
観葉スタイル・イメージ
こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。
スラリと伸びた葉がスタイリッシュで、お部屋の空気をきれいにしてくれると人気のサンスベリア。
多肉質な葉に水分を溜め込めるので乾燥にめっぽう強く、「忙しい人でも枯らさない植物」なんて言われることもありますよね。でも、そんな丈夫なサンスベリアにも、たった一つだけ「致命的な弱点」があることをご存知でしょうか。
それは、日本の冬の「寒さ」です。
私自身、植物を育て始めたばかりの頃、その強さを過信して冬の玄関に置きっぱなしにし、お気に入りの株をブヨブヨに枯らせてしまった苦い経験があります。
「サンスベリア 耐寒性」や「冬の水やり」について調べているあなたも、もしかしたら今、元気のないサンスベリアを前に不安を感じているのかもしれません。急に葉にシワが寄ったり、色が褪せてきたりすると、「水をあげなきゃ!」と焦ってしまうものですが、実はその優しさが逆効果になることも多いんです。
でも、安心してください。サンスベリアは本来とても生命力の強い植物です。彼らの故郷であるアフリカの環境をイメージし、冬の間だけちょっとした「特別扱い」をしてあげるだけで、誰でも無事に冬越しさせることができます。
この記事では、私の失敗から学んだ教訓も交えつつ、サンスベリアを寒さから守るための鉄則や、万が一ダメージを受けてしまった時の復活術まで、どこよりも詳しくお話ししていきたいと思います。
ポイント
- サンスベリアが耐えられる限界の温度と、家の中で避けるべき場所
- 冬枯れを防ぐための最大の秘訣である「断水」の具体的なやり方
- 寒さで弱った株や、根腐れを起こした時の緊急対処法
- 品種ごとの耐寒性の微妙な違いと、それぞれの注意点
まずは、サンスベリアがどれくらいの寒さまで耐えられるのか、その限界ラインと冬越しの基本ルールからしっかり押さえていきましょう。
コンテンツ
サンスベリアの耐寒性と冬越しの基本ルール

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サンスベリアの原産地は、ナイジェリアやコンゴなどのアフリカ大陸や、南アジアの乾燥地帯です。これらの地域は一年を通して暖かく、日本のような「凍えるような寒さ」とは無縁の世界。
つまり、サンスベリアにとって日本の冬は、遺伝子的にも想定外の過酷な環境なんです。枯らさないためには、まず「温度」に対する正しい感覚を持つことがスタート地点になります。
冬越しの限界温度は10度を目安にする
サンスベリアを育てる上で、温度計は水やりチェッカーよりも大切なアイテムかもしれません。一般的にサンスベリアが元気に成長できるのは20度〜25度以上。人間が半袖で過ごせるくらいの暖かさを好みます。そこから気温が下がるにつれて、彼らの様子は少しずつ変化していきます。
温度ごとのサンスベリアの状態変化
温度が下がると植物の内部では何が起きているのか、段階を追って見てみましょう。
- 20度〜25度以上(快適):光合成も活発で、根から水をぐんぐん吸い上げます。新芽も出る成長期です。
- 15度〜20度(警戒):少し肌寒さを感じ始め、成長スピードが鈍くなります。人間でいうと「そろそろ上着が必要かな」という時期。このあたりから徐々に水やりの間隔を空け始めます。
- 10度〜15度(休眠準備):活動がほぼ停止し、休眠への準備に入ります。根の吸水力は極端に落ちます。
- 10度以下(完全休眠):ここが運命の分かれ道です。サンスベリアの耐寒温度の目安は「10度」と考えてください。このラインを下回ると、サンスベリアは完全に生命活動を停止し、冬眠状態に入ります。
- 5度以下(生存限界):危険ゾーンです。細胞内の水分が凍結し始め、細胞壁が破壊されます。一度凍って壊れた細胞は、二度と元には戻りません。
このように、10度というのはサンスベリアにとって「生きていくための最低ライン」なんですね。もしリビングの室温が10度を下回るようなら、段ボールで囲ったり、発泡スチロールの箱に入れたりして、物理的に保温する工夫が必要になってきます。
見落としがちな「微気象」と「コールドドラフト」
「エアコンの設定温度は20度だし、うちは大丈夫」と思っている方も要注意です。部屋全体の温度と、植物が置かれている場所の温度は必ずしも一致しません。特に気をつけたいのが、窓際の「コールドドラフト現象」です。
窓際は夜間、冷蔵庫になる!?
