています。成長点に近い場所にある気根から直接栄養を補給することで、ダイレクトに成長促進につながります。

「土から吸い上げる」ルートと「空中から取り込む」ルートのダブル供給体制を作ることが、ポトスをモンスター級に育てるための秘訣なんですよ。

賃貸でもポトスを上に伸ばす固定テクニック

賃貸でもポトスを上に伸ばす固定テクニック

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ここまで、鉢植えに支柱を立てる方法をご紹介してきましたが、「そもそも鉢を置くスペースがない」「部屋の壁一面を緑のカーテンにしたい」という野望をお持ちの方もいるでしょう。

しかし、ここで立ちはだかるのが日本の住宅事情、特に賃貸物件における「壁の原状回復」という壁です。「壁に穴を開けたら退去時に高額請求されるのでは…」と不安になりますよね。

でも安心してください。最近はDIYブームもあって、壁へのダメージを最小限(画鋲以下!)に抑えつつ、しっかりと植物を支えられる画期的なアイテムがたくさん登場しています。

ここからは、私が実際に賃貸マンションで使用している、壁面緑化のための固定テクニックと便利グッズを余すことなく公開します。

壁を傷つけずに固定する便利グッズ

まず大前提として、賃貸の壁(石膏ボード)に何かを固定する場合、絶対に避けるべきなのは「木ネジ」や「太い釘」です。これらは下地のボードを貫通して大きな穴を開けてしまうため、退去時の修繕対象になる可能性が高いです。また、強力な「粘着テープ式のフック」もおすすめしません。

植物の重みと湿気で剥がれ落ちるリスクがあるだけでなく、剥がす際に壁紙ごとベリッと剥がれてしまう事故が多発しているからです。

そこで選択肢となるのが、「ピン(針)を使って固定するタイプ」のフックです。これらは、細い針を壁に刺して固定するため、抜いた後の穴が非常に小さく、クロスの模様に紛れてほとんど目立ちません。

おすすめ最強フック:Jフック・かけまくり

私が長年愛用しているのが、「Jフック(マジッククロス8)」や「ハイパーフック かけまくり」といった商品です。これらは、2本〜3本の細いピンを、壁の中で交差(クロス)するように刺し込む独自構造を持っています。

単に真っ直ぐ刺す画鋲は、下方向に引っ張ると簡単に抜けてしまいますが、クロスして刺さるピンは「引き抜き強度」が桁違いに高いのです。例えば、「かけまくり」のメタルフックタイプなら、画鋲と同じくらいの細い穴しか開かないのに、なんと耐荷重7kg(商品による)を実現しています。

これなら、成長して重くなったポトスのツルや、ハンギングポットを吊るしてもビクともしません。

ホッチキスで留めるフックの活用術

ホッチキスで留めるフックの活用術

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そして、私が初めて使った時に「これ考えた人、天才か?」と感動したのが、「家庭用ホッチキスで固定するフック」です。代表的な商品に「壁美人」などがありますが、最近ではセリアなどの100円ショップでも類似のアイテムを見かけるようになりました。

このフックの仕組みは単純かつ画期的です。専用のプラスチック製フィルムやプレートを壁に当て、その上からホッチキスをパチン、パチンと数回打ち込むだけ。

ホッチキスの針は、画鋲の太さ(約1mm)に比べてはるかに細い(約0.5mm以下)ため、抜いても穴がどこにあるか探さないと分からないレベルなんです。

「えっ、ホッチキスなんかで重いものが支えられるの?」と不安に思うかもしれませんが、1本の針にかかる力は小さくても、複数本で荷重を分散させることで、数キログラム〜十数キログラムの耐荷重を発揮します。

私はこのホッチキスフックを使って、壁にワイヤーメッシュ(格子状のネット)を取り付け、そこにポトスのツルをS字フックやビニールタイで誘引しています。

この方法の素晴らしいところは、失敗してもやり直しが簡単なこと。「あ、位置がちょっとズレたな」と思ったら、針を抜いて数センチ横に打ち直せばいいだけ。前の穴は全く気になりません。賃貸でレイアウトにこだわりたい完璧主義の方には、まさに救世主のようなアイテムと言えるでしょう。

おしゃれな壁面緑化レイアウト実例

おしゃれな壁面緑化レイアウト実例

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固定手段を手に入れたら、次は「どう這わせるか」というデザインの楽しみが待っています。ただ漫然と壁に這わせるのも野性味があって良いですが、少し意図を持ってレイアウトすることで、インテリアとしての完成度がグッと高まります。いくつかおすすめのパターンを紹介しましょう。

