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こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。丈夫で育てやすいポトスですが、ふと見ると葉っぱが黒く変色していてドキッとしたことはありませんか?
大切に育てているポトスの葉が黒くなるのを見ると、枯れてしまうのではないかと不安になりますよね。実はその黒ずみ、単なる汚れではなく植物からのSOSサインかもしれません。でも大丈夫です。
原因さえ分かれば、まだ復活させられる可能性は十分にあります。この記事では、葉先が枯れる症状や黒い斑点が出る原因、そしてそれぞれの対処法について、私の経験も交えながら分かりやすくお話ししていきます。
ポイント
- 葉が黒くなる場所や広がり方で原因を特定できるようになります
- 根腐れや病気が疑われる場合の緊急処置の方法が分かります
- 黒くなってしまった葉をどこで切るべきか判断できるようになります
- 冬の寒さや直射日光からポトスを守る具体的な管理法が分かります
コンテンツ
ポトスの葉が黒くなる原因と症状の診断

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「葉が黒い」といっても、その症状は一つじゃありません。葉先だけなのか、斑点があるのか、それとも全体がじゅくじゅくしているのか。
まずはポトスをじっくり観察して、原因を突き止めていきましょう。ここでの見極めが、復活への第一歩になります。
葉先から茶色く変色するのは根腐れか

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ポトスを育てていて最も頻繁に遭遇するトラブルの一つが、この「葉先からの変色」ではないでしょうか。葉の先端部分から徐々に茶色や黒に変色し始め、それが少しずつ葉の内側へと広がっていく現象です。
この症状を見たとき、多くの人が「水が足りないのかな?」と思って水をあげてしまいがちですが、実はその判断が症状を悪化させる引き金になることもあります。
ここでは、葉先が変色するメカニズムと、それが「根腐れ」によるものなのか、それとも他の要因なのかを見分けるための詳細なポイントを深掘りしていきましょう。
1. 根詰まりと水切れによる「物理的な水不足」
まず疑うべきは、植物体内の水分が物理的に足りていない状態です。ポトスの根は成長が非常に早く、購入してから1〜2年も経つと、鉢の中が根でパンパンに詰まった「根詰まり(ルートバウンド)」の状態になります。
根が詰まると、土の中に水を蓄えるスペースがなくなり、水やりをしても水が素通りしてしまうか、逆に根が窒息して水を吸えなくなります。
植物は生きるために、生命維持に最も重要な「成長点(新芽)」や「茎」を守ろうとします。その結果、水分供給の優先順位が低い「葉の先端(末端組織)」への水分供給をカットし、その部分が枯れて黒くなってしまうのです。
この場合の黒変部分は、触るとカサカサに乾燥しており、パリパリと砕けるような質感であることが特徴です。
2. 本当に怖いのは「根腐れ」による変色
一方で、最も警戒しなければならないのが「根腐れ」です。これは土が常に湿っていることで根が酸欠状態になり、細胞が死滅・腐敗する現象です。
根腐れが起きると、根は水を吸い上げる機能を喪失します。土は水でびしょびしょなのに、植物体は脱水症状に陥るという矛盾した状態になります。
この時、葉先だけでなく、「葉の縁(エッジ)」全体が黒く変色したり、黄色いシミを伴いながら黒ずんでいくことが多いです。
見極めの最大のポイントは「触った時の感触」と「土の状態」です。
| チェック項目 | 根詰まり・水切れの疑い | 根腐れの疑い(危険!) |
|---|---|---|
| 変色部分の質感 | カサカサ、パリパリに乾燥 | 湿っている、ブヨブヨ、柔らかい |
| 土の状態 | カラカラに乾いている、水が染み込まない | いつまでも湿っている、乾きが遅い |
| 匂い | 特になし(土の匂い) | ドブのような腐敗臭、カビ臭い |
| 進行速度 | 比較的ゆっくり | 数日で急激に悪化することがある |
3. エアコンの風や化学的なストレス
見落としがちなのが、エアコンやサーキュレーターの風が直接当たることによる「ドライスポット」です。
