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こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。
「ポトスにはどんな品種があるんだろう?」「せっかく育てるなら、自分好みの特別な一鉢を見つけたい!」今、あなたはそんなワクワクした気持ちで画面を見つめているのではないでしょうか。
ポトスといえば、喫茶店やオフィスの隅に置かれている「丈夫なだけの緑の植物」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
実は、それはもう過去の話。現在のポトス界隈は、まさに「品種改良の戦国時代」と言っても過言ではないほど、驚くべき進化を遂げているんです。
まるで現代アートのような複雑な白斑が入ったもの、宝石のエメラルドのように輝くライム色の葉、さらには葉がくるくると巻いたり、クシャクシャに縮れたりする個性的な形状のものまで、そのバリエーションは数十種類にも及びます。
私自身、最初は「どれも同じポトスでしょ?」と思っていましたが、それぞれの個性を知れば知るほど、その奥深い世界に惹き込まれ、気づけばベランダもリビングもポトスだらけになっていました。
品種によって、育てやすさや成長スピード、必要な光の量も全く異なります。
「部屋をおしゃれにしたいけれど、どれを選べばいいかわからない」「珍しい種類を育ててみたいけれど、枯らしてしまわないか心配」そんな風に迷っているあなたに、私の栽培経験と失敗談を交えながら、絶対に後悔しない品種選びのヒントを全力でお届けします。
ポイント
- 現在流通している主要なポトスの品種名とその詳細な特徴
- インテリアのスタイルや設置場所に合わせた品種選びのポイント
- 園芸店では滅多に出会えない入手困難なレア品種や最新品種の魅力
- 品種ごとの性質の違いに基づいた、失敗しない育て方のコツ
コンテンツ
人気のポトスの品種とその特徴

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ポトスには世界中で愛されている品種から、日本国内の育種家さんが情熱を注いで生み出した希少な品種まで、本当にたくさんの種類が存在します。
ここでは、まず絶対に知っておきたい基本の品種から、最近話題のトレンド品種までをカテゴリー別に詳しく解説していきます。「こんなポトスもあったんだ!」という新しい発見がきっとあるはずです。
代表的な種類と名前の一覧

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園芸店やホームセンターに行くと、必ずと言っていいほど見かける「定番」のポトスたち。これらが長く愛され続けているのには、それだけの確固たる理由があります。
まずは、ポトス界の「御三家」とも言える基本の3品種をしっかりと押さえておきましょう。
1. ゴールデンポトス(Epipremnum aureum 'Golden')
最もポピュラーで、誰もが一度は目にしたことがあるのが「ゴールデンポトス」です。日本では古くから「オウゴンカズラ(黄金葛)」という和名で親しまれてきました。濃い緑色の葉に、不規則に入る鮮やかな黄色の斑(ふ)が特徴です。
この品種の最大の魅力は、なんといってもその「圧倒的な生命力」にあります。
耐陰性(暗さに耐える力)、耐乾性(乾燥に耐える力)、成長速度、どれをとってもトップクラス。多少の水やり忘れや、日当たりの悪い部屋でも、文句ひとつ言わずに元気に育ってくれます。
「植物を枯らすのが得意」という自虐的な冗談を言う方にこそ、最初に手にとってほしい品種です。
また、黄色い斑の部分はカロテノイドという色素で構成されており、完全に葉緑素がないわけではないため、光合成能力も十分に高いのが特徴です。成長するとつるがどんどん伸びて、部屋中に緑のカーテンを作ることも容易です。
私自身、最初に育てた植物はこのゴールデンポトスでしたが、その強さに何度も助けられ、自信をつけてもらいました。
2. ポトス・ライム(Epipremnum aureum 'Lime')
