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こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。
丈夫で育てやすい植物の代表格であるサンスベリアですが、ある日突然、葉が黄色くなったり、根元がぶよぶよになったりして焦った経験はありませんか?私自身も、過去に「良かれと思って」水をあげすぎてしまい、大切な株をダメにしてしまいそうになったことがあります。
毎日のように観察していたはずなのに、気づいたときには葉が倒れかけていて、本当にショックを受けたのを今でも覚えています。
実は、サンスベリアが枯れてしまう原因のほとんどが、この根腐れによるものなんです。でも、安心してください。完全に枯れてしまう前であれば、適切な処置をすることで復活できる可能性は十分にあります。
この記事では、根腐れの原因や見分け方、そして具体的な復活方法について、私の経験も交えながら詳しくお話ししていきます。植物の生命力を信じて、一緒に最善の手を尽くしましょう。
ポイント
- 根腐れの原因と、水不足との決定的な違いがわかります
- 現在の症状がどのくらい危険な状態なのかを判断できます
- 腐ってしまった根の処理や、植え替えの手順を学べます
- 二度と根腐れさせないための、正しい水やりと土選びがわかります
コンテンツ
サンスベリアが根腐れする原因と見分け方

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サンスベリアはアフリカやマダガスカルなどの乾燥地帯が原産で、乾燥には極めて強い反面、ジメジメした湿った環境が続くとすぐに根が呼吸できなくなってしまいます。
まずは、あなたのサンスベリアが本当に根腐れを起こしているのか、そのサインと原因をしっかり確認していきましょう。早期発見こそが、救出への近道です。
独特な臭いや根元のふにゃふにゃを確認

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根腐れが進行しているとき、最も分かりやすい、そして決定的なサインは「臭い」と「触感」に現れます。
これは、目で見るよりも先に異常を感知できる重要なポイントですので、ぜひ勇気を出して確認してみてください。植物が発する「助けて」という声なき声は、こうした五感を通じた違和感として現れることが多いのです。
鼻をつく異臭は危険信号
まず、鉢の土の表面や、鉢底の穴に顔を近づけて臭いを嗅いでみてください。もし、普段の土の匂い(雨上がりの森のような土の香り)ではなく、「生ゴミのような臭い」や「腐った玉ねぎのようなツンとする硫黄系の臭い」がしたら、それは土の中で根が腐敗菌に侵されている極めて危険な証拠です。
なぜこのような強烈な臭いがするのでしょうか。それは、土の中が水浸しになり酸素がなくなると、根の細胞が酸欠で「窒息」して壊死し、そこへ嫌気性細菌(酸素がない場所を好む菌)が爆発的に繁殖して、死んだ根のタンパク質を分解するからです。
この分解過程で硫化水素やアミン類といった揮発性のガスが発生し、あの独特な腐敗臭となります。この臭いがした時点で、残念ながら根の一部、あるいは大部分が機能を失い、ドロドロに溶けてしまっていると考えて間違いありません。土の表面に白いカビのようなものが生えている場合も、同様に土壌環境が悪化しているサインです。
指で感じる不気味な柔らかさ
次に、触診を行います。サンスベリアの葉の根元(土に埋まっている部分のすぐ上、地際の部分)を親指と人差し指で軽く押してみてください。
健康な状態のサンスベリアであれば、繊維がぎっしりと詰まったような、カチカチに硬い感触があるはずです。
しかし、もし水風船のようにブヨブヨとしていたり、指がズブズブと沈み込むような頼りない柔らかさを感じたりする場合は、事態は深刻です。これは、地下にある根や地下茎(リゾーム)の腐敗が、すでに地上の葉の付け根(ロゼットの中心部)まで進行してきていることを示しています。
この「ブヨブヨ」の中身は、細胞壁が壊れて溶け出した組織液や、細菌によって分解された植物の残骸です。ここまで進行すると、葉が自重を支えきれずにパタリと倒れてしまうこともあります。
「なんとなく元気がないな」と思って葉を触ったら、ポロリと抜けてしまった、というケースは、まさにこの段階です。根元が腐っている場合、その葉はもう水を吸い上げるパイプとしての機能を失っています。
葉のしわは水不足か根腐れか見分ける

