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こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。ポトスを育てていると、もっと増やしてみたい、あるいは根腐れさせてしまった株をなんとか助けたいと思うこと、ありますよね。
私自身も、土で育てて失敗したり、水挿しでなかなか根が出なかったりと、試行錯誤の連続でした。そんな中で出会ったのが、「水苔」を使った栽培方法です。
最初は少し難しそうに感じるかもしれませんが、実はポトスと水苔は驚くほど相性が良く、正しいやり方さえ知っていれば、誰でも元気に育てることができます。
この記事では、私が実際に試して効果を感じた、水苔を使ったポトスの増やし方や、カビや虫への対策、そして根腐れからの復活方法について、詳しくお話ししていきたいと思います。
ポイント
- 水苔を使ったポトスの増やし方と茎伏せの手順
- 水やりのタイミングと肥料の与え方
- カビや虫が発生した時の具体的な対策
- 根腐れからの復活方法と土への植え替え
コンテンツ
ポトスを水苔で増やす基本手順

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ポトスを増やす方法はいくつかありますが、水苔を使うと、土や水だけで増やすよりも成功率がグンと上がることがあります。なぜなら、水苔はポトスが本来育っている熱帯雨林の樹皮や苔むした岩肌の環境に非常に近い状態を作り出せるからです。
ここでは、初心者の方でも失敗しにくい「茎伏せ」というテクニックや、水挿しから水苔へ移行する際の大切なポイントについて、順を追って解説していきます。
失敗しない茎伏せのやり方

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「茎伏せ(くきふせ)」と聞くと、なんだか園芸のプロが使う難しい専門用語のように聞こえるかもしれませんが、安心してください。要は「茎を寝かせて増やす」という、とてもシンプルで理にかなった方法なんです。
特に、長く伸びすぎて姿が乱れてしまった茎や、うっかり葉っぱを落としてしまって茎だけになってしまった部分、あるいは剪定した際に出た余分な茎を有効活用するのに、これ以上ないほど最適なテクニックです。
茎伏せに必要な道具と準備
まずは、成功のために必要な道具を揃えましょう。特別なものは必要ありません。100円ショップやホームセンターで手に入るものばかりです。
| 道具 | 用途・備考 |
|---|---|
| 乾燥水苔 | 高品質なニュージーランド産がおすすめですが、手に入りやすいものでOKです。 |
| 浅めのトレイや鉢 | プラスチック製の食品トレーやお豆腐のパックでも代用可能です。底穴がなくても管理できますが、あると安心です。 |
| ハサミ | 茎をカットするために使います。必ずアルコール消毒や火で炙って消毒しておきましょう。 |
| 透明なビニール袋 | 湿度を保つための「簡易温室」として使います。スーパーのポリ袋で十分です。 |
| 針金(Uピン) | 茎を水苔に固定するために使います。クリップを伸ばして曲げたものでも代用できます。 |
ステップ1:水苔を極上のベッドにする
乾燥した水苔は、そのままでは使えません。まずはバケツやボウルにぬるま湯(または水)を張り、水苔を浸して十分に吸水させます。
お湯を使うと早く戻りますし、殺菌効果も少し期待できるので私はお湯派です。10分〜20分ほど浸して、ふわふわの状態に戻ったら準備完了です。
ここからが重要です。水苔を手に取り、ギュッと握って水を絞ります。目安は「水が滴り落ちないけれど、手のひらにしっとりとした湿り気が残る程度」です。ビチャビチャすぎると茎が腐る原因になりますし、乾燥しすぎていると発根しません。
