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こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。
ドラセナを増やそうと思って挿し木に挑戦したのに、「挿した茎が黒く腐る」「葉がしわしわになって枯れる」「水挿しにしているけど根が出ない」…そんな経験はありませんか?
ドラセナは比較的強い植物ですし、ネットで見ても「挿し木で簡単に増やせる」と書いてあることが多いですよね。でも、いざやってみると、なぜかうまくいかない。私も始めたての頃は、本当にそうでした。
特に挿し木の時期を考えずにカットしてしまったり、土挿し・水挿しそれぞれの「やってはいけないこと」を知らずに、良かれと思ってやったことが裏目に出たり。管挿し(茎だけの挿し木)で上下を間違えて挿して、永遠に根が出なかったり…今思い返すと恥ずかしいような失敗もたくさん経験しました。
この記事では、なぜドラセナの挿し木が失敗してしまうのか、その主な原因を「腐る」「しわしわ」「根が出ない」という3つの代表的な症状に分けて、私の経験も踏まえながら、できるだけ詳しく掘り下げて解説していきます。
もし今、挿し木がうまくいかず悩んでいる真っ最中だとしても、状態によっては復活させる方法もありますよ。ぜひ最後まで読んで、次こそは元気なドラセナの挿し木を成功させましょう!
ポイント
- ドラセナの挿し木が失敗する3つの主な症状とそのメカニズム
- 「腐敗」「乾燥」「発根しない」症状別の具体的な緊急対処法と復活術
- 水挿しや土挿し、管挿しなど手法ごとの特有な失敗パターンと防止策
- 失敗を未然に防ぐための正しい準備と、発根後の管理手順
コンテンツ
ドラセナの挿し木が失敗する3大原因

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ドラセナの挿し木がうまくいかない時、その「失敗」として現れる症状は、だいたい3つのパターンに分けられるかなと思います。
まずは「なぜ、そうなってしまったのか」という原因をしっかり知ることが、成功への一番の近道です。自分の挿し穂が今どの状態に近いか、チェックしながら読み進めてみてください。
挿し穂が腐るのは雑菌が原因

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挿し木で経験する失敗として、おそらく最も多いのが、この「腐敗」だと思います。土に挿した部分や、水に浸けている切り口が、黒ずんできたり、触るとブヨブヨと柔らかくなっていたり、ひどい時には溶けたようになって異臭がする…そんな悲しい症状ですね。
この腐敗の主な原因は、「雑菌の繁殖」と「酸素不足」が組み合わさることです。
植物の細胞も、私たちと同じように呼吸(酸素を取り込み二酸化炭素を出す)をして生きています。しかし、挿し穂にはまだ根がなく、切り口は大きな「傷口」が開いている、非常にデリケートな状態です。
土挿しの場合:過湿と嫌気性菌
土挿しの場合、失敗の引き金は「水のやりすぎ(過湿)」であることが多いです。挿し穂が乾くのが怖くて、土が常にジメジメと濡れた状態をキープしてしまうと、土の粒子と粒子の間にあった「隙間(空気層)」が水で満たされてしまいます。これが「酸素不足」の状態です。
この酸素が乏しい環境は、挿し穂の切り口の細胞を弱らせるだけでなく、酸素を嫌うタイプの雑菌、いわゆる「嫌気性菌(腐敗菌)」にとって最高の活動場所になってしまいます。彼らが爆発的に増殖し、弱った挿し穂の傷口から侵入して組織を分解し始める…これが「腐敗」の正体です。
古い土や肥料入りの土は絶対にNG
この腐敗をさらに加速させるのが、「清潔でない土」や「肥料入りの土」です。
- 古い土の再利用: 以前に別の植物を植えていた土には、病原菌やカビの胞子が残っている可能性が非常に高いです。抵抗力のない挿し穂にとっては致命的です。
- 肥料入りの培養土: 良かれと思って栄養満点の「観葉植物用の土」を使うのも逆効果。挿し穂には根がないため、肥料分(特に窒素)を吸収できません。土の中に残った肥料は、そっくりそのまま雑菌たちの「ごちそう」となり、彼らの繁殖を強力にサポートしてしまいます。
水挿しの場合:水の停滞と雑菌
水挿しの場合もメカニズムは同じです。水を交換せずに長期間放置すると、水中の「溶存酸素」が枯渇します。同時に、挿し穂の切り口から微量に溶け出す養分や、空気中から落ちたホコリなどをエサにして、水中で雑菌が爆発的に繁殖します。特に夏場は水温が上がりやすく、雑菌の活動はさらに活発になります。
水が濁り始め、挿し穂の水中部分に「ぬめり」を感じたら、それは腐敗が始まっているサインです。
緊急対処法:腐敗が始まってしまったら
もし腐敗が始まっていても、茎にまだ緑色の健康な部分(硬さがある部分)が残っていれば、復活できる可能性はあります!