風が当たり続けると、葉の表面からの蒸散(水分放出)が過剰になり、根からの吸水が追いつかずに葉先がチリチリに枯れ込みます。これも黒変の一因です。
また、肥料の与えすぎによる「肥料焼け」も葉先を黒くします。土の中の肥料成分濃度が高くなりすぎると、浸透圧の関係で根から水分が奪われてしまうのです。
これを「塩類集積障害」とも呼びますが、もし最近肥料をあげてから急に葉先が黒くなった場合は、一度大量の水で土の中の成分を洗い流す(リーチング)必要があります。
このように、一口に「葉先が黒い」と言っても原因は様々です。まずは土の湿り具合と葉の感触を確かめ、冷静に診断することから始めましょう。
黒い斑点は炭疽病などの病気か判断

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次に解説するのは、葉の縁や先端ではなく、葉の内部に突如として現れる「黒い斑点」についてです。
これは生理障害(環境ストレス)ではなく、病原菌による感染症である可能性が極めて高く、放置すると株全体、さらには家中の他の植物にまで被害が拡大する恐れがあります。
最も疑うべき「炭疽病(たんそびょう)」の脅威
ポトスにおいて、黒い斑点が出る病気の代表格が「炭疽病」です。この病気は、Colletotrichum(コレトトリクム)属などの糸状菌、つまり「カビ」の一種が原因で発生します。
高温多湿な環境を好むため、梅雨時期や秋の長雨シーズン、あるいは風通しの悪い室内で発生しやすい傾向があります。
観察すべき病斑の特徴と進行プロセス
炭疽病の斑点には、独特の特徴があります。これを見逃さないことが早期発見の鍵となります。
- 初期段階:葉の表面に、針の先で突いたような小さな褐色〜黒色の点が出現します。この段階では「ゴミかな?」と見過ごしてしまいがちです。
- 中期段階:点は徐々に拡大し、円形や楕円形、あるいは葉脈に沿った不整形な「病斑」になります。特徴的なのは、病斑の周囲が黄色く変色する「ハロー(halo)」と呼ばれる現象が見られることです。これは病原菌が出す毒素によって、周囲の組織が弱っている証拠です。
- 後期段階:病斑同士が融合して大きくなり、中心部分が灰白色に乾いて抜け落ち、穴が開くことがあります(穿孔症状)。病斑の上には、黒い小さな粒々(分生子層)が見えることがあり、ここから大量の胞子が飛散します。
褐斑病(かっぱんびょう)や他の病気との違い
似たような症状に「褐斑病」や「黒星病」がありますが、対処法としての基本(感染部位の除去と殺菌)は大きく変わりません。しかし、生理的な障害(葉焼けなど)との区別は重要です。
例えば、直射日光による「葉焼け」の黒いシミは、一度できたらその範囲以上に広がることは稀で、周囲への伝染性もありません。
一方で、炭疽病などの病気による斑点は、「生きている」ため、日々形を変え、大きくなり、枚数が増えていきます。
「昨日よりシミが大きくなっている気がする」「隣の葉っぱにも似たようなポツポツが出てきた」と感じたら、それは間違いなく病気です。
感染経路を知って遮断する
なぜ家の中のポトスが病気になるのでしょうか?多くの場合、菌は以下のようなルートで侵入します。
- 水はね(雨媒伝染):水やりの際、土に潜んでいた菌が水滴とともに跳ね上がり、下の葉に付着して感染します。
- 風による飛散:窓から入ってきた風に乗って胞子が運ばれてくることがあります。
- 購入時の持ち込み:買った時から既に潜伏感染していたケースも少なくありません。
- 道具を介した感染:ハサミなどの道具を消毒せずに使い回すことで、人間が媒介者になってしまうこともあります。
特に注意したいのは、葉が密集して風通しが悪くなっている状態です。湿度が高いと、葉の表面についた胞子が発芽しやすくなり、クチクラ層(葉のバリア)を突き破って侵入します。
一度侵入されると、植物の細胞内で菌糸を伸ばして栄養を奪い、組織を壊死させて黒変させます。
この「黒い斑点」を見つけたら、もはや観察している猶予はありません。第2章で解説する対処法に従って、直ちに外科的処置を行う必要があります。
冬の寒さで葉が黒くなる低温障害
ポトスは熱帯、具体的にはソロモン諸島などの暖かい地域が原産の植物です。そのため、日本の冬、特に暖房のない部屋や夜間の窓辺の寒さは、ポトスにとって命に関わる過酷な環境となります。
冬場に葉が黒くなる現象の多くは、この寒さによる「低温障害(Chilling Injury)」や「凍傷」が原因です。
細胞レベルで何が起きているのか?