日中はポカポカと暖かい窓辺ですが、日が落ちると状況は一変します。外気で冷やされた窓ガラスが室内の空気を急激に冷やし、冷たく重くなった空気が滝のように床面へと流れ落ちてきます。これがコールドドラフトです。
部屋の真ん中は20度あっても、窓際の床付近は10度以下、明け方には5度近くまで下がっていることも珍しくありません。この温度差がサンスベリアには大敵です。「昼間は窓際で日光浴、夜は部屋の中央や高い場所へ避難」という移動を習慣にしましょう。
また、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まる性質があります。床に直接鉢を置いていると、人間が感じているよりもはるかに寒い環境にさらされている可能性があります。鉢スタンドや小さなテーブルを使って、床から少し高さを出してあげるだけでも、体感温度は数度変わってきますよ。
冬の水やりは断水して休眠させる

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「サンスベリア 耐寒性」と検索する方の多くが悩むのが、冬の水やりです。「土が乾いたらたっぷり」という基本ルールは、冬に関しては一度忘れてください。冬のサンスベリアにとって、水は命を救うものではなく、命を奪う凶器になり得るからです。
なぜ「断水」が必要なのか?
10度以下で休眠状態に入ったサンスベリアは、根からの吸水活動をほぼ停止しています。お腹がいっぱいで眠っている時に、無理やり水を飲ませようとしても飲めませんよね?
それと同じで、吸われなかった水は鉢の中に残り続け、夜間の冷え込みで冷たくなり、根を芯から冷やしてしまいます。これが冬場の根腐れの正体です。
さらに、植物には「体内の水分を減らすことで、樹液の濃度を高め、凍りにくくする」というすごい能力が備わっています。真水は0度で凍りますが、砂糖水や塩水は0度でも凍りませんよね(凝固点降下といいます)。あえて水を断つことで、サンスベリアは自らの体液を濃くし、寒さに耐えられる体に変化するのです。
そのため、冬場の管理の基本は「断水(だんすい)」、つまり勇気を持って水を一切与えないことになります。
室温別・冬の水やりスケジュール
- 最低気温10度以下になる環境(一般的な戸建てや、夜間暖房を切る部屋) 11月下旬〜12月頃から、翌春の3月〜4月頃まで「完全断水」します。一滴もあげなくて大丈夫です。「枯れないかな?」と心配になりますが、サンスベリアは葉にたっぷり水を蓄えているので、数ヶ月水がなくても余裕で生きていけます。
- 最低気温15度以上を24時間キープできる環境(高気密マンションや全館空調) 植物が完全には休眠していないため、月に1回程度、土がカラカラに乾いてからさらに数日〜1週間待って、少量の水を与えます。ただし、鉢底から出るほどたっぷりやる必要はありません。コップ半分程度で十分です。
水を与える時の「水温」にも注意
もし暖かい日に水を与える場合でも、水道から出したばかりの冷たい水(冬は5度〜7度くらいしかありません)をそのままかけるのは厳禁です。
温かい部屋でぬくぬくしていた根に氷水を浴びせるようなもので、ショックで根が傷んでしまいます。 前日から部屋に置いて室温に戻した水か、お湯を少し足して30度くらいの「ぬるま湯」にしてから与えるのが、植物への優しさです。
葉水(はみず)はしてもいいの?