腐敗からの緊急対処法(詳細版)
- 取り出す: まず、挿し穂を土や水から優しく、しかし直ちに取り出します。
- 切除: 清潔なカッターナイフや、アルコール消毒した剪定バサミを使用します。腐敗部(黒く柔らかくなった部分、異臭のする部分)を、健康な緑色の組織(切り口が瑞々しい緑色)が見えるまで、思い切ってすべて切り落とします。少しでも黒い部分や変色部が残っていると、そこから再び腐敗が進行します。
- 殺菌(推奨): 切り口に園芸用の殺菌剤(トップジンMペーストなど)があれば、薄く塗布して感染を防ぎます。なければ、この工程は飛ばしても構いません。
- 再挿し(土挿し): 腐敗した挿し穂が触れていた土は、雑菌に汚染されているため、すべて廃棄します。新しい鉢に、新品の「赤玉土(小粒)」や「挿し木用土」を準備し、挿し直します。
- 再挿し(水挿し): 使用していた容器を食器用洗剤などで完全に洗浄・殺菌します。新しい水を入れ、可能であれば根腐れ防止剤(ゼオライト、ミリオンAなど)を少量投入し、挿し穂を戻します。
茎がしわしわになる乾燥の謎

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挿して数日は元気そうだったのに、だんだん葉が張りを失い、うなだれるように下を向き始める。そしてついに、茎自体が水分を失い、縦じわが寄って「しわしわ」の状態になってしまう…。これは「腐敗」とは真逆の、「乾燥」による失敗です。
この根本的な原因は、非常にシンプルです。植物体内の「水分の収支バランス」が完全に崩壊していることが原因です。
考えてみてください。通常の植物は、「根」から水を吸い上げ(INPUT)、主に「葉」から水分を蒸散(OUTPUT)して、体内の水分量を調節し、生命活動を行っています。
しかし、挿し木は「根がない」状態です。つまり、水を吸い上げる力(INPUT)がほぼゼロに等しいのです。
それなのに、葉が通常通りたくさん残っていると、植物は普段通り葉から水分を蒸散(OUTPUT)し続けます。この「吸う水(INPUT) 0 < 出ていく水(OUTPUT) 100」という、致命的な水分バランスの赤字状態が続いた結果、挿し穂は自身の体内に蓄えられた水分を使い果たし、しわしわに乾燥してしまうのです。
見落としがちな「乾燥」の原因
水分収支の崩壊は、いくつかの人為的なミスによって加速されます。
- 葉の処理不足(最重要): これが最大の原因です。蒸散(OUTPUT)を強制的に減らすため、挿し穂の葉は先端の3〜4枚に限定し、さらにその残した葉もハサミで「半分の長さ」にカットする作業が必須です。これを怠ると、乾燥は一気に進みます。
- 水揚げ(水切り)作業の不足: 茎をハサミでカットした直後、その切り口を空気中に放置すると、植物の道管(水を吸う管)に空気が入り込み、「栓」をしてしまいます(エアロック)。この状態で土や水に挿しても、道管が詰まっているため効率的に水を吸えません。
- 不適切な置き場所: 挿し穂を直射日光の当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所に置くと、葉からの蒸散が強制的に促進されます。ただでさえ吸水できていないのに、強制的に水分を奪われるため、乾燥は一瞬で進みます。
緊急対処法:しわしわになってしまったら
茎が完全に茶色く枯れきっておらず、まだ緑色や瑞々しい部分が少しでも残っている場合は、以下の手順で復活を試みる価値があります。
乾燥・しおれからの復活手順
- 復活可能性の確認: まず、挿し穂にまだ緑色や弾力のある部分が残っているかを確認します。