なぜ寒さで葉が黒くなるのでしょうか?これには植物の細胞構造が関係しています。
気温が5℃〜8℃を下回ると、植物の細胞内にある水分が凍結し始めます。水は凍ると体積が増え、氷の結晶になりますよね。
細胞の中でこの現象が起きると、鋭利な氷の結晶が細胞膜や細胞壁を物理的に突き破って破壊してしまいます。これが「凍傷」です。
その後、気温が上がって氷が解けると、破壊された細胞膜から細胞内の液体がドロドロと漏れ出します。
これが酸化して黒く変色し、組織全体が水浸状(水を含んでグズグズした状態)になって崩壊するのです。一度破壊された細胞壁は、二度と修復されません。
低温障害の初期症状と進行
低温障害は、必ずしも凍結しなくても起こります。10℃以下のような「ポトスにとっては寒いけど凍るほどではない」温度帯に長時間さらされると、生理機能(代謝)が乱れ、老廃物が蓄積して細胞死を招きます。
症状の出方には以下のような特徴があります。
- 葉全体の色抜け:鮮やかな緑色が失われ、くすんだ黄色や茶色に変色します。
- 水っぽい黒変:葉の一部、あるいは全体が、茹でたホウレンソウのように黒く、しんなりと垂れ下がります。
- 急激な落葉:植物は生命維持のために、エネルギーのかかる葉を切り捨てようとします。触っただけでパラパラと葉が落ちる場合は、寒さのストレスが限界に達しています。
危険な「窓際トラップ」
「昼間は日当たりが良いから」といって、冬場も窓際にポトスを置きっぱなしにしていませんか?これが一番の落とし穴です。
日本の住宅、特に断熱性能が高くない窓ガラス付近では、夜間から明け方にかけて外気と変わらないほど気温が下がります(コールドドラフト現象)。昼間20℃あっても、明け方に5℃になれば、その温度差(15℃)だけで植物はショックを受けます。
さらに、結露した窓ガラスに葉が触れれば、そこから直接冷却されて一発で黒く枯れてしまいます。
【寒さ対策の鉄則】
日が落ちたら、窓際から部屋の中央、または少し高い場所(冷気は下に溜まるため)へ移動させましょう。厚手のカーテンを閉めるだけでも数度の保温効果があります。
水やりの頻度が耐寒性を左右する
意外かもしれませんが、冬場の水やりの仕方も黒変リスクに直結します。植物の体内の水分量が多いと、それだけ凍りやすくなります。
逆に、体内の水分を減らして細胞液の濃度(糖分やミネラル濃度)を高めると、凝固点が下がり、寒さに強くなる性質があります。
冬に水をあげすぎて土が過湿状態だと、夜間の冷え込みで鉢の中の水分が冷やされ、根が冷蔵庫に入っているような状態になります。
これが「冬の根腐れ」を誘発し、結果として葉が黒くなる原因にもなります。冬は「植物を休眠させる」意識で、ギリギリまで水を控えることが、葉を黒くさせないための最大の防御策なのです。
直射日光による葉焼けで黒くなる
「植物には日光が必要」というのは常識ですが、ポトスに関しては「当てすぎ」もまた毒になります。
特に、これまで室内で育てていたポトスを急にベランダに出したり、夏場の強い西日が当たる場所に置いたりした時に発生するのが「葉焼け(Leaf Scorch)」です。
光合成の限界を超えたエネルギー破壊
ポトスは元々、熱帯雨林の大きな木の下などで育つ植物であり、木漏れ日程度の日光を好む「半陰性植物」です。そのため、強烈な直射日光に対する防御機能があまり強くありません。
葉に過剰な光エネルギーが降り注ぐと、植物の光合成システム(葉緑体)での処理能力を超えてしまいます。
処理しきれなかったエネルギーは「活性酸素」という有害物質を生み出し、これが細胞膜や葉緑素を酸化させ、破壊してしまいます。人間で言うところの激しい日焼け(火傷)と同じ状態です。
葉焼けによる黒変のビジュアル的特徴
葉焼けの症状は、段階を追って変化します。
- 退色(クロロシス):最初は葉の色が抜け、白っぽく、あるいは黄色くカスリ状になります。この段階なら、日陰に戻せば枯れずに済むこともあります。