空気が乾燥するとハダニなどの害虫が発生しやすくなるので、霧吹きで葉を湿らせる「葉水」は有効です。
ただし、これもやるなら「暖かい日の午前中」限定です。夕方以降にやってしまうと、葉の隙間に水が溜まったまま夜を迎え、そこから冷えて凍傷になったり、カビが生えたりする原因になります。ティッシュなどで拭き取れる範囲で、軽く湿らせる程度にしておきましょう。
玄関や屋外での管理は寒すぎて危険
風水的にも良いとされるサンスベリアなので、玄関に飾っている方も多いですよね。また、春から秋にかけてベランダで育てていた方もいるでしょう。しかし、冬に関してはその配置を見直す必要があります。
屋外管理は即撤収を
まず大前提として、日本の冬にサンスベリアを屋外に置くのは自殺行為です。霜が降りたり、寒風に晒されたりすれば、一晩でジュレのように溶けて枯れてしまいます。最低気温が15度を下回るようになったら(地域にもよりますが10月中旬頃)、速やかに室内に取り込んであげてください。
玄関がサンスベリアに向かない3つの理由
「室内だから玄関でも大丈夫でしょ?」と思うかもしれませんが、実は玄関は家の中で最も過酷な場所の一つです。
- 急激な温度変化(ヒートショック):家族が出入りするたびに、氷点下近い冷気がダイレクトに入り込みます。一瞬でも冷風に当たると、葉の細胞がダメージを受けることがあります。
- 断熱性の低さと底冷え:多くの住宅で、玄関はリビングほど断熱対策がされていません。特にたたき(土間)の部分はコンクリートやタイル貼りが多く、強烈に冷え込みます。
- 日照不足による体力低下:窓のない玄関も多く、光合成が十分にできません。光がないと植物はエネルギーを作れず、寒さに耐える体力も落ちてしまいます。
日中はリビングの窓辺で光を浴びさせ、夜も暖かいリビングの中央に置くのがベストです。「どうしても玄関に置きたい!」という場合は、リアルなフェイクグリーン(造花)を検討するか、春になるまで我慢するのが、サンスベリアのためだと私は思います。
玄関での管理リスクや、どうしても置きたい場合の対策については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。 サンスベリアを玄関の日陰で育てるコツと風水効果は?置き方と対策も
スタッキーなど品種ごとの寒さ耐性

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サンスベリア属(現在はドラセナ属に統合されています)には、有名な「ローレンティー(トラノオ)」以外にもたくさんの仲間がいます。基本的な育て方は同じですが、葉の形や厚みによって、耐寒性や冬越しの難易度に微妙な差があります。
| 品種名 | 葉の特徴 | 耐寒性と冬越しのポイント |
|---|---|---|
| ローレンティー (トラノオ) | 剣のような平らで薄い葉。黄色い斑入りが一般的。 | 耐寒性:弱い 葉が薄い分、冷気の影響を受けやすいです。水分が多い状態で冷えるとすぐにダメージが出ます。10度以下なら迷わず完全断水してください。最も普及していますが、寒さには敏感です。 |
| スタッキー (キリンドリカ等) | 棒状(円筒形)の葉が林立する。スタイリッシュで人気。 | 耐寒性:弱い〜普通 葉が丸いため水分の蒸発が少なく乾燥には最強ですが、寒さには弱いです。特に過湿に弱く、冬に水をやると内部から腐りやすいので注意。冬はシワが入っても無視するくらいの乾燥管理が吉です。 |
| ロブスタ | 深緑色で短く太い葉。重厚感がある。 | 耐寒性:中〜弱い 非常に肉厚で水分を多く蓄えています。そのため、一度凍結すると回復不能なダメージを負いやすいです。5度以上あれば耐えると言われますが、美しく保つなら10度以上は必須です。 |
| サムライ (ドワーフ) | 肉厚の葉が交互に重なる扇形。小型種。 | 耐寒性:やや弱い 硬い葉を持ち乾燥には非常に強いです。小型なので、夜間だけ棚の上や発泡スチロール箱に入れるなどの移動対策がしやすいのがメリット。寒波の時だけ避難させるのも手です。 |
よく「スタッキーは強い」といった情報を見かけることがありますが、それはあくまで「乾燥に強い」「日陰に耐える」という意味であって、寒さに対して特別に強いわけではありません。