1. フレーミング(額縁)効果

リビングに飾っているポスター、絵画、あるいは壁掛けテレビの周囲を囲むように、ポトスのツルを這わせる手法です。

無機質な家電やアートの周りに有機的な緑のラインが入ることで、対象物が強調され、まるで森の中にアートが飾られているような幻想的な雰囲気が生まれます。100均のワイヤーネットを額縁のように配置し、そこにポトスを絡ませていくと形を作りやすいですよ。

2. ライティングと影(シャドウ)の演出

壁を這うポトスの真下や斜め下から、小型のスポットライトやクリップライトで光を当ててみてください。すると、壁や天井にポトスの葉のシルエットが大きく投影されます。風で葉がわずかに揺れるたびに影も揺らめき、部屋全体に動きと癒やしが生まれます。

植物そのものを見るだけでなく、「影をインテリアにする」という上級テクニックです。夜のリラックスタイムに間接照明だけで過ごすときなど、最高の雰囲気を演出してくれます。

3. 懸垂(けんすい)ライン

背の高い棚や冷蔵庫の上などに鉢を置き、そこから一度ツルを垂らします。そして、垂れ下がったツルの先端を、隣の壁の高い位置に取り付けたフックへと持ち上げます。

こうすると、重力で垂れる自然な曲線(カテナリー曲線)と、上に向かう力強いラインが組み合わさり、空間に奥行きとリズムが生まれます。天井付近のデッドスペースを有効活用できるのも魅力です。

日当たり管理で徒長を防ぐコツ

壁面緑化を行う上で、最も警戒しなければならないのが「光量不足」です。窓辺に置く鉢植えと違い、壁際は窓から離れていることが多く、人間の目には明るく見えても、植物にとっては「薄暗い洞窟」のような環境であることがあります。

光が足りないと、ポトスは必死に光を探そうとして、茎をひょろひょろと長く伸ばす「徒長(とちょう)」を起こします。こうなると、せっかく壁に這わせても葉っぱが小さく、節間がスカスカで、みすぼらしい見た目になってしまいます。

また、斑入り品種(マーブルクイーンなど)の場合、光不足で美しい白い模様が消えて、ただの緑色の葉に戻ってしまうこともあります。

これを防ぐためには、植物育成用LEDライトの導入を強くおすすめします。最近は、インテリアに馴染む電球タイプのものや、クリップで簡単に取り付けられるおしゃれなライトがたくさん販売されています。

壁に這わせたポトスに向けてスポットライトのように育成ライトを照射してあげれば、窓から遠い壁際でも健全に育ち、葉のサイズや斑の美しさをキープすることができます。先ほど紹介した「ライティング演出」と兼ねれば、おしゃれさと植物の健康を一石二鳥で手に入れられますよ。

ポトスがどれくらいの暗さまで耐えられるのか、また日陰で育てる場合の具体的な注意点については、こちらの記事で深掘りしています。

ポトスの耐陰性を解説!日陰で育てるコツと対策や植え替え方法も

賃貸の原状回復ルールと補修方法

最後に、賃貸にお住まいの方が最も気になるであろう「退去時の原状回復」という現実的な問題について、正しい知識と対処法をしっかりとお話ししておきます。

「壁に穴を開けたら、敷金が返ってこないんじゃないか…」という不安が、壁面緑化への最後の一歩を躊躇させているなら、この章を読めばきっと心が軽くなるはずです。

まず、日本の賃貸借契約において基準となるのが、国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。

このガイドラインでは、賃貸物件の使用における「通常の使用による損耗(経年劣化など)」の修繕費用は、借主(入居者)ではなく貸主(オーナー)が負担すべきであると明確に示されています。

具体的に、壁への画鋲やピンの使用については以下のように記されています。

「ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものであり、そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常の損耗と考えられる」

(出典:国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについて』)

つまり、下地の石膏ボードを張り替えなければならないような「大きな穴(釘や木ネジによるもの)」や、無数に穴を開けて壁全体を蜂の巣のようにしてしまった場合を除き、常識的な範囲で使用した画鋲や、今回ご紹介したような細いピンフック、ホッチキスの穴については、原則として借主が補修費用を負担する必要はないというのが一般的な解釈なのです。

ただし、ここで一つだけ注意点があります。それは「賃貸契約書の特約」です。物件によっては、契約書の特約事項に「画鋲・ピン等の使用を一切禁止する」あるいは「退去時は、いかなる理由があってもクロスの張替え費用を借主が負担する」といった条項が盛り込まれている場合があります。