次によく見かけるのが「ポトス・ライム」です。その名の通り、葉全体が鮮やかなライムグリーン(蛍光色のような明るい黄緑色)一色になるのが特徴です。斑入りではありませんが、その発色の良さは植物の中でも群を抜いています。
ライムの素晴らしいところは、「置くだけで部屋が明るくなる」という照明効果です。北向きの部屋や、窓が小さくて少し薄暗いリビングなどに置くと、まるでそこにライトが灯ったかのように空間が華やぎます。
インテリアの差し色としても非常に優秀で、モノトーンの部屋や、ダークブラウンの家具が多い落ち着いた部屋に置くと、素晴らしいコントラストを生み出します。
ただし、ゴールデンポトスに比べると、直射日光による「葉焼け」を起こしやすい傾向があります。夏場の強い日差しは避け、レースのカーテン越しの柔らかな光で育ててあげると、その美しいライム色を長く保つことができます。
3. マーブルクイーン(Epipremnum aureum 'Marble Queen')
白い斑入り品種の代表格にして、長年のベストセラーが「マーブルクイーン」です。白と緑が絵の具を混ぜたように細かく入り混じる「散り斑(ちりふ)」が特徴で、その繊細な美しさは「女王(クイーン)」の名に恥じない気品があります。
この品種は、個体によって白の面積が多いものや、緑が強いものなど、表情が豊かなのも魅力の一つです。白い部分が多い株は、全体的にシルバーがかった緑色に見え、非常にエレガントで涼しげな印象を与えます。
ホワイトインテリアや、フレンチカントリー風のお部屋にはこれ以上ないほどマッチします。
注意点としては、白い部分には葉緑素がほとんどないため、緑色の品種に比べて光合成の効率が落ちることです。そのため、成長速度は比較的ゆっくりです。
「どんどん伸びてほしい」という方には少しじれったいかもしれませんが、「あまり大きくならずに、今の姿を長く楽しみたい」という方には、むしろ最適な品種と言えるでしょう。
ここがポイント
まずは「ゴールデン」「ライム」「マーブルクイーン」の3大品種を覚えましょう。これらが全てのポトスの基本形となっており、これらを知ることで他の品種との違いがより明確に見えてきます。
美しい斑入りの種類と色の違い
ポトスの魅力といえば、やはり葉に入る模様「斑(ふ)」の芸術的な美しさですよね。一言で斑入りと言っても、そのパターンや色味は品種によって千差万別。ここでは、より鑑賞価値の高い、美しい斑入り品種たちをご紹介します。
純白の極致:スノークイーン
先ほど紹介したマーブルクイーンの中から、さらに白斑の面積が広いものを選抜して生まれたのが「スノークイーン」です。その名の通り、まるで雪が降り積もったかのような真っ白な葉は、息をのむ美しさです。
緑色の部分はわずかな点として残る程度で、株全体が白く輝いて見えます。しかし、その美しさの代償として、栽培難易度は少し高めです。葉緑素が極端に少ないため、光合成能力が低く、成長は非常に遅いです。
また、直射日光に当てると白い部分が一瞬で茶色く焼けてしまうため、光の管理には細心の注意が必要です。それでも、この透明感のある美しさは、手間をかける価値が十分にあると私は思います。
王者の風格:ポトス・ステータス
「ポトスの王様」という異名を持つ、比較的新しい品種が「ポトス・ステータス」です。この品種の最大の特徴は、葉の形状と斑の入り方にあります。
葉は大きく丸みを帯びており、縁が緩やかに波打つ(ウェーブする)ことで、非常に優雅で立体的なフォルムを作り出します。
斑は、マーブルクイーンのような細かい散り斑ではなく、白と緑がくっきりと分かれた大きなブロック状に入ることが多いです。
そのため、遠目から見てもコントラストがはっきりとしており、一鉢置くだけで空間の主役になれるほどの圧倒的な存在感(ステータス)を放ちます。
実はこのステータス、後述する「エンジョイ」の枝変わりから生まれたとされており、遺伝的にはエンジョイに近い性質を持っています。
そのため、茎が太く丈夫で、見た目の豪華さに反して意外と育てやすいのも嬉しいポイントです。
芸術的な刷毛目模様:マンジュラ(ハッピーリーフ)