この絶妙な水分バランスこそが、ポトスの気根(きこん)を目覚めさせる鍵になります。絞った水苔を、用意したトレイに2〜3cmほどの厚さで敷き詰めてください。
ステップ2:茎の選定と配置
次にポトスの茎を準備します。茎伏せに使う茎は、必ず「節(ふし)」を含んでいる必要があります。節とは、葉っぱが生えていた跡や、茶色い突起(気根の赤ちゃん)がある部分のことです。この節の中に、新しい根や芽になる細胞が眠っています。
節を含んでいれば、葉っぱが全くない「ただの棒」のような状態でも問題ありません。
茎を5cm〜10cmくらいの長さにカットし、水苔の上に「寝かせるように」置きます。この時、節の部分が確実に水苔に触れていることを確認してください。
もし茎が反り返って浮いてしまうようなら、U字に曲げた針金で優しく上から押さえて固定するか、節の上に少量の水苔を被せて「お布団」をかけてあげましょう。密着していないと、気根が水分を感知できず、発根スイッチが入りません。
ステップ3:魔法の密閉空間を作る
最後に、トレイ全体を透明なビニール袋ですっぽりと覆います。これが「密閉」です。葉がない茎や根のない茎は、自力で水分を吸い上げる力が弱いため、外気にさらされるとすぐに干からびてしまいます。
ビニール袋で覆うことで、内部の湿度は90%以上になり、まさに熱帯雨林のジャングルのような環境が生まれます。
この状態で、直射日光の当たらない、明るく暖かい場所(20℃〜25℃が理想)に置いておきましょう。早ければ2週間、遅くとも1ヶ月ほどで、節から白い根が伸び出し、続いて可愛らしい緑色の新芽が顔を出します。
この新芽を見つけた時の喜びは、何度味わっても格別なものです。
もし手元に葉っぱのない茎がたくさんあって困っているなら、それはチャンスかもしれません。以下の記事では、茎だけの状態から復活させるためのさらに詳しい手順を紹介しています。
水挿しから移行するポイント

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コップや花瓶に水を入れてポトスを挿しておくだけの「水挿し(水耕栽培)」は、手軽でインテリア性も高く、多くの人が最初に行う増やし方だと思います。
透明な容器の中で白い根が伸びていく様子は涼しげで美しいですよね。しかし、長く育てていると「葉が小さくなってきた」「なんだか元気がなくなってきた」と感じることはないでしょうか。
水根と土根の違いを理解しよう
水挿しで育った根は、専門的には「水根(すいこん)」と呼ばれます。水中で酸素を取り込みやすいように変化した根で、土の中のような物理的な抵抗や乾燥に耐えるための構造を持っていません。
そのため、いきなり土に植え替えると、環境の激変に耐えられず、根が機能不全を起こして枯れてしまうことがあるのです。
そこで役立つのが「水苔」です。水苔は、水栽培のような高い湿度環境を維持しつつ、土のような物理的な足場も提供できる、いわば「水と土の中間」の性質を持っています。
水挿しからスムーズにステップアップするための「リハビリ施設」や「保育器」のような役割を果たしてくれるのです。
移行の具体的な手順
水挿しで十分に発根した(根が5cm以上伸びた)ポトスを用意します。まず、戻して軽く絞った水苔を薄く広げ、その上にポトスの根を広げるように置きます。
そして、根を包み込むように優しく水苔を巻き付けていきます。おにぎりを握るような感覚で、ふんわりと、でも崩れない程度に丸めます。
水苔で根を包んだら、それを鉢に入れます。隙間があれば、さらに水苔を詰め込んで固定します。この時、ギュウギュウに詰めすぎると通気性が悪くなるので、指で押して弾力を感じるくらいがベストです。
移行直後は、まだ根が新しい環境に馴染んでいないので、直射日光を避け、こまめに葉水(霧吹き)をして葉からの水分蒸散を助けてあげましょう。