- 水切り(道管リセット): ボウルなどに水を張り、その水中で茎の下部を数センチ、再度カットします。これにより、道管に入り込んだ空気が抜け、吸水が再開されやすくなります。
- 蒸散の強制停止: 水分収支を強制的に改善します。残っている葉の数を先端の1〜2枚に限定するか、いっそ全ての葉を半分以下にカットします。OUTPUT(蒸散)を限りなくゼロに近づけるイメージです。
- 強制吸水(水揚げ): コップやバケツに水を入れ(発根促進剤メネデールを薄めても良い)、挿し穂全体を2時間から半日(12時間)ほど浸け、挿し穂自体に水分を強制的に吸収させます。
- 高湿度で再挿し: 水揚げ後、清潔な用土に挿し直します。この際、挿し穂の周囲を湿らせた水苔で巻いたり、鉢全体を透明なビニール袋で覆ったりして(ミニ温室状態)、空気中の湿度を高く保ち、葉からの蒸散を物理的に抑制します。
根が出ないのは時期と温度?

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「腐りもせず、乾燥もしない。挿した時のまま、見た目は変わらない。でも、1ヶ月、2ヶ月経っても一向に根が出る気配がない…」
この「発根しない(停滞)」という状態。技術的な問題かと思いきや、その原因のほとんどは「致命的な温度不足」にあります。
ドラセナの原産地は、熱帯アフリカやアジアなどの暖かい地域です。彼らにとって、細胞分裂(すなわち発根)が活発になる生育適温は20℃〜25℃、最低でも20℃前後の安定した気温が必要です。
もし、最低気温が15℃を下回るような環境、特に日本の10月以降の秋〜冬(気温も湿度も下がる時期)に挿し木を行うと、ドラセナは「今は生き残るのが最優先だ」と判断し、「休眠状態」に入ってしまいます。
休眠中の植物は、生命活動を最小限に(ほぼ停止)させているため、新しい根を出すためのエネルギーを使いません。当然、発根はしません。
ユーザーが「2ヶ月経っても根が出ない」と悩むケースの多くは、この「時期と温度」の問題です。休眠中の植物に、後述する発根促進剤を使用しても、植物本体が活動していないため効果はなく、そのまま挿し穂に蓄えられた体力を使い果たして枯れてしまうか、やがて抵抗力が落ちて腐敗(H3-1の症状)へと移行していきます。
その他の停滞原因
温度が十分(20℃以上)あるのに発根しない場合は、他の原因も考えられます。
- 挿し穂の生命力不足: 親株がすでに根腐れや病気で弱っていた場合、そこからカットした挿し穂は、一見健康そうに見えても、発根や発芽に必要なエネルギー(デンプンなど)が十分に蓄えられていない可能性があります。
- 光線不足: 直射日光は乾燥を招くため厳禁ですが、光合成は発根エネルギーの生成に必要です。暗すぎる場所(例:窓のない玄関や浴室)では、エネルギーを作れず発根が停滞することがあります。
根が出ない時の対処法
- 温度管理の徹底(最優先): 即座に管理場所を見直します。最低でも15℃以上、理想は20℃〜25℃の安定した温度をキープできる、暖房の効いたリビングなどに移動します。冬場であれば、鉢の下に敷くタイプの「園芸用の加温マット」を使用するのが非常に有効です。
- 発根促進剤の使用: 温度環境を整えた上で、発根促進剤(粉末タイプのルートンや、液体タイプのメネデールなど)を使用します。これらは細胞分裂を活性化させる「スイッチを入れる」役割を果たします。
- 適切な光線: レースカーテン越しの柔らかい光が当たる「明るい日陰」で管理します。光合成を促し、発根エネルギーを作らせる手助けをします。