どの品種であっても、「10度以下では休眠する」「寒さと水やりが重なると死ぬ」という鉄則は変わりません。品種による微差を過信せず、全品種共通で「過保護な保温」と「スパルタな断水」を行うのが成功の鍵です。
水耕栽培は冬の寒さダメージを受けやすい
最近は100円ショップなどでも、ガラス容器に入ったハイドロカルチャー(水耕栽培)のサンスベリアを見かけますね。土を使わないので清潔ですし、水位が見えて管理しやすいのが魅力ですが、冬越しに関しては土植えよりもハードルがグッと上がります。
水は空気よりも熱を伝えやすい
理科の授業を思い出してみてください。サウナ(空気)の中なら90度でも耐えられますが、90度の熱湯に入ったら大火傷しますよね。水は空気よりも熱伝導率が高く、温度変化をダイレクトに伝えます。
冬場のガラス容器内の水は、室温以上に冷え切ってしまいます。冷たい水に常に根が浸かっている状態は、サンスベリアにとって拷問に近いストレスなんです。
冬の水耕栽培を乗り切るテクニック
- 土に植え替える(ベスト):可能であれば、秋のうちに観葉植物用の土に植え替えてしまうのが一番安全です。土は断熱材の役割も果たしてくれます。
- 水を極限まで減らす:植え替えが面倒な場合は、容器の水を完全に抜いてしまいましょう。ハイドロボール(発泡煉石)がわずかに湿っている程度、あるいは完全に乾かしてしまっても、冬の間なら数週間は耐えられます。
- 置き場所を工夫する:ガラス容器は冷えやすいので、容器ごとタオルで巻いたり、段ボールに入れたりして保温性を高めるのも有効です。
ハイドロカルチャーで育てている場合、一度根腐れすると再生が難しいので、とにかく「水を入れすぎない」「冷やさない」を徹底してください。
サンスベリアの耐寒性が低いための不調と復活

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ここまで予防策をお話ししてきましたが、それでも生き物相手ですから、予期せぬトラブルは起こります。
ふと見ると「葉がシワシワ…」「なんか色が変?」といった異変に気づくことがあるでしょう。それが「様子を見ていいサイン」なのか、それとも「緊急事態」なのか、正しく見極めることが生死を分けます。
葉がシワシワになるのは正常な反応
冬に断水(水やりストップ)を続けていると、パンパンに張っていた葉に縦方向の深いシワが寄ってきたり、葉の厚みが薄くなってペラペラになったりすることがあります。初めてこれを見ると、「うわっ、枯れそう!水不足だ!」と慌てて水をあげたくなるのが人情というもの。
ですが、このシワは、正常な冬越しのプロセスであることが多いんです。
サンスベリアは、根から水が入ってこないと、葉の中に貯金しておいた水分を少しずつ切り崩して生命維持に使います。シワは「今、貯金を使って頑張って耐えていますよ」という合図。
室温が10度以下の寒い部屋であれば、そのシワシワの状態で春まで耐えさせます。ここで情に流されて水をやると、弱った根が水を吸えずに腐ってしまい、一発アウトになりかねません。
春になって気温が20度を超え、水やりを再開すれば、まるで魔法のようにまたふっくらとした葉に戻ります。ですので、寒い時期のシワは「よく頑張ってるね」と見守るのが正解です。
ただし、例外もあります。もし部屋が常に20度以上(Tシャツで過ごせるレベル)あるのにシワシワになっている場合は、単純な水切れの可能性が高いので、コップ1杯程度の水をあげて様子を見てください。
葉が丸まってしまう現象やシワの原因については、以下の記事でもさらに詳しく解説しています。 サンスベリアが丸まる原因と正しい対処法は?知るべき注意点解説
根腐れでブヨブヨに枯れる原因とは

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シワシワは「乾燥」のサインなのでまだマシですが、絶対に放置してはいけない危険なサインがあります。それは「葉が黄色や茶色に変色し、触るとブヨブヨと柔らかくなっている」状態です。さらには、株元からポロッと葉が抜けたり、倒れてきたりすることもあります。
これは「根腐れ(ねぐされ)」、または寒さによる細胞の壊死(凍傷)です。
なぜブヨブヨになるの?