日本国内では「ハッピーリーフ」という流通名で販売されていることが多いですが、世界的には「マンジュラ(Manjula)」という名で知られています。この品種も非常にユニークです。
葉の形は他のポトスとは一線を画す、幅広の丸いハート型。そして何より、白、クリーム色、薄い緑、濃い緑が複雑に混じり合う斑の模様が特徴的です。
まるで筆でサッと掃いたような「刷毛目(はけめ)」模様が入ることもあり、一枚として同じ模様の葉が存在しません。
非常に美しい品種ですが、寒さにはやや弱い傾向があります。冬場は特に暖かい場所で管理してあげることが、この美しい葉を落とさずに維持するコツです。
人気の小型種エンジョイ等の識別

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「ポトスは好きだけど、つるがどんどん伸びて場所を取るから困る…」そんな住宅事情の悩みを鮮やかに解決してくれたのが、葉が小さくコンパクトに育つ品種たちです。
特に2000年代後半に登場した「ポトス・エンジョイ」は、ポトスの常識を覆す革命的な品種でした。
ポトス・エンジョイ(Epipremnum aureum 'N'Joy')
エンジョイは、インドの生産農場で発見された枝変わり(突然変異)を、オランダの育種家が固定化した品種です。2007年には、世界最大級の花き園芸見本市で栄えある「フローラ・ホランド・アワード」を受賞し、世界中で大ブレイクしました。
最大の特徴は、そのサイズ感。通常のポトスの半分〜3分の1程度の小ぶりな葉で、節と節の間(節間)が短く詰まって成長します。
そのため、だらしなく伸びることがなく、こんもりと密度の高い美しい姿を長くキープできます。斑は、白と緑の境界線が筆で描いたようにくっきりとしており、非常にモダンな印象です。
もし、あなたが「テーブルの上にちょこんと置けるポトスが欲しい」と思っているなら、エンジョイは間違いなくベストバイです。
成長がゆっくりなので、頻繁な剪定や植え替えの手間が少ないのも、忙しい現代人には嬉しいポイントですね。
似ているけれど違う!グレイシャーとパールズ・アンド・ジェイド
エンジョイの人気に伴い、似たような特徴を持つ小型品種もいくつか登場しています。特によく混同されるのが「グレイシャー」と「パールズ・アンド・ジェイド」です。
これらは園芸店でも名前が間違って売られていることがあるほど似ていますが、よく観察すると明確な違いがあります。
| 品種名 | 特徴と見分け方のポイント | 葉の質感と印象 |
|---|---|---|
| エンジョイ (N'Joy) |
| パキッとしたコントラストで、造花のように整った美しさ。モダンでシャープな印象。 |
| グレイシャー (Glacier) |
| 「氷河」の名のごとく、クールで落ち着いた色合い。エンジョイよりも少し野性味がある。 |
| パールズ・アンド・ジェイド (Pearls and Jade) |
| 「真珠と翡翠」という名の通り、複雑で繊細な模様。点描画のような芸術的な美しさ。 |
見分ける際の最大のポイントは、「白い部分に緑の点々(ごま斑)があるかどうか」です。点々があれば「パールズ・アンド・ジェイド」の可能性が高く、真っ白でクリアなら「エンジョイ」の可能性が高いです。
どれも魅力的ですが、個人的にはやっぱり「エンジョイ」の洗練されたコントラストが好きですね。
ちなみに、エンジョイは一般的なポトスとは少し葉の質感が異なり、少し硬めで造花のような感触があります。そのため、水切れのサイン(葉がしおれるなど)が少し分かりにくいという特徴もあります。
詳しい育て方や、枯らさないためのコツについては、以下の記事で徹底解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ポトスエンジョイの育て方は難しい?枯らさないコツと対処法を解説
入手困難なレア品種テルノの世界
さて、ここからは少しマニアックな、深淵なるポトスの世界へご案内しましょう。愛知県の育種家、浅岡園芸さんが長年の歳月をかけて作出したオリジナル品種群、通称「テルノシリーズ」です。