- 褐変・黒変(ネクロシス):ダメージが深刻だと、組織が死滅して茶色や黒に変色します。この黒変部分は、炭化したように硬く、カサカサになります。
- 穴あき:枯死した部分は脆くなり、風などで破れて穴が開くこともあります。
葉焼けによる黒変の特徴は、「光が当たっていた部分だけに症状が出る」ということです。
例えば、上の葉の影になっていた下の葉は緑色のままだったり、窓側を向いていた面だけが黒くなっていたりします。これは病気のように広がらないため、原因特定の手がかりになります。
特に注意が必要な品種
ポトスの中でも、品種によって葉焼けのしやすさが異なります。
- ライム(ネオン):全体が明るい黄緑色の品種。葉緑素が少ないため、強光に弱く、すぐに焼けて茶色くなります。
- マーブルクイーン、エンジョイ、ステータス:白い斑(ふ)が入る品種。白い部分は葉緑素を持たないため光合成ができず、組織として非常に弱いです。この「白い部分」から茶色く焦げ始め、黒く枯れ込んでいくケースが非常に多いです。
斑入り品種の白い部分が茶色く枯れるのは、病気ではなく、強い光(あるいは乾燥)による生理的なダメージであることが大半です。美しい斑を維持するためには、光の強さをコントロールする繊細な管理が求められます。
レースカーテン越しの「軟光」がベスト
葉焼けを防ぐ最適解は、「遮光」です。屋外であれば遮光ネット(遮光率50%〜70%推奨)を使用し、室内であればレースのカーテン越しに日光を当てるのが理想的です。
もし葉焼けをしてしまっても、株全体が枯れることは稀です。
黒くなってしまった葉は見た目が悪いだけでなく、光合成もできないお荷物状態なので、早めにカットして新しい葉の展開を待ちましょう。そして、置き場所を速やかに「明るい日陰」へと移動させてください。
葉に黒いカビが付着するすす病
最後に紹介するのは、葉の組織そのものが黒くなるのではなく、葉の表面に「黒い粉」や「煤(すす)」のようなものが付着するケースです。これは「すす病(Sooty Mold)」と呼ばれる症状です。
すす病の正体は「カビ」だが、真犯人は「害虫」
すす病の黒い汚れの実体は、植物の表面で繁殖したカビ(糸状菌)です。しかし、このカビは植物の細胞を攻撃して侵入してくるわけではありません。では、何をエサにしているのでしょうか?
それは、アブラムシ、カイガラムシ、コナジラミといった「吸汁害虫」の排泄物(甘露)です。
これらの害虫は、ポトスの茎や葉から栄養分(師管液)を吸い取り、糖分を多く含んだベタベタした排泄物を出します。
この排泄物が葉の表面に溜まり、そこに空気中を漂うカビの胞子が付着して繁殖することで、黒い膜のような汚れが広がるのです。
見た目の悪化と光合成阻害
すす病自体がポトスを直接枯らすことは少ないですが、放置すると以下のような悪影響があります。
- 美観の著しい毀損:まるで煤をかぶったように黒く汚れ、観賞価値がなくなります。
- 光合成の阻害:黒いカビの膜が葉を覆ってしまうため、日光が遮られ、光合成ができなくなります。これにより株全体が衰弱し、葉色が黄色くなって落ちてしまいます。
- 蒸散の阻害:気孔が塞がれ、呼吸や蒸散が妨げられます。
すす病かどうかの確認方法
すす病による黒変かどうかを見分けるのは簡単です。濡らしたティッシュや布で、黒い部分を優しく拭いてみてください。
もし、黒い汚れが綺麗に拭き取れて、その下から緑色の葉が出てくれば、それは間違いなく「すす病」です。逆に、拭いても取れず、葉の組織自体が黒く変色している場合は、これまで解説した壊死や病気です。
対処の基本は害虫駆除
すす病を治すには、表面のカビを洗い流すだけでは不十分です。原因となっている害虫を根絶しない限り、すぐに再発します。
まずは葉の裏や茎の付け根をよく観察してください。白い綿のようなもの(コナカイガラムシ)や、茶色い殻のようなもの(カタカイガラムシ)、あるいは小さな緑や黒の虫(アブラムシ)がいませんか?