このような特約がある場合は、ガイドラインよりも契約内容が優先されることがあるため、壁面緑化を始める前に、一度お手元の契約書を確認するか、管理会社や大家さんにメールで問い合わせてみるのが確実です。

「観葉植物を吊るすために、画鋲程度の穴が開くフックを使っても良いですか?」と聞けば、意外とすんなり「常識の範囲内ならOKですよ」と言ってもらえることが多いですよ。

それでもやっぱり「退去時に何か言われるのが怖い」「立つ鳥跡を濁さずで、きれいに直して出たい」という几帳面な方もいるでしょう(私もそうです)。そんな方のために、誰でも簡単にできる魔法のような穴埋めテクニックを伝授します。

1. ティッシュ詰め(初級編)

これが最も手軽で、家にあるものだけでできる方法です。まず、ティッシュペーパーを少しちぎって、指先でねじり、細い「こより」を作ります。それをピンの穴に差し込み、爪楊枝のお尻などを使って奥までギュッと押し込みます。

穴が埋まったら、はみ出た部分をカットし、最後に少量の水や木工用ボンドを指につけてチョンチョンと馴染ませます。白い壁紙であれば、これだけで穴が完全に周囲と同化して、どこにあったのか自分でも分からなくなるレベルに隠蔽できます。

2. ジョイントコーク・専用補修材(中級編)

より完璧を求めるなら、ホームセンターの壁紙コーナーに売っている「ジョイントコーク(ボンドコーク)」や「クロスの穴うめ材」という商品を使いましょう。これはプロの内装業者が壁紙の継ぎ目を埋めるのに使うコーキング剤で、数百円で購入できます。

使い方は簡単で、チューブから少量を穴に注入し、付属のヘラや指で平らにならすだけ。ホワイト、アイボリー、ベージュなど、壁の色に合わせて選べるので、仕上がりはプロ並みです。これを一本持っておけば、うっかり開けてしまった穴も怖くありません。

このように、法的なルールを正しく理解し、万が一の時のリカバリー方法さえ知っておけば、賃貸だからといって壁面緑化を諦める必要は全くありません。壁という広大なキャンバスを使って、ポトスを自由に描く楽しさを、ぜひ味わってください。

ポトスを上に伸ばす栽培を楽しもう

ここまで、ポトスを上に伸ばすことの生物学的な意味から、100均素材を使ったモスポールの作り方、そして賃貸でも安心して楽しめる壁面固定術まで、私の持てる知識と経験を余すことなくお話ししてきました。

改めてお伝えしたいのは、ポトスという植物は、私たちが思っている以上に「野心的で、力強い生き物」だということです。

可愛らしいハンギングの姿も素敵ですが、支柱を得て上を目指し始めたポトスが見せる、あの日に日に大きくなっていく葉の迫力、太く逞しくなっていく茎、そして空中の水分を貪欲に求めようとする気根の生命力には、心を揺さぶられるような感動があります。

「上に伸ばす」という行為は、単なる園芸手法の一つではありません。それは、熱帯雨林のジャングルで巨木によじ登り、太陽の光を浴びようと懸命に生きるポトスの「野生の本能」を、あなたの部屋の中で解放してあげることです。

そうしてのびのびと育ったポトスは、きっとあなたの部屋を、ただの居住空間から、生命エネルギーに満ちた最高のパワースポットへと変えてくれるはずです。

今回ご紹介した方法は、どれも特別な技術や高価な道具を必要としません。100円ショップに行けば材料は揃いますし、ホッチキス一つあれば壁への固定も可能です。

「うちのポトス、最近ちょっと元気がないな」「もっとインテリアとしてカッコよくしたいな」と思ったら、ぜひ今週末にでも、ポトスの「垂直栽培」にチャレンジしてみてください。

数ヶ月後、見違えるように巨大化した葉を見上げながら、「やってよかった!」とガッツポーズする日が来ることを約束します。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。あなたのポトスライフが、より高く、より豊かに広がることを心から願っています。

本記事で述べる一部のメカニズムは現時点で一般的な園芸知識や公開文献に必ずしも裏付けられたものではなく、実践的経験に基づく仮説的説明を含みます。最新の研究や環境条件によって結果が異なる場合がありますので、参考情報としてご活用ください。

  • この記事を書いた人
パキラを持つ運営者

まさび

『観葉植物のある暮らしスタイル』管理人のまさびです。失敗から学んだ実体験と深い知識で、観葉植物の育て方(特にパキラ)を優しく解説。あなたのグリーンライフを応援します。

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