この方法なら、根へのダメージを最小限に抑えつつ、より自然に近い環境へとポトスを導くことができます。水挿しだけでは得られない、力強い成長を見せてくれるようになるはずです。
水挿しをしていても「なかなか根が出ない」「切り口が腐ってきてしまった」というトラブルに直面している方は、こちらの記事に対策をまとめています。
ポトスの水差しで根が出ない原因は?節の有無や腐る前の対策を解説
驚異的な発根率を出すコツ
「せっかく増やそうと思ったのに、失敗して腐らせてしまった…」そんな悲しい経験をしないために、水苔栽培で発根率を極限まで高めるための秘訣をお伝えします。ポイントは「温度」と「空気」です。
温度管理が成功の8割を握る
ポトスは熱帯植物です。いくら水苔が良い培地でも、寒ければ細胞は動きません。発根に最適な温度は20℃〜25℃です。春(5月〜6月)や秋(9月〜10月)に行うのが最も成功率が高いのはこのためです。
もし冬場にどうしても行いたい場合は、リビングの暖かい場所に置くか、爬虫類用のパネルヒーターなどを活用して、鉢底を温める工夫が必要です。
逆に、30℃を超える真夏は「蒸れ」のリスクが高まるので、風通しの良い涼しい場所を選びましょう。
「気相・液相・固相」のバランス
少し専門的な話になりますが、植物の根が健全に育つには、土壌(培地)の中に「固相(土や水苔そのもの)」「液相(水分)」「気相(空気)」の3つがバランスよく存在する必要があります。
水挿しは「液相」が100%に近い状態です。これでもポトスは発根しますが、酸素不足になりがちです。
水苔の素晴らしい点は、スポンジのような構造の中にたっぷりと空気(気相)を含むことができる点です。
コツは、「水苔を詰め込みすぎない」こと。鉢やトレイに水苔を入れる際、親指で強く押し込むのではなく、ふんわりと空気を含ませるように入れることで、根が必要とする酸素を十分に供給できます。
これが、水挿しでは出にくい微細な根毛(こんもう)の発達を促し、後の成長スピードに大きな差を生むのです。
支柱を使って葉を巨大化
街中のオフィスビルや植物園で、大人の顔よりも大きな葉を持つポトスを見たことはありませんか?「あれは特別な品種なの?」と思うかもしれませんが、実は家庭にある普通のポトス(ゴールデンポトスなど)と同じものです。
ポトスには「上に登ると葉が大きくなり、下に垂れ下がると葉が小さくなる」という面白い性質があります。この性質を利用して、自宅でも巨大ポトスを育てるための最強アイテムが「水苔支柱(モスポール)」です。
なぜ水苔支柱で巨大化するのか
ポトスは自生地では、大きな樹木の幹にへばりついて、太陽の光を求めて上へ上へと登っていきます。この時、茎から出した気根を樹皮の隙間や苔の中に食い込ませ、そこから水分や養分を補給しています。
つまり、気根が「足場」と「栄養源」を確保することで、株全体が安定し、「ここは安全だからもっと葉を大きくしても大丈夫だ」と判断するのです。
プラスチックやヤシ繊維の支柱でも登らせることはできますが、水苔支柱の決定的な違いは「保水性」と「活着しやすさ」です。
湿らせた水苔で作った支柱に気根が触れると、気根はどんどん内部に侵入し、分岐して水分を吸い始めます。こうなると、ポトスの成長スピードは爆発的に加速します。
水苔支柱の立て方と管理
市販のメッシュ状の支柱ケースに水苔を詰めるか、園芸用ネットと結束バンドを使って自作することもできます。支柱を鉢の中心に立て、その周りにポトスを植え付けます。
伸びてきたつるを支柱に沿わせ、気根が水苔に当たるように配置して、麻紐やビニールタイで優しく固定します。
重要なのは、「支柱自体への水やり」です。鉢の土に水をやるだけでなく、支柱の水苔部分にも上から水をかけたり、霧吹きで十分に湿らせたりして、常に気根が水分を吸収できる状態を保ってください。