見つけたら、歯ブラシなどで物理的にこすり落とすか、専用の殺虫剤を使用して駆除します。
その後、濡れ雑巾やウェットティッシュで葉の表面の黒いススを丁寧に拭き取ってください。汚れがひどい場合は、浴室でシャワーをかけて洗い流すのも効果的です。
すす病は、「害虫がいるよ」というポトスからのサインでもあります。日頃から葉の裏までチェックする習慣をつけることで、大発生を防ぐことができます。
ポトスの葉が黒くなる時の対処法と復活

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原因がある程度絞り込めたら、次は具体的な対処法です。「もう枯れちゃうかも」と諦める前に、できるケアをしてあげましょう。ポトスの生命力を信じて、処置していきます。
黒い部分はハサミで切り取るべきか
ポトスの葉が一度黒く変色してしまった場合、残念ながらその部分が再び元の鮮やかな緑色に戻ることは、生物学的にあり得ません。
壊死した細胞は再生しないからです。では、その黒くなった葉をどう扱うべきか?結論から申し上げますと、原則として切り取ること(剪定・摘葉)を強く推奨します。
なぜ切り取る必要があるのか?
「自然に落ちるのを待ってはダメなの?」と思われるかもしれませんが、黒変した葉を放置することにはいくつかのリスクがあります。
- 病気の温床になる:枯死した組織は防御機能がないため、灰色かび病などの腐生菌(死んだ組織を栄養にする菌)が繁殖しやすくなります。これが健全な部分へ飛び火する恐れがあります。
- 感染源の除去:もし原因が炭疽病などの伝染性病害であった場合、その葉自体が胞子製造工場になっています。一刻も早く取り除くことが、感染拡大を防ぐ唯一の手段です。
- 植物の負担軽減:機能していない葉を維持しようとする無駄なエネルギー消費をカットし、新しい芽を出すためのエネルギーに回させます。
正しい切り方と道具のケア
切り取る際は、症状の程度に合わせて判断します。
【葉の一部だけが黒い場合】:葉焼けや水切れなどで、葉先や縁だけが黒くなっている場合は、黒い部分だけをハサミでトリミングすることも可能です。
ただし、緑色の健全な部分を数ミリ含めて切るか、境界線ギリギリで切るかは見栄え次第です。病気が疑われる場合は、患部を残さないよう、緑色の部分も含めて大きめに切り取ってください。
【葉の半分以上、または病気の斑点がある場合】:葉っぱごと取り除きます。
この時、葉だけをちぎるのではなく、茎とつながっている「葉柄(ようへい)」の付け根から、清潔なハサミでカットしてください。葉柄を残すと、そこから腐りが入ることがあるためです。
【重要:ハサミの消毒】:これが最も重要なポイントです。病気の葉を切ったハサミには、目に見えない病原菌が付着しています。そのハサミで次の葉を切ると、切り口から菌を注入することになり、人為的に病気を広げてしまいます。
作業前、および株を変えるたびに、ハサミの刃を火であぶる(火炎滅菌)か、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム液(家庭用漂白剤の希釈液)で拭き取るなどして、必ず消毒を行ってください。プロの生産者も徹底している基本中の基本です。
炭疽病には殺菌剤の散布が有効
前述の通り、黒い斑点が広がる「炭疽病」などの真菌性病害が疑われる場合は、悪い葉を切り取る外科的処置に加え、薬剤による化学的防除を行うことで、生存率を劇的に高めることができます。