水挿しで腐敗を防ぐ水替え
水挿しは、透明な容器を使えば発根の様子が目に見えて観察できるので、初心者の方にも人気が高い方法ですね。私も大好きです。しかし、この手軽さゆえの「落とし穴」が「腐敗」です。
H3-1でも触れましたが、水挿しの失敗のほとんどは「水の停滞」によって引き起こされます。
とにかく雑菌を繁殖させないこと、そして水中の酸素を枯渇させないことが全てです。そのために必要なのは、面倒でも「こまめな水替え」しかありません。
私の場合、水温が上がりやすい夏場(室温が25℃を超える時期)は、可能であれば毎日、全交換します。「水が減ったから足す」という「足し水」は一番ダメなパターンで、雑菌が濃縮されてしまいます。
夏場以外でも、最低でも2〜3日に1回は、必ず全ての水を捨てて新しい水に入れ替えるようにしています。
水替えのポイント
- 全交換: 必ず古い水はすべて捨てます。
- 容器の洗浄: 水を替える際、容器の内側を指で触ってみてください。もし「ぬめり」を感じたら、それは雑菌の塊(バイオフィルム)です。食器用洗剤などで構わないので、スポンジでしっかり洗い、ぬめりを完全に取り除いてから新しい水を入れます。
- 根腐れ防止剤の活用: お守り代わりですが、容器の底に「ゼオライト」や「ミリオンA」といった根腐れ防止剤(水質浄化剤)を少量入れておくのは有効だと思います。これらの物質は、多孔質(目に見えない小さな穴がたくさん開いている)構造で、水中の不純物や雑菌を吸着し、水を浄化する作用が期待できます。ただし、これを入れたからといって、水替えが不要になるわけでは決してありません。
容器選びのヒント
透明なガラス瓶は、根の観察に便利で見た目もおしゃれですが、光が透過するため、水中に「藻(アオミドロなど)」が発生しやすいという欠点もあります。藻自体が直接挿し穂を腐らせるわけではありませんが、藻が繁殖すると水中の養分や酸素を消費し、水質悪化を早める原因になります。
もし藻の発生を抑えたい場合は、褐色の瓶(栄養ドリンクの瓶など)や、陶器のコップなど、遮光性のある容器を使用するのも一つの有効な手段です。
土挿しは肥料のない土を選ぶ
土挿しは、水挿しに比べて挿し穂が安定しやすく、発根した後の「鉢上げ(植え替え)」の際に根を傷めるリスクが少ないという大きなメリットがあります。しかし、土の中は見えないため、水管理の難易度が少し上がります。
そして、土挿しで初心者が最もやりがちなミスは、「土選び」です。
「早く元気に育ってほしい」という親心から、栄養分(肥料)がたっぷり含まれた市販の「観葉植物用培養土」や「花と野菜の土」をそのまま使ってしまう…。これは、残念ながらほぼ失敗に繋がります。
H3-1「腐敗」のセクションでも詳しく解説しましたが、根がない挿し穂は土の中の肥料分(特に窒素)を吸収することができません。吸収されずに土に残った肥料は、カビや雑菌にとって格好の「エサ」となり、彼らの爆発的な繁殖を招き、結果として挿し穂の切り口を腐敗させてしまいます。
挿し木に使う土は、「肥料分を一切含まない」「清潔(無菌・無肥料)」な「無機質」の土が鉄則です。
挿し木におすすめの「清潔な」用土
これらは園芸店やホームセンターで必ず手に入ります。必ず「新品」を使いましょう。
- 赤玉土(小粒): 最も一般的で、私もよく使います。保水性、排水性、通気性のバランスが非常に良いです。
- 鹿沼土(小粒): 赤玉土よりやや酸性寄りですが、同じく清潔で使いやすいです。
- バーミキュライト: 蛭石(ひるいし)を高温処理した無菌の用土。非常に保水性が高いです。
- パーライト: 真珠岩を高温処理したもの。非常に排水性・通気性が高いです。