数ヶ月もすれば、見違えるほど葉が大きくなり、憧れの「切れ込み」が入った葉も夢ではありません。
自宅でポトスの巨大化に挑戦するなら、以下の記事が必読です。支柱の選び方から具体的な誘引テクニックまで、1m超えの葉を作るためのノウハウを詰め込みました。
土への植え替え時期と方法
水苔栽培は素晴らしい方法ですが、長期間育てて株が大きくなりすぎた場合や、管理の手間を減らしたい場合、最終的に「土」へ植え替えたいと考えることもあるでしょう。
この「卒業」のタイミングと方法を間違えると、せっかく育てた株を傷めてしまうので注意が必要です。
ベストな植え替え時期は「初夏」
植え替えのベストシーズンは、ポトスの成長が最も旺盛になる5月中旬〜7月頃です。この時期なら、植え替えによる根へのダメージもすぐに回復できます。
逆に、気温が下がり始める秋以降や、寒さで休眠状態にある冬場に植え替えを行うのは避けてください。根が動かず、そのまま腐ってしまうリスクが高いです。
水苔は無理に取らなくていい
いざ植え替えようと鉢から抜くと、根と水苔が複雑に絡み合って一体化していることに気づくはずです。ここで几帳面な方は「水苔を全部きれいに取り除かなきゃ!」と思うかもしれませんが、それは間違いです。
無理に水苔を引き剥がそうとすると、大事な根毛や細い根がブチブチと切れてしまいます。軽く振って落ちる程度の水苔は取り除いても良いですが、根に固く絡みついている部分は、そのままで構いません。
水苔がついたままの根鉢(ねばち)を、一回り大きな鉢に入れ、周りに観葉植物用の培養土を足していく「鉢増し」の要領で行うのが、最も安全で確実です。
ただし、水苔が大量に残っていると、その部分だけ保水力が高くなりすぎ、周囲の土との水分差が生じることがあります。
その場合は、土に軽石やパーライトを少し多めに混ぜて排水性を高めるなど、全体のバランスを取る工夫をすると安心です。
ポトスと水苔の管理と不調対策

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水苔栽培は清潔で、室内インテリアとしても非常に優秀ですが、土での栽培とは少し違った「お作法」があります。特に「水やり」と「肥料」の加減は、多くの人が躓きやすいポイントです。
また、長く育てていればカビや虫、根腐れといったトラブルに遭遇することもあるでしょう。ここからは、日々の管理で気をつけるべきポイントと、もしもの時のトラブルシューティングについて、私の経験も交えながら詳しく解説します。
水やりの頻度は乾燥気味に
「水苔は水を吸うものだから、常に湿らせておかないと!」と思っていませんか?実はこれ、一番危険な思い込みなんです。水苔栽培で失敗する原因のナンバーワンは、間違いなく「水のやりすぎ」です。
水苔の「保水力」を侮るな
水苔は、自重の20倍以上もの水分を保持できると言われています。表面を指で触って「あ、乾いてるな」と思っても、鉢の内部や中心部分はまだまだ水を含んでいてジメジメしていることがよくあります。
この状態でさらに水を足してしまうと、根はずっと水に浸かったままの状態になり、呼吸ができずに窒息してしまいます。
ベストなタイミングの見極め方
では、いつ水をやればいいのでしょうか。私のおすすめの判断基準は以下の2つです。
- 指の感触: 表面の水苔を指で触り、カサカサ、パリパリに乾いていることを確認します。さらに指を第一関節くらいまで差し込んでみて、中も乾き始めているか確認できればベストです。
- 重さの確認: これが一番確実です。水やり直後の鉢の重さを覚えておき、鉢を持ち上げた時に「軽い!」と驚くくらい軽くなってから水を与えます。
ポトスは乾燥に比較的強い植物です。葉が少しクタッと垂れてきてから水をあげても、数時間ですぐに復活します。
むしろ、「少し喉が渇いたな」とポトスに思わせるくらいのスパルタ気味な管理の方が、水を求めて根が伸びようとするため、結果的に丈夫な株に育ちます。「迷ったら水はやらない」を合言葉にしましょう。