おすすめの殺菌剤と選び方
ホームセンターや園芸店には多くの薬剤が並んでいますが、ポトスの炭疽病対策として私が信頼して使用しているのは以下の薬剤です。
| 薬剤名 | タイプ・特徴 | 使い方のポイント |
|---|---|---|
| GFベンレート水和剤 (住友化学園芸など) | 【治療+予防】 浸透移行性があり、植物の体内に成分が染み渡る。病気の進行を止めつつ予防もできる。 | 水で薄めて散布。白い粉が残ることがあるが効果は高い。土に撒く(灌注)ことも可能。 |
| STダコニール1000 (住友化学園芸など) | 【予防主体】 広範囲の病気に効く保護殺菌剤。耐性菌ができにくく、雨にも強い。 | 発病初期や、梅雨前の予防散布に最適。葉の表裏にしっかりとかける。 |
| ベニカXファインスプレー (住友化学園芸など) | 【殺虫殺菌剤】 手軽なスプレータイプ。病気だけでなく害虫も同時に退治できる。 | 希釈の手間がないので、初心者に一番おすすめ。常備しておくと便利。 |
効果的な散布のコツ
薬剤の効果を最大限に引き出すためには、以下の手順で行います。
- 病葉の除去:まず、目に見える病気の葉や枯れ葉を全て取り除き、ビニール袋に入れて密閉・処分します。
- 屋外での散布:室内で撒くと家具が汚れたり吸い込んだりするリスクがあるため、ベランダや屋外の風通しの良い日陰で作業します。必ずマスクと手袋、長袖を着用してください。
- 満遍なくスプレー:葉の表面だけでなく、気孔が多い葉の裏側や、茎、株元の土の表面にもしっかりと薬剤がかかるように散布します。ポタポタと滴るくらいが目安です。
- 継続的なケア:一度撒いて終わりではなく、製品のラベルに記載されている使用間隔(例:7〜10日に1回)を守って、数回繰り返すことで菌を完全に抑え込みます。
また、同じ薬剤ばかり使い続けると、菌が薬に慣れてしまう(耐性菌の出現)ことがあります。
もし効果が薄いと感じたら、異なる成分の薬(ベンレートとダコニールなど)をローテーションで使うのが上級者のテクニックです。
根腐れを防ぐ正しい水やりの方法
根腐れが原因だった場合、一番の薬は「水やりの見直し」です。土がまだ湿っているのに水をあげていませんか?
基本は「土の表面がしっかり乾いてから、鉢底から出るくらいたっぷりと」。そして、受け皿に溜まった水は必ず捨てること。
これが鉄則です。特に冬場は成長が鈍るので、土が乾いてからさらに2〜3日待ってからあげる「乾燥気味」の管理にシフトしましょう。
「土が乾く」を正しく見極める方法
「土が乾いたら」と言われても、表面だけ見て判断していませんか?実は、表面は乾いていても、鉢の中(中心部)はまだ湿っていることがよくあります。これを見誤ると、水のやりすぎに繋がります。
確実に見極めるには、以下の方法を試してみてください。
- 指チェック:土に指を第一関節(約2〜3cm)まで差し込んでみてください。指先に湿り気を感じたり、土が冷たいと感じる場合は、まだ水やりは不要です。
- 鉢の重さチェック:水やり直後の「重い状態」を覚えておき、持ち上げた時に「軽い!」と感じたら水やりのタイミングです。
- 割り箸チェック:乾いた割り箸を土に刺しておき、抜いた時に湿った土がついてこなければ乾いています。
なぜ「鉢底から出るまで」やる必要があるのか?