これらは一般的なホームセンターではまずお目にかかれないレア品種ばかりで、植物マニアの間では常に注目の的となっています。
常識破りの羅紗葉:テルノシャングリラ
テルノシリーズの代表作にして、見る人に衝撃を与えるのが「テルノシャングリラ」です。初めてこの品種を見たとき、私は正直「えっ、これ病気?それとも水切れで枯れてるの?」と思ってしまいました。
葉が全体的にクシャクシャに縮れ、ボコボコと隆起しているのです。
これは園芸用語で「羅紗(らしゃ)葉」と呼ばれる変異なのですが、本来なら「奇形」として廃棄されてしまうようなこの特徴を、浅岡さんは「独自の美」として固定化することに成功しました。
葉色は非常に濃い深緑色で、光沢があり、縮れた葉が密生して茂る姿は、まるでゴジラの皮膚のような迫力と、独特の陰影を生み出します。
男性的なかっこよさがあり、インダストリアルなインテリアや、ヴィンテージ家具との相性は抜群です。葉が厚く、蒸散が抑えられるためか、乾燥にも強く非常に強健です。
愛の歌を奏でる巻き葉:テルノラブソング
私が数年間探し求めて、ようやく手に入れたのが「テルノラブソング」です。こちらは「巻き葉」といって、葉がくるりと内側に巻いて、お椀や筒のような形になる変異を持つ品種です。
白に近い明るい斑が入った葉が、クルクルと巻いた状態で成長する姿は、本当に愛らしく、見ているだけで優しい気持ちになれます。
葉の先端が尖ったハート型で、それが立体的に表現される様は、まさに「ラブソング」という名にふさわしいロマンチックな雰囲気。
しかし、このラブソング、とにかく成長が遅いです。葉が巻いている分、受光面積が少ないからでしょうか。生産効率が悪いため市場への流通量は極めて少なく、見つけたら即買いレベルのレア品種です。
その他、個性豊かなテルノ品種たち
テルノシリーズには他にも、以下のようなユニークな品種が存在します。
- テルノビーナス:通常のポトスとは逆に、明るい緑色の地に濃い緑色の斑が入る、逆転したコントラストが美しい品種。
- テルノムーンライト:季節によって葉色が変化する不思議な品種。春から夏の新葉は、月明かりのような淡く優しいライム色になります。
- テルノロビン:ライムよりもさらに鮮やかで濃い、目の覚めるようなイエローグリーンの葉を持つ品種。
これらのテルノシリーズは、「種苗法(PVP)」によって知的財産権が保護されています。育種家さんが膨大な時間と労力をかけて生み出した結晶ですので、私たちはその価値を理解し、正規のルートで購入して大切に育てたいものですね。
(出典:農林水産省 品種登録ホームページ)
新定番グローバルグリーンの魅力
今、ポトス界で最も熱い視線を浴びている「新時代のスタンダード」といえば、間違いなく「グローバルグリーン」でしょう。
2020年頃から本格的に流通し始めた比較的新しい品種ですが、その実力の高さから、瞬く間に人気者の座を駆け上がりました。
迷彩柄のファッショナブルな装い
グローバルグリーンの最大の特徴は、白斑ではなく「緑の濃淡」で模様が構成されている点です。葉の中央部分に明るい黄緑色(ライム色)の斑が入り、葉の縁(マージン)を濃い緑色が不規則に取り囲みます。
この配色は、まるでミリタリーファッションの「カモフラージュ(迷彩)柄」のよう。しかし、決して野暮ったくはなく、非常にシックで上品な印象を与えます。
「白斑のポトスは可愛いけど、ちょっと派手すぎる」「部屋の雰囲気に馴染む、落ち着いたグリーンが欲しい」という現代のインテリア需要に、これ以上なくマッチするデザインなのです。
最強クラスの強健さ
そして、私がこの品種を推す最大の理由は、その「強さ」にあります。白斑がない(葉緑素が抜けている部分が少ない)ため、光合成能力が非常に高く、ゴールデンポトスに匹敵するほどの丈夫さを持っています。
多少暗い場所に置いても徒長(ひょろひょろと伸びること)しにくく、逆に明るい場所に置いても葉焼けしにくい。まさに「死角なし」の優等生です。
初心者の方が今からポトスを始めるなら、私は迷わずこのグローバルグリーンをおすすめします。和室にも洋室にも、どんな空間にもスッと馴染んでくれる、最高のルームメイトになってくれるはずです。
対をなす存在:ポトス・エメラルド