- 市販の「さし芽・種まきの土」: 最初からこれらの土がバランス良くブレンドされている専用土。迷ったらこれが一番手軽で確実かもしれません。
水管理の「知識の罠」
もう一つ、土挿しで陥りがちなのが「水管理の矛盾」です。「ドラセナは乾燥気味に育てる」という知識を持っている人ほど、この罠にハマるかもしれません。
確かに、根がしっかり張った健康な「親株」のドラセナは、乾燥に強く、水のやりすぎは根腐れの原因になります。その知識は正しいです。
しかし、その知識を「挿し木」に適用してしまうと、失敗します。なぜなら、挿し穂には土から水分を吸い上げる「根がない」からです。根がない挿し穂は、土からの水分吸収能力が極めて低いため、土を乾燥させてしまうと即座に水切れを起こし、H3-2で解説した「乾燥・しわしわ」の症状で失敗してしまいます。
発根が確認できるまでは、「乾燥気味」の管理は捨て、「土の表面が乾いたらすぐにたっぷり水を与える」か、「常に土が適度に湿った状態(ジメジメではなく、しっとり)」をキープします。発根までは「水切れ厳禁」と覚えてください。
ドラセナの挿し木で失敗を防ぐ手順

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これまでの失敗原因を踏まえて、ここからは「じゃあ具体的にどうすれば成功率が上がるのか」という、私が実際に行っている「準備」と「手順」を紹介しますね。失敗の多くは、この「準備段階」で回避できると私は思っています。
成功する挿し穂のやり方と水揚げ
挿し木は「挿し穂」を作るところから勝負が始まっています。ここでどれだけ丁寧に作業できるかで、その後の成功率が大きく変わってきます。
準備物:清潔と切れ味
まず、必ず「清潔で切れ味の良い」剪定バサミやカッターナイフを準備してください。私は、使用前に刃先をアルコールティッシュで拭いたり、ライターの火で軽く炙ったりして殺菌しています。
切れ味が悪いハサミは、茎の道管(水を吸う管)を押し潰してしまいます。これでは、その後の水揚げがうまくいかず、H3-2の「乾燥」失敗に直結します。スパッと切れる刃物を用意しましょう。
挿し穂の作成手順
- 挿し穂の選定とカット: 親株の、元気で葉の色艶が良い部分を選びます。あまりに古い木質化した幹や、逆に新しすぎてフニャフニャな先端すぎる部分よりは、適度に張りがある茎がベストです。長さは品種にもよりますが、10〜15cm程度が一般的です。発芽点(幹の節)が1〜2箇所含まれていると、そこから新芽が出やすくなります。
- 葉の処理(蒸散抑制): これが必須作業です。水分収支の崩壊(しわしわ)を防ぐために行います。先端の葉を3〜4枚だけ残し、それ以外の葉はすべて付け根から切り落とします。
- 残した葉のカット: さらに、その残した葉も、蒸散量を減らすためにハサミで「半分の長さ」にカットします。葉を少し残す理由は、光合成によって発根のためのエネルギーを作らせるためです。
- 切り口の処理(吸水促進): 土や水に挿す側(下側)の切り口は、吸水面積を最大化するために、必ず「斜め」にスパッと鋭くカットし直します。
- 水揚げ(水分補給): これは絶対に省略しないでください。カットした挿し穂は、絶対に乾燥させてはいけません。カットしたら1秒でも早く、コップやバケツに入れた水に切り口を浸けます。
そのまま2時間〜半日(12時間)ほど、挿し穂全体(特に切り口)を水に浸け、細胞の隅々まで水を吸わせます。この作業が、挿し木直後の乾燥・しおれを防ぐ、最も重要な「保険」になります。
発根促進剤は使うべきか?