肥料は希釈倍率が重要
水苔自体は、肥料成分(チッ素・リン酸・カリ)をほとんど含んでいません。
そのため、ポトスを大きく育てたり、美しい葉色を保ったりするには、外部から肥料を与える必要があります。しかし、ここには大きな落とし穴があります。
「肥料焼け」の恐怖
土(培養土)には、肥料成分を吸着したり、pHを緩衝したりする能力がある程度備わっています。しかし、水苔はその能力が低く、与えた肥料成分がダイレクトに根に作用します。
もし規定濃度の濃い肥料を与えてしまうと、根の周りの塩分濃度が急激に高まり、浸透圧の作用で根の細胞から水分が奪われてしまう「肥料焼け(ひりょうやけ)」を起こしてしまいます。
これは人間で言えば、塩水を飲まされて脱水症状になるようなものです。
「薄く、回数多く」が鉄則
水苔栽培での施肥のポイントは、「とにかく薄くする」ことです。
一般的な液体肥料(ハイポネックスなど)のボトルには「1000倍に薄める」と書いてあることが多いですが、水苔栽培の場合はこれを無視してください。推奨は「2000倍〜3000倍」です。
例えば、2リットルのペットボトルに水を入れた場合、1000倍なら2mlの原液を入れますが、水苔用の場合はその半分の1ml、あるいは数滴垂らす程度で十分です。この極めて薄い液肥を、成長期(春〜秋)の間、2週間に1回程度、水やりの代わりに与えます。
また、固形肥料(置き肥)は水苔の上だと成分が溶け出しすぎて局所的に濃度が高くなりやすいため、私はあまりおすすめしません。コントロールしやすい液体肥料を使うのが無難です。
肥料焼けのメカニズムについては、以下の大学の研究室の解説が非常に分かりやすいです。「なぜ薄めなければならないのか」を科学的に理解したい方は、ぜひご一読ください。
(出典:東北大学大学院 生命科学研究科 渡辺研究室『これから肥料を与える方、一度この記事を読んでください ー肥料焼けー』)
白いカビが発生した時の対処

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ある日、ふとポトスを見ると、水苔の表面に白いフワフワした綿のようなものが…。これを見ると「病気だ!」「ポトスが枯れちゃう!」とパニックになる方が多いのですが、まずは深呼吸をして落ち着きましょう。
その白カビの正体は?
多くの場合、その正体は「腐生菌(ふせいきん)」と呼ばれるカビの一種です。これは植物を襲って枯らす病原菌ではなく、水苔などの死んだ有機物を分解して土に還そうとしている自然界の掃除屋です。
つまり、ポトス自体に直接悪さをするわけではありません。
原因と対策プロトコル
とはいえ、見た目も悪いですし、カビの胞子が部屋に飛ぶのは気持ちの良いものではありません。発生する主な原因は「過湿(水のやりすぎ)」と「通気不足」、そして「肥料分の残り」です。
- 物理的除去: まずは、カビが生えている部分の水苔をピンセットで丁寧に取り除きます。
- 環境改善: これが最も重要です。窓を開けて換気を良くするか、サーキュレーターの風を遠くから当てて、空気が淀まないようにします。そして、水苔の表面をしっかりと乾かすように管理を見直します。
- アルコール消毒: 消毒用エタノールをティッシュや布に含ませ、カビが生えていた鉢の縁などを拭き取ります。ただし、ポトスの葉や根に直接エタノールがかかると、細胞が壊死して茶色くなることがあるので、スプレーでシュッシュと吹きかけるのは避けた方が無難です。
もしそれでも再発を繰り返す場合は、園芸用の殺菌剤(ベンレート水和剤など)を既定の倍率で水に溶かし、水苔全体に散布することで菌をリセットできます。
根腐れした株を復活させる