原因の9割は、やはり「寒すぎる環境」での「水のやりすぎ」です。冷たい水に浸かり続けた根が窒息して腐り、腐敗菌が繁殖します。菌は根から茎、そして葉へと侵入し、植物の組織をドロドロに溶かしていきます。 土の匂いを嗅いでみてください。
もしドブのような腐敗臭や、ツンとする酸っぱい臭いがしたら、根腐れはかなり進行しています。一度ブヨブヨになって溶けてしまった細胞は、残念ながらどんな薬を使っても二度と元には戻りません。
枯れかけた株の緊急復活テクニック
もし根腐れや凍傷のサインを見つけたら、一刻も早い外科手術が必要です。「春まで様子を見よう」と放置すると、腐敗菌が健康な部分まで広がって、株全体が全滅してしまいます。
復活への緊急オペ手順(初期〜中期段階)
- 鉢から抜く:勇気を出して鉢から株を抜き、根についた土を優しく落とします。根の状態を確認しましょう。健康な根は白やオレンジ色ですが、腐った根は黒や茶色で、引っ張るとズルッと皮が剥けます。
- 悪い部分を徹底的に切除:ここが一番重要です。黒く変色した根、ブヨブヨになった葉の根元などを、清潔なハサミやカッターですべて切り落とします。「まだここは大丈夫かも?」と腐った部分を残すと、そこからまた腐ります。健康な硬い部分だけが残るように、思い切ってカットしてください。
- 乾燥させる:切った直後に植えてはいけません。切り口が湿っているとそこから菌が入ります。風通しの良い日陰で、切り口を数日間〜1週間しっかり乾燥させ、カサブタを作らせます。
- 仮植え・保管:新しい清潔な土(肥料分の入っていない赤玉土や観葉植物用の土)に植えます。ただし、冬は根が出にくいので、無理に植えずに新聞紙にくるんで、暖かい部屋の棚の上などで春まで「転がしておく」だけでもOKです。本格的な植え付けは、暖かくなった4月〜5月に行います。
植え替えの詳しい手順や、失敗しないための土選びについては、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。 サンスベリアの植え替え失敗のサインは?適切な深さと注意点について
腐敗した株は葉挿しで再生を目指す

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もし発見が遅れて、株の根元がグズグズに腐ってしまい、根っこを全く残せない状態だったとしても…まだ諦めないでください!サンスベリアは生命力の塊です。葉の上の方に、まだ緑色で硬い、元気な部分が残っていれば、「葉挿し(はざし)」という方法でクローンを作って復活させることができます。
葉挿しで命をつなぐ方法
葉挿しとは、切り取った葉の一部を土に挿して、そこから新しい根と芽を出させる繁殖方法です。
葉挿しの簡易手順
- 腐っていない健康な葉の部分を、10cm〜15cmくらいの長さでカットします。
- 重要:葉の「上」と「下」がわからなくならないように、マジックなどで印をつけておきましょう(逆さまに挿すと根が出ません)。
- 切り口を1週間ほど日陰で完全に乾燥させます。
- 乾いた土に、葉の下の方を挿します。
ただし、一つだけ注意点があります。冬場の葉挿しは温度管理が非常にシビアです。発根するには最低でも20度以上の温度が必要です。寒い部屋に置いておくと、根が出る前に葉っぱ自体が腐ってしまいます。ヒーターマットを使うか、常に暖房が効いているリビングの特等席で管理する必要があります。
また、ローレンティーのような「斑入り(ふいり)」品種を葉挿しすると、新しく出てくる芽からは斑(黄色い縁取り)が消えて、緑一色の先祖返りした姿になります。これは植物のキメラ構造という遺伝的な仕組み上避けられないことですが、形はサンスベリアそのものですし、緑一色の葉もワイルドで素敵ですよ。
葉挿しが腐ってしまう原因や、成功率を上げるコツについては、こちらの記事でさらに深掘りしています。 サンスベリアの葉挿しが腐る原因は?失敗しない増やし方と復活手順
サンスベリアの耐寒性を正しく知り越冬へ
サンスベリアの冬越しについて、耐寒性の限界や具体的な管理方法、そしてトラブル時の対処法まで長々とお話ししてきました。
たくさんの情報をお伝えしましたが、結局のところ一番大切なのは、「サンスベリアは寒さに弱いと認めること」、そして「冬は成長させようとせず、静かに休ませること」の2点に尽きます。
「水をあげないなんてかわいそう」と思うかもしれませんが、冷たい水で根を冷やすことの方がよほど植物にとっては過酷です。10度以下なら断水する。この勇気を持つだけで、冬枯れのリスクは劇的に減ります。もし葉にシワが寄っても、それは彼らが必死に冬を耐えている証。春に復活するための準備期間だと思って、温かく見守ってあげてください。
正しい知識を持って冬を乗り切れば、桜が咲く頃には、また力強い新芽が土から顔を出してくれるはずです。サンスベリアは適切な管理さえすれば、何十年も付き合える良きパートナーになります。ぜひ、今年の冬はメリハリのある管理で、サンスベリアとの生活を楽しんでくださいね。
サンスベリアの冬越しに関するよくある質問(Q&A)
記事の締めくくりとして、私がInstagramやブログのコメントでよくいただく「冬のサンスベリア管理」に関する質問に、Q&A形式でまとめてお答えします。細かい疑問を解消して、自信を持って冬を迎えましょう。
Q1. 部屋の暖房(エアコン)の風が直接当たる場所でも大丈夫ですか?