グローバルグリーンと兄弟関係にある品種として、「ポトス・エメラルド」も知っておきましょう。こちらはグローバルグリーンとは配色が逆転しており、「葉の中央が濃い緑色、縁が明るい黄緑色」となります。
エメラルドの方は、葉の表面に独特の凹凸やシワが出やすく、より立体的で野趣あふれる質感をしています。
ただ、グローバルグリーンに比べると流通量は圧倒的に少なく、少しレアな品種として扱われています。もしお店で両方見かけることがあったら、その違いを見比べてみるのも面白いですよ。
失敗しないポトスの品種の選び方

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ここまでご紹介したように、ポトスには魅力的な品種がたくさんあります。どれも素敵で目移りしてしまいますが、「結局、自分の家にはどれが合うの?」と迷ってしまう方も多いはず。
見た目の好みで選ぶのももちろん正解ですが、置きたい場所の環境(光の量や温度)や、ご自身のライフスタイルに合わせて選ぶことで、失敗のリスクをぐっと減らし、より長く元気に楽しむことができます。
大型に育つ種類と仕立て方のコツ

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「リビングのコーナーに、シンボルツリーになるような背の高い植物を置きたい!」もしあなたがそう考えているなら、あえて基本種の「ゴールデンポトス」を選んでみてください。
ポトスの本能を呼び覚ます「登攀(とうはん)」仕立て
ポトスは本来、熱帯雨林のジャングルで、他の大きな木に根(気根)を張り付かせながら、上へ上へとよじ登って成長する「つる性植物」です。この「登る」という行為こそが、ポトスのスイッチを入れる鍵なのです。
鉢に「ヘゴ柱」や「ココヤシ支柱」などの太い支柱を立てて、そこにつるを這わせるように誘引して育ててみてください。すると、ポトスは「おっ、登れる木があるぞ!もっと大きくなろう!」と本能を呼び覚まします。
成長するにつれて葉はどんどん巨大化し、大人の顔ほどのサイズになることも。さらに成熟すると、モンステラのように葉に深い切れ込みや穴があくようになります。
家庭で育てていて、あの可愛らしいポトスが巨大な葉を展開させたときの感動は、言葉では言い表せません。このダイナミックな変化を楽しめるのは、成長力の強いゴールデンポトスならではの特権です。
コンパクトに楽しむ「ハンギング」仕立て
逆に、「あまり大きくしたくない」「高い場所からおしゃれに垂らしたい」という場合は、ハンギングバスケットに入れて、つるを下へ垂らすように育てましょう。 植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」といって、上の芽に栄養を送ろうとする性質があります。
つるが下を向いていると、この成長ホルモンの働きが弱まるため、葉は大きくならず、小ぶりな可愛いサイズを保ったまま伸びていきます。エンジョイやライムなどは、このハンギングスタイルで軽やかに飾るのが特におすすめです。
豆知識:気根の役割
ポトスの茎から出ている茶色い突起、あれが「気根(きこん)」です。本来は木にしがみついたり、空気中の水分を吸収したりするための根っこです。
支柱に登らせる際は、この気根が支柱に触れるように誘引してあげると、ガッチリと活着して元気に育ちますよ。
耐陰性の高い種類の配置場所
「トイレや洗面所、北向きの寝室など、日当たりの悪い場所にグリーンを置きたい」というニーズは多いですよね。ポトスは全般的に耐陰性が高い(暗さに強い)植物ですが、品種によってその許容範囲には差があります。
暗い場所でも頑張れる品種
ここでも最強なのは、やはり「ゴールデンポトス」と「グローバルグリーン」です。 これらの品種は、葉緑素を多く持っているため、少ない光でも効率よく光合成を行うことができます。
蛍光灯やLED照明の光があれば、窓から少し離れた場所でも十分に育ちます。オフィスのデスクや、窓のないトイレなどに置くなら、まずはこの2品種から試してみるのが安心です。
明るい場所を好む品種