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ポトスの葉が黄色くなって次々と落ちる、茎の根元が茶色く変色してブヨブヨと柔らかい、水苔からドブのような腐敗臭がする…。
これらはすべて「根腐れ(ねぐされ)」の危険信号です。根腐れは、過湿によって鉢の中が酸欠状態になり、嫌気性菌(空気を嫌う菌)が増殖して根を腐らせてしまう現象です。
緊急オペの手順
根腐れは自然治癒することはまずありません。気づいたら直ちに「緊急オペ」が必要です。
- 抜去(ばっきょ): 躊躇せず、すぐに鉢から株を抜き出します。
- 切除: 根の状態を確認してください。健康な根は白くて硬いですが、腐った根は黒や茶色に変色し、触るとドロっと溶けたり、糸のように抜けたりします。この腐った部分は、清潔なハサミですべて切り落とします。腐敗部分が残っていると、そこからまた進行してしまうため、心を鬼にしてカットしてください。
- 洗浄: 残った健康な根を、流水で優しく洗い流し、古い土やヌメリを落とします。
- 植え替え: 新しい清潔な水苔を用意します。湿らせた水苔で、残った根(あるいは根がなくなってしまった茎の節)を包み、小さな鉢に植え付けます。この時、絶対に肥料は与えてはいけません。弱っている胃腸にステーキを食べさせるようなものです。代わりに、発根を促す活力剤(メネデールなど)を希釈した水を与えます。
その後は、直射日光の当たらない、暖かくて風通しの良い場所で「集中治療室(ICU)」のような扱いをして見守ります。新芽が動き出すまで、数週間から数ヶ月かかることもありますが、ポトスの生命力を信じて待ちましょう。
虫の発生を防ぐための対策
水苔は自然素材なので、残念ながらコバエ(キノコバエなど)の発生源になることがあります。特に湿った状態が続くと、コバエにとっては天国のような産卵場所になってしまいます。
寄せ付けないための防衛策
最大の予防策は、やはり「乾燥」です。コバエは乾燥した表面には卵を産み付けにくい性質があります。また、物理的なバリアを張るのも効果的です。
水苔の表面を、赤玉土(小粒)や化粧砂、ハイドロボールなどの「無機質」の用土で2〜3cmほど覆ってしまいます(マルチング)。無機質の用土はコバエの餌にならず、潜り込むのも難しいため、発生を劇的に抑えることができます。
もし発生してしまった場合は、「コバエホイホイ」のような粘着タイプの捕獲器を設置するか、室内でも使える観葉植物用の殺虫スプレー(ベニカXファインスプレーなど)を使用しましょう。
水苔の中に潜む幼虫を退治するには、水に溶かして使うタイプの薬剤(オルトランなど)もありますが、室内使用の可否をよく確認してから使ってください。
ポトスと水苔で長く楽しむ
ここまで、水苔を使ったポトスの栽培方法について、メリットからトラブル対策まで長々とお話ししてきました。最後に改めてお伝えしたいのは、「植物をよく観察すること」の大切さです。
マニュアル通りに「週に1回水やり」をするのではなく、その日の天気、部屋の湿度、そしてポトスの葉の張り具合や水苔の乾き具合を見て、「今日はお水が欲しいかな?」「まだいらなそうだな」と対話するように管理してあげること。
これができれば、水苔栽培は決して難しいものではありません。
水苔は、ポトスの故郷である熱帯雨林の優しさを再現できる素晴らしい素材です。清潔で扱いやすく、何よりポトスが喜んで根を伸ばしてくれる姿を見られるのが最大の魅力です。
ぜひ、あなたもこの「ポトス×水苔」の組み合わせで、お部屋の中に小さなジャングルを作ってみてくださいね。緑のある暮らしが、あなたの毎日をより豊かにしてくれることを願っています。
※本記事で紹介した方法は、あくまで一般的な目安であり、私の経験に基づくものです。植物の個体差や栽培環境によって結果は異なります。農薬や薬剤を使用する際は、必ず製品のラベルや説明書をよく読み、ご自身の責任において安全に使用してください。