A. 絶対にNGです!:人間にとっては暖かい風でも、植物にとっては「極度の乾燥」を引き起こすドライヤーの熱風と同じです。葉の水分が一気に奪われてカラカラに干からびてしまいます。また、暖房を切った後の温度差も激しくなるため、エアコンの風が直接当たらない、少し離れた場所に置いてあげてください。
Q2. 床暖房の上にお鍋のように直接鉢を置いてもいいですか?
A. 避けたほうが無難です。:「根っこが温まって良さそう」と思いがちなのですが、床暖房は想像以上に高温になることがあります。鉢の中が蒸れて「根が煮える」ような状態になり、根腐れを一気に進行させるリスクがあります。床暖房を使う場合は、キャスター付きの台やスツールの上に置いて、熱源から離してあげましょう。
Q3. 冬の間、元気がないから肥料や活力剤をあげてもいいですか?
A. ストップ!冬の肥料は「毒」になります: 休眠して活動していない根っこは、肥料成分を吸収できません。土の中に肥料が残ると、塩分濃度が高まって根の水分を奪う「肥料焼け」を起こし、弱った株にトドメを刺してしまいます。肥料は、桜が散って新芽が動き出す5月頃まで我慢してください。(参考:マイナビ農業 「効果的な土壌消毒の方法とは?」)
Q4. 昼間だけベランダで日光浴させるのはアリですか?
A. リスクが高いのでおすすめしません。 良かれと思って外に出しても、出し忘れて夕方になってしまった時の冷え込みが致命的です。また、暖かい室内と寒い屋外を頻繁に行き来させること自体が、植物にとって大きなストレスになります。冬は「窓越しの光」で十分です。
【保存版】サンスベリア冬越しカレンダー
最後に、月ごとの管理のポイントを表にまとめました。このスケジュール感を頭に入れておけば、季節の変わり目も慌てずに済みますよ。
| 時期 | 状態 | 水やり頻度(目安) | 管理のポイント |
|---|---|---|---|
| 10月〜11月 (秋) | 成長鈍化 | 2〜3週間に1回 | 徐々に水やりの間隔を空け、冬支度を始めます。最低気温が15度を下回ったら室内に取り込みましょう。 |
| 12月〜2月 (厳冬期) | 休眠 | 断水(月0回) ※20度以上なら月1 | 基本は断水。シワが出ても気にしない。夜間の窓際から退避させ、防寒対策を徹底します。 |
| 3月 (早春) | 目覚め前 | まだ断水継続 | 日中は暖かくても夜は冷えるので油断大敵。水やりはまだ我慢です。 |
| 4月〜5月 (春) | 活動開始 | 月1〜2回 | 最低気温が15度を超えて安定したら、暖かい日の午前中に少量の水やりを再開。徐々に通常の量へ戻します。 |
いかがでしたでしょうか。
「サンスベリアの耐寒性」をテーマに、冬越しの極意をお伝えしてきました。記事の中でも何度もお伝えしましたが、最大のコツは「何もしない勇気」です。あれこれ手を出したくなる気持ちをグッと抑えて、春まで静かに見守る。
それが、私たち人間にできる最大の愛情表現であり、サンスベリアを長く美しく育てるための秘訣です。
この記事が、あなたのサンスベリアを冬の寒さから守るための「お守り」のような存在になれば嬉しいです。厳しい冬を一緒に乗り越えて、春には元気な新芽と再会しましょう!