一方で、白斑の多い「マーブルクイーン」「スノークイーン」「ステータス」などは、光線管理が少しシビアです。 白い部分はいわば「ソーラーパネルが壊れている部分」なので、緑の葉と同じエネルギーを作るためには、より多くの光が必要になります。
これらを暗い場所に置き続けると、エネルギー不足で株が弱ってしまったり、生き残るために白い斑を消して緑色に戻ろうとする「先祖返り」を起こしたりします。
美しい白斑を維持するためには、レースのカーテン越しの日光が当たる、明るい窓辺が特等席です。もし暗い場所に置きたい場合は、植物育成ライトなどを活用して光を補ってあげると良いでしょう。
「じゃあ、具体的にどのくらいの明るさが必要なの?」と気になった方は、光の強さとポトスの反応について詳しく解説したこちらの記事も参考にしてみてください。
ポトスの育て方を室内で失敗しないための基礎知識と成功ポイント
巻き葉などユニークな形状の管理

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テルノシャングリラやテルノラブソングのような、葉が変形しているタイプ(巻き葉や羅紗葉)を育てる際は、その形状ゆえの「衛生管理」に少しだけ注意が必要です。
葉が縮れていたり巻いていたりすると、普通の平らな葉に比べて、葉と葉の間にホコリが溜まりやすくなります。
また、カイガラムシやハダニといった害虫にとっても、隠れる場所がたくさんある「快適な住処」になってしまいがちです。
対策としては、こまめに「葉水(はみず)」を与えることです。霧吹きで葉の表だけでなく、裏側や巻き込んでいる部分にもしっかりと水をかけ、ホコリや害虫を洗い流すようにしましょう。
シャングリラなどは、時々お風呂場に連れて行って、シャワーで優しく全体を洗ってあげるのも効果的です。
また、これらの変異種は成長が非常にゆっくりなものが多いです。「全然大きくならないな…」と心配になって、肥料や水を過剰に与えすぎると、根腐れの原因になります。
「この子はのんびり屋さんなんだな」と割り切って、気長に見守る姿勢が大切です。
品種による寒さへの強さと冬越し
ポトスは熱帯生まれの植物なので、基本的に寒さは大の苦手です。日本の冬は、彼らにとって生死をかけた試練の季節。特に品種によっては、寒さへの耐性に明確な差が出ます。
原種に近いゴールデンポトスは比較的寒さに強く、5℃〜8℃くらいまでは耐えることができます(もちろん、暖かいに越したことはありません)。
しかし、エンジョイやマンジュラ(ハッピーリーフ)、スノークイーンなどの改良品種は、寒さに敏感です。10℃を下回ると葉が黄色くなって落ちたり、根がダメージを受けたりすることがあります。
冬越しの鉄則
- 置き場所を変える:窓際は夜間に急激に冷え込みます。夕方になったら部屋の中ほどの、暖房の効きすぎない暖かい場所へ移動させましょう。床の上も冷気が溜まるので、台の上に置くのがベストです。
- 水やりを控える(乾かし気味に):これが最も重要です。冬は成長が止まるので、水はほとんど吸いません。土が乾いてからさらに3〜4日(あるいは1週間)待ってから、少量の水を与える程度で十分です。植物体内の水分を減らして樹液の濃度を高めることで、寒さで凍結しにくくする効果があります。
「室内は場所がないから、外に植えたいんだけど…」という質問をよくいただきますが、沖縄などの一部地域を除き、日本の冬を屋外で越すことはほぼ不可能です。
その理由や、冬越しギリギリのラインについては、以下の記事で詳しく掘り下げています。
ポトスの地植えは日本で可能?枯らさない冬越しの裏技と失敗回避術
流通量による値段の違いと相場
最後に、気になる「お値段」の話です。ポトスは数百円で買えるものから、一鉢数千円以上するものまで、品種によって価格に結構な開きがあります。
「同じポトスなのに、どうしてこんなに値段が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この価格差の最大の要因は、ズバリ「生産にかかる時間とコスト」です。ゴールデンポトスのように成長が早い品種は、短期間で大量に生産できるため、価格を安く抑えることができます。