園芸店に行くと、「ルートン」などの粉末タイプや、「メネデール」などの液体タイプの発根促進剤(または活力剤)が売られていますね。「これって本当に必要なの?」と疑問に思うかもしれません。
結論から言うと、必須ではありませんが、私は「成功率を格段に高める保険」として使うことを強く推奨します。
これらは、植物の細胞分裂を活性化させるホルモン(オーキシン類)や、発根・活着を助ける成分(二価鉄イオンなど)を含んでおり、植物が自ら根を出そうとする「スイッチを入れる」手助けをしてくれます。
主な種類と使い方(私の場合)
- 粉末タイプ(ルートンなど): 土に挿す直前に、水揚げで湿った切り口に、この粉末を薄くまぶします。つけすぎはかえって切り口を傷める可能性があるので、「薄く」がポイントです。
- 液体タイプ(メネデールなど): これは非常に使い勝手が良いです。H3-1の「水揚げ」を行う水に、規定量(通常100倍希釈など)を混ぜておくだけで、水揚げと同時に発根準備ができます。また、挿し木後の水やりにも、この希釈液を使うことで、発根を継続的にサポートできます。
特に使った方が良いケース
私は、以下のような場合には、保険として必ず使用するようにしています。
- 5月〜6月のベストシーズンを外して、少し難しい時期に挑戦する場合。
- H3-5で解説する「根腐れ」した親株からの救出など、挿し穂自体の体力が低下している場合。
- 過去にドラセナの挿し木で失敗経験があり、次こそは成功させたい場合。
挿し木、その後の鉢上げ時期
挿し木が順調に進み、無事に発根が確認できたら、それはゴールではなく、挿し木が独立した「株」になるための新しいスタートです。ここでの管理、特に「鉢上げ(植え替え)」のタイミングと、その後の「肥料」を誤ると、せっかく出た根が枯死してしまうことがあります。
鉢上げのタイミング
焦りは禁物です。「根が少し見えた!」と嬉しくなってすぐに植え替えたくなりますが、まだ根がデリケートすぎます。以下のサインが見えるまで、じっくり待ちましょう。
- 挿し穂から新しい芽(葉)がしっかりと展開し始めた。(これが一番分かりやすいサインです)
- 挿し木用ポットの底穴から、白い元気な根が見え始めた。
鉢上げの手順と注意点
タイミングが来たら、いよいよ植え替えです。
- 用土の準備: これまでの挿し木用土(無肥料)から、ここで初めて、栄養分(肥料)が含まれた「観葉植物用培養土」へ植え替えます。
- 鉢の準備: 挿し穂の大きさに対して、一回りだけ大きな鉢を用意します。いきなり大きすぎる鉢に植えると、土がなかなか乾かず、根腐れ(過湿)の原因になります。
- 植え替え: 新しい鉢に鉢底石とネットを敷き、観葉植物用培養土を入れ、発根した挿し穂を(根を傷めないよう)慎重に植え替えます。水挿しからの場合は特に根が折れやすいので、細心の注意を払ってください。
【最重要】肥料を与えるタイミング
鉢上げ直後に、良かれと思って「追肥(固形肥料)」を与えたり、「液体肥料」をあげたりするのは、絶対にダメです。
新しく出たばかりの繊細な根は、肥料の濃い成分に非常に弱く、触れると「肥料焼け」を起こして簡単に枯死してしまいます。鉢上げに使用した培養土に含まれる初期肥料で十分です。
追肥(液体肥料や固形肥料)は、鉢上げ(植え替え)をしてから、新しい鉢の土に根がしっかりと定着するまで(目安として約2週間〜1ヶ月後)は、一切与えてはいけません。根が定着した後、まずは規定よりさらに薄めた液体肥料から与え始め、徐々に通常の管理に移行していくのが安全です。
管挿しで上下を間違えない方法

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ドラセナ類(特に‘ミリオンバンブー’として売られているサンデリアーナなど)は、葉のない「茎」だけの部分を使っても増やすことができます。「管挿し(くだざし)」や「茎伏せ(くきふせ)」と呼ばれる方法ですね。
これは、剪定で出た中間の茎も無駄なく使える良い方法ですが、葉がないため、特有の失敗があります。