「根腐れが怖いから、コップ一杯だけ…」という“ちょろちょろ水やり”は、実は逆効果です。水やりには、水分補給だけでなく「鉢の中の古い空気を押し出し、新鮮な酸素を含んだ空気と入れ替える」という重要な役割があります。
鉢底から水がジャーっと出る勢いで水を通すことで、土の中の老廃物やガスが洗い流され、根が呼吸できる環境が整います。
中途半端な水やりでは、土の下の方に古い水や空気が滞留し、そこから根腐れが始まってしまいます。 「やる時はやる(たっぷりと)、やらない時はやらない(乾くまで待つ)」。このメリハリこそが、健全な根を育てる秘訣です。
基本的な水やりのタイミングや置き場所については、以下の記事でも詳しくまとめていますので、あわせてチェックしてみてください。
ポトスの育て方を室内で失敗しないための基礎知識と成功ポイント
土の状態を確認して植え替えを検討

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水やりの方法を改善しても葉の黒変が止まらない、あるいは土がいつまで経っても乾かないという場合は、土壌環境そのものが限界を迎えている可能性があります。土は消耗品です。
長年使い続けた土は、団粒構造が崩れて粘土のようになり、水はけと通気性が著しく悪化します。
緊急植え替えが必要なサイン
以下のような兆候があれば、根の状態を確認し、必要であれば植え替えを行うべきです。
- 異臭がする:水やりの際や、鉢に鼻を近づけた時に、ドブのような腐敗臭やカビ臭い匂いがする。
- 水が染み込まない:水をあげても表面に溜まったままで、なかなか吸い込まれていかない(目詰まり)。
- 鉢底から根が出ている:物理的な根詰まりにより、根が呼吸困難に陥っている。
- 茎がグラグラする:根が腐って土を掴めなくなっているため、株元を持って揺らすと簡単に動いてしまう。
腐った根の外科手術(根の整理)
植え替えの際、最も重要なのが「根のチェックと処理」です。根腐れを起こしている株を、そのまま新しい土に移しても回復しません。
- 土を落とす:鉢から株を優しく抜き、古い土を丁寧に落とします。水を入れたバケツの中で揺らすと、根を傷つけずに土を落とせます。
- 根の選別:健康な根は「白くて硬い」ですが、腐った根は「黒褐色で、触るとブヨブヨしており、引っ張ると簡単に切れる(外皮が剥ける)」状態です。
- 切除:腐っている根は、清潔なハサミですべて切り落とします。勇気がいりますが、腐敗菌の巣窟を残しておく方が危険です。黒い部分がなくなり、白い断面が見える健康な部分まで切り戻してください。
- 植え付け:根が減ってしまった分、地上部の葉も少し減らして(剪定して)、吸水と蒸散のバランスを取ってあげると回復が早まります。新しい土は、観葉植物用の清潔な培養土を使用しましょう。
植え替えの適期と、冬場の緊急対応
本来、ポトスの植え替えに適しているのは、成長が旺盛な5月〜9月(真夏を除く)です。この時期なら回復も早いです。 しかし、真冬に深刻な根腐れを起こしてしまった場合はどうすれば良いでしょうか?
冬の植え替えはリスクが高いですが、そのまま放置すれば枯死確実です。
その場合は、「根鉢(土の塊)を崩さずに一回り大きな鉢に移す」のではなく、「腐った根だけを取り除き、今までと同じサイズか、あえて一回り小さな鉢に、乾燥した新しい土で植える」という緊急手術を行います。
処置後は水をすぐにはたっぷりあげず、葉水で湿度を保ちながら、暖かい部屋で数日間様子を見ます。根への負担を最小限に抑えつつ、腐敗の進行を止めることが最優先です。
重症なら水挿しで復活を目指す

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「鉢から抜いてみたら、根っこが全部黒くてボロボロだった…」「植え替えようにも、根がほとんど残っていない」。そんな絶望的な状況でも、ポトスならまだ間に合います。
土栽培を諦め、「水挿し(水耕栽培)」へ移行することで、命を繋ぐことができるのです。
ポトスの再生能力と「気根」の力
ポトスは、サトイモ科特有の高い環境適応能力を持っています。茎の節々から出ている小さな突起を見たことがありますか?あれは「気根(きこん)」といって、空気中の水分を吸収したり、何かにへばりついたりするための根の予備軍です。
この気根は、水や土に触れると、本格的な「根」へと変化し、急速に成長を始めます。根腐れで地下の根が全滅しても、地上部の茎と気根さえ生きていれば、そこからリスタートが可能なのです。
水挿しによる再生の手順
失敗しない水挿しの手順は以下の通りです。
- 元気な茎を選抜する:黒変していない、緑色でハリのある茎を選びます。
- 節を残してカット:必ず「気根(節)」が1つか2つ含まれるようにして、10cm〜15cm程度の長さでカットします。発根は節から起こるので、ただの茎だけの部分を切っても根は出ません。
- 下葉を取り除く:水に浸かる部分にある葉っぱは、腐敗の原因になるのですべて取り除きます。上の方に葉が1〜2枚残っていれば十分です。
- 水に挿す:透明なガラス瓶やコップに水道水を入れ、カットした茎を挿します。気根が水に浸かるように水位を調整してください。
- 管理:直射日光の当たらない明るい場所に置きます。最初のうちは切り口から有機成分が出て水が腐りやすいので、毎日水を交換してください。これが成功の秘訣です。
発根後の管理と選択肢
順調にいけば、早ければ1週間、遅くとも2週間程度で、気根から白いフワフワした新しい根(水根)が伸びてきます。根が3cm〜5cmくらいまで伸びれば、再生成功です!