一方、成長が遅い品種や、斑の入り方が不安定で選別が必要な品種は、出荷できるサイズになるまでに長い時間と手間がかかるため、どうしても価格は高くなります。
一般的な園芸店やホームセンター、ネットショップでの流通相場を目安としてまとめましたので、予算を立てる際の参考にしてみてください。
| 品種グループ | 価格目安(3〜4号鉢) | 流通状況と備考 |
|---|---|---|
| ゴールデン・ライム | 500円 〜 1,000円 | ホームセンターや100円ショップ(小苗)でも入手可能。最も手頃で流通量も安定しています。 |
| エンジョイ・グローバル | 800円 〜 1,800円 | 人気定着により流通量は増えましたが、ブランド品種としてやや高めの価格帯で安定しています。 |
| マーブル・ステータス | 1,200円 〜 3,000円 | 美しい斑が入った良株は人気が高く、サイズや仕立て方(吊り鉢など)によって価格が変動します。 |
| テルノシリーズ・レア種 | 2,500円 〜 6,000円以上 | 一般的な店舗では稀。専門店やネット通販が中心で、希少性とパテント料が含まれるため高価です。 |
「高い品種の方が優れている」というわけでは決してありません。
最初は手頃なゴールデンポトスやグローバルグリーンから始めて、栽培に慣れて自信がついたら、少し奮発してレアな品種をお迎えしてみる。そんな風に段階を踏んでステップアップしていくのも、園芸の楽しみ方の一つだと思います。
【重要】法律とマナーについて
品種選びの際に、もう一つだけ知っておいていただきたい大切なことがあります。それは「種苗法(しゅびょうほう)」という法律についてです。
今回ご紹介した「ポトス・エンジョイ」や「テルノシリーズ」の多くは、開発者の権利を守るために登録品種(PVP)として保護されています。これは、音楽や書籍の著作権のようなものです。
登録品種(PVP)に関する注意点
登録品種のポトスを、家庭内で楽しむために増やして育てることは問題ありません。しかし、増やした株を他人に販売したり(フリマアプリ含む)、許可なく譲渡したりすることは法律で禁止されています。
購入した際についてくる「品種ラベル(タグ)」は、その苗が正規ルートで生産された証ですので、捨てずに大切に保管しておきましょう。
自分に合うポトスの品種を探そう
ポトスの品種について、ディープな世界をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 「ポトスなんて、どれも同じ」と思っていた以前の私のような感覚が、少しでもアップデートされたなら嬉しいです。
ポトスは単なるインテリアグリーンではありません。品種ごとに異なる性格を持ち、それぞれのペースで生きている個性豊かなパートナーです。
- 「忙しいけれど、部屋に緑の癒やしが欲しい」あなたには、最強のタフネスを誇るゴールデンポトスやグローバルグリーン。
- 「部屋の雰囲気をガラリと変えておしゃれにしたい」あなたには、洗練されたポトス・エンジョイや優雅なマーブルクイーン。
- 「植物の不思議な造形美をじっくり愛でたい」あなたには、芸術的なテルノシャングリラやエメラルド。
こんな風に、あなたのライフスタイルや好みにピタリとハマる一株が必ず存在します。
今度、園芸店やホームセンターに立ち寄った際は、ぜひポトスの売り場で足を止めてみてください。そして、葉っぱ一枚一枚をじっくりと眺めてみてください。
「おっ、この模様なんか好きかも」「この葉っぱの形、面白いな」と心が動く瞬間があれば、それがあなたとポトスの運命の出会いです。
お気に入りのポトスが部屋にあるだけで、ふとした瞬間に眺めてリラックスできたり、新しい葉が開くのを心待ちにしたりと、毎日の生活に小さな彩りと潤いが生まれます。
ぜひ、あなただけの「推しポトス」を見つけて、素敵なボタニカルライフを始めてくださいね。
※本記事で述べる一部のメカニズムは現時点で一般的な園芸知識や公開文献に必ずしも裏付けられたものではなく、実践的経験に基づく仮説的説明を含みます。最新の研究や環境条件によって結果が異なる場合がありますので、参考情報としてご活用ください。