それが、「上下逆さまに挿してしまう」という、うっかりミスです。
植物には「極性」というものがあり、元々根があった側(下側)からしか発根せず、元々芽があった側(上側)からしか発芽しません。逆さまに挿してしまうと、植物は混乱し、発根も発芽もできずにそのまま枯れてしまいます。
上下を間違えないための工夫
- 印をつける: これが一番確実です。親株から茎をカットする際に、すぐに油性ペンなどで「↑(上)」がどちらか、わかる印をつけておきます。
- 切り口を変える: 私は、カットする際に「上側は地面と水平にカット」「下側(挿す側)は斜めにカット」と、切り口の形を変えるルールにしています。こうすれば、後から見ても「斜めの方が下だな」と一目で分かります。
管挿し・茎伏せのコツ
- 管挿し(縦に挿す): 土や水に挿すのは下側だけです。露出する「上部」の切り口には、必ず保護剤を塗布します。これは、H3-4で解説した「切り口からの乾燥・腐敗」を防ぐためです。最も手軽なのは「木工用ボンド」を厚めに塗って乾燥させる方法です。水分の蒸発と雑菌の侵入を防ぐ「フタ」をすることができます。園芸用の殺菌剤入りペースト(トップジンMペーストなど)があれば、それが最適です。
- 茎伏せ(横たえる): 土の上に茎を横たえる方法です。この場合、茎が土から浮かないよう、半分ほど軽く埋めるか、U字にした針金などで固定します。土に挿さっていないため、特に乾燥しやすいのが弱点です。挿し木(茎)を覆うように湿らせた水苔を置くことで、高温多湿状態を保ち、発根・発芽を劇的に促すことができます。
根腐れやしおれからの復活術
最後に、すでに「失敗」してしまったかもしれないドラセナを、どうにか「救出(レスキュー)」する方法について、もう一度詳しく触れておきます。諦めるのは、まだ早いかもしれません。
ケース1:親株が根腐れしてしまった
親株の様子がおかしく、鉢から抜いてみたら根が黒く腐っていた…そんな時でも、諦めないでください。
根が全滅していても、幹や茎の一部にまだ水分と色艶があり、硬くしっかりした部分が残っていれば、その部分をカットして挿し木(この場合は「幹挿し」や「管挿し」になりますね)にできます。
- 腐敗部をすべて切り落とし、健康な幹(茎)だけを救出します。
- H3-1「挿し穂のやり方」の手順に従い、挿し穂を作成します。
- この場合、挿し穂自体の体力が低下している可能性が非常に高いため、失敗のリスクを減らすために、H3-2で解説した「発根促進剤」の使用を強く推奨します。
- H3-1「腐敗」のメカニズムを思い出し、清潔な用土と適切な水管理で、再スタートを切ります。
これはいわば、弱った株からの「クローン再生」です。うまくいけば、親株の命を繋ぐことができますよ。
ケース2:挿し穂がしわしわになってしまった
H3-2「乾燥」の症状が出てしまった場合。茎が完全に茶色くカラカラに枯死していなければ、復活の可能性は残されています。茎にまだ緑色の部分や弾力が少しでも残っていれば、諦めずに緊急対処法を試してください。
しわしわからの復活チャレンジ(詳細)
- 水切り: ボウルに張った水の中で、茎の下部を数センチ、スパッと再カットします。道管の空気詰まりをリセットするイメージです。
- 蒸散の極限抑制: 残っている葉を、さらに小さくカットするか、場合によってはすべての葉を付け根から落とします。光合成はできなくなりますが、今は蒸散(OUTPUT)をゼロにすることが最優先です。
- 徹底的な水揚げ(強制吸水): メネデールなどの活力剤を薄めた水に、半日〜1日(12〜24時間)ほど、挿し穂全体をどっぷり浸けます。
- 高湿度管理での再挿し: 清潔な用土(または水)に挿し直した後、鉢(または容器)ごと、透明なビニール袋(スーパーの袋でもOK)でふんわりと覆い、口を軽く縛ります。これにより、袋の中が湿度100%に近い「ミニ温室」状態になり、葉からの蒸散を物理的にほぼゼロにできます。
この状態で、明るい日陰に置いておきます。数日して挿し穂に張りが戻れば、復活の兆しです。成功を祈ります!