その後は、そのまま水耕栽培(ハイドロカルチャー)として清潔に育て続けることもできますし、十分に根が張ってから再び土に植え戻すことも可能です。
ただし、水の中で育った根(水根)は土の環境(土根)とは性質が異なるため、土に戻す際は急激な環境変化に注意が必要です。
復活のラストチャンス「水挿し」 土で育たないほど弱った株も、水の中なら再生できることがあります。詳しい手順や、発根後に土に戻す際の注意点は以下の記事を参考にしてください。
ポトスの水耕栽培から土への植え替えや切る場所等育て方の基本知識
ポトスの葉が黒くなるのを防ぐ管理
ここまで、黒くなってしまった後の対処法を中心にお話ししてきましたが、何よりも大切なのは「黒くさせない」予防管理です。
ポトスが葉を黒くするのは、我慢の限界を超えた時だけ。日々のちょっとした心遣いで、このトラブルは未然に防ぐことができます。
【温度管理】冬を乗り切るための保温テクニック
ポトスにとっての「8℃〜10℃」というラインは、生死を分ける境界線です。特に日本の住宅は、夜間の冷え込みが厳しいため油断できません。
- 夜間の置き場所:「昼は窓際、夜は部屋の中央」が基本。面倒なら、キャスター付きの台に乗せておくと移動が楽です。
- 高い場所に置く:冷たい空気は床に溜まります。床置きよりも、棚の上やハンギング(吊り下げ)の方が、体感温度は数度高くなります。
- 簡易温室:どうしても寒い部屋なら、夜だけ段ボール箱を被せたり、発泡スチロールの箱に入れたりするだけでも、立派な断熱効果があります。
【風通し】病気と蒸れを防ぐサーキュレーター活用
炭疽病などの病気や、夏場の蒸れによる根腐れを防ぐ最強のアイテムが「風」です。風が動いていると、葉の表面が適度に乾燥し、病原菌の胞子が発芽しにくくなります。
また、植物の蒸散活動も活発になり、根からの吸水もスムーズになります。
ただし、「エアコンの風を直接当てる」のは絶対にNGです。これは植物を乾燥機にかけているようなもので、葉先が枯れる原因になります。
サーキュレーターや扇風機の風は、壁や天井に向けて当て、部屋全体の空気を柔らかく循環させるように使いましょう。
【日当たり】美しい葉色を保つ光のコントロール
「暗すぎず、明るすぎず」がポトスの好む環境です。暗すぎるとヒョロヒョロに徒長して抵抗力が落ち、明るすぎると葉焼けを起こして黒くなります。
ベストなのは、「本が読めるくらいの明るさがある、レースカーテン越しの窓辺」です。季節に合わせて、夏は少し窓から離し、冬は(昼間だけ)ガラス越しの日光浴をさせるなど、光の強さを調整してあげてください。
ポトスの葉が黒くなるのは、確かにショッキングな出来事です。でも、それは植物があなたに「環境を見直してほしい」と伝えているメッセージでもあります。
原因を正しく理解し、適切なケアをしてあげれば、ポトスはその強靭な生命力で必ず応えてくれます。この記事が、あなたのポトスが再び生き生きとした緑を取り戻すきっかけになれば嬉しいです。