尚、これまでの内容とは別の観点からドラセナの育て方について解説した記事として、ドラセナの育て方完全ガイド!初心者も安心のコツを解説しますという記事も用意しておりますので、こちらも併せて確認してみてくださいね!
ドラセナの挿し木で失敗しない総括
ここまで、ドラセナの挿し木が失敗する主な原因と、その具体的な対策・復活術について、私の経験を交えながら詳しく解説してきました。
振り返ってみると、失敗の多くは、
- 「時期」(温度が足りない休眠期にやっている)
- 「水管理」(過湿による腐敗、または乾燥による水切れ)
- 「清潔さ」(古い土や汚れた道具による雑菌感染)
の、どれか(あるいは複数)が原因であることがほとんどです。
逆に言えば、これらを一つずつクリアしていけば、ドラセナの挿し木は決して難しいものではない、と私は思っています。
最後に、成功のための最も重要なポイントを3つに絞って、もう一度おさらいします。
ドラセナの挿し木を成功させるための3つの鍵
- 「時期」を選ぶ: ドラセナの生育期である、5月〜9月の暖かい時期に行う。ベストは気温と湿度が安定して上昇し始める5月〜6月。気温20℃以上が目安です。
- 「清潔」を徹底する: 使う道具(ハサミ・カッター)は必ず殺菌し、用土は「肥料分のない」「新品の」挿し木用土(赤玉土など)を使う。
- 「水管理」を最適化する: 挿し穂の「葉を減らし(半分カット)」「水揚げ」を徹底して乾燥を防ぐ。そして、発根までは「水切れ厳禁」で適度な湿度を保ちつつ、「過湿(ジメジメ)」にはならないよう土の通気性も確保する。
これら3つの基本を守るだけで、あなたのドラセナの挿し木の成功率は格段に上がるはずです。
挿し木は、植物の驚異的な生命力を間近で感じられる、とてもワクワクする園芸作業の一つだと私は思っています。切り離された一本の茎から、新しい根が伸び、新しい芽が動き出す瞬間の感動は、何度味わってもいいものです。
この記事が、皆さんのドラセナ・ライフのお役に立てば、そして挿し木への再挑戦のきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。
記事内容に関するご注意
この記事で紹介した内容は、私個人の経験や、一般的に知られている園芸の知識や技術に基づいて執筆しています。しかし、植物の状態、品種、お住まいの地域の気候、管理環境によって、結果は必ずしも同じになるとは限りません。あくまで一つの目安、参考情報としてご活用いただけますと幸いです。
また、記事中で特定の薬剤(殺菌剤、発根促進剤)や用土について触れていますが、これらは特定の製品の効果を保証するものではありません。使用に際しては、各製品のラベルや説明書に記載されている使用方法、注意事項を必ず守ってください。
植物の病気や害虫の防除、農薬の使用に関する最終的な判断や、深刻な症状については、お近くの園芸店や、植物の専門家、または関連する公的機関にご相談されることを強くおすすめします。