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サンスベリアの葉に、縦方向の深い「シワ」が入っているのを見たことがありませんか?葉の表面が痩せて、まるで老婆の手のようにスジ張り、肋骨が浮き出るように見える状態です。実はこれ、「水不足」と「根腐れ」という、正反対の原因で現れる共通の症状なんです。
ここで多くの人が陥る最大の罠が、「葉にシワがある=水が足りていない」と短絡的に判断してしまうことです。
「可哀想に、喉が渇いているんだね」と水をたっぷりとあげてしまい、実は根腐れを起こしていた株にトドメを刺して枯らせてしまう...。これはサンスベリア栽培において最も多い失敗パターンと言っても過言ではありません。では、どうやってこの二つを見分ければ良いのでしょうか。
生理的乾燥と物理的乾燥の違い
なぜ根腐れでも水不足のようなシワができるのでしょうか。それは、根が腐ってしまうと、いくら土の中に水があっても、植物がそれを吸い上げることができなくなるからです。これを専門的には「生理的乾燥」と呼びます。
つまり、植物体としては「水が目の前にあるのに飲めない」という意味で、極度の脱水症状に陥っているのです。
一方、単なる水不足は「物理的乾燥」です。土に水がないから吸えない、という単純な理由です。この二つを見分けるポイントは、葉を見るのではなく、ズバリ「土の状態」と「鉢の重さ」を確認することです。
見分け方のチェックポイント
- 本当の水不足(乾燥)の場合:
土の表面だけでなく、割り箸などを刺して確認しても中までカラカラに乾いています。鉢を持ち上げると、驚くほど軽く感じます。この場合は、水をたっぷりとあげれば、数日で葉がパンパンに膨らみ、シワが伸びて復活します。
- 根腐れの場合:
土が湿っているのに、葉にシワがある状態です。指で土を触ると冷たく湿っており、鉢を持ちぐと、水分を含んでいてずっしりと重みを感じます。水があるのに吸えていない証拠なので、ここで水を足すのは絶対にNGです。
「土が濡れているのに葉がシワシワ」。この矛盾した状態こそが、根腐れを確定させる決定的な証拠です。この状態で水をやることは、溺れている人にさらに水を飲ませるようなもので、腐敗を加速させるだけです。
水不足と根腐れの違いについては、以下の記事でもさらに詳しく解説しているので、判断に迷ったらあわせて参考にしてみてください。
サンスベリアの水不足の症状と根腐れの違いを見極める!水やりや回復方法は
症状の進行度をステージ別に診断する
一口に「根腐れ」と言っても、初期段階なのか、末期的なのかによって対処法は全く異なります。
早期に発見できれば、植え替えなどの大掛かりな手術をしなくても、環境を変えるだけで治ることもあります。逆に、進行しているのに「もう少し様子を見よう」と放置してしまうと、あっという間に手遅れになります。
現在のサンスベリアがどの段階にあるのか、以下の詳細な表を使って冷静に診断してみてください。自身の株の状態を客観的に把握することが、治療の第一歩です。
| ステージ | 主な症状(土・根) | 葉の様子(地上部) | 危険度・対処 |
|---|---|---|---|
| ステージ1 (初期) | 水やり後、1週間経っても土が乾かない。 鉢底穴から湿気を感じる。 根はまだ白い部分が多い。 | 全体的に色艶が悪い。 成長期なのに新芽が出ない。 葉のハリが少しなくなる。 なんとなく元気がない。 | 低 環境改善のみで回復可能。 直ちに断水し、風を当てる。 |
| ステージ2 (中期) | 異臭(カビ臭・腐敗臭)がする。 土の表面に白いカビが生える。 コバエが周囲を飛んでいる。 根の一部が茶色く変色。 | 葉に縦ジワが寄り始める。 下葉が黄色く変色する。 触ると少し柔らかい。 葉先が枯れ込む。 | 中 腐敗部分の切除が必要。 緊急植え替えを実施。 |
| ステージ3 (後期) | 根が黒くヌルヌルに溶けている。 健全な白い根がほぼない。 地下茎まで黒変している。 | 葉の根元がブヨブヨになる。 葉が自重で倒れてくる。 全体が茶色く変色。 引っ張ると抜ける。 | 高 緊急外科手術。 助かる確率は五分五分。 健康な部位の救出。 |
| ステージ4 (末期) | 根系が完全に崩壊・消失。 株全体が土から抜ける。 異臭が強烈になる。 | 葉全体が溶けたように軟化。 完全に枯死。 ドロドロに液状化。 再生不能。 | 極高 根の再生は不可能。 生きている葉の一部を切り取り「葉挿し」のみ。 |
もし、あなたのサンスベリアが「ステージ3(後期)」以上に該当すると感じる場合は、もはや自然治癒は望めません。土を乾かすのを待っている間に腐敗菌が維管束を通じて全身に回ってしまいます。この後紹介する「外科的な処置(植え替え・切除)」を、今日にでも行う必要があります。
土が乾かないなどの初期症状を見逃さない
根腐れで植物を失わないために最も大切なこと。それは、手遅れになる前の「小さな違和感」に気づくことです。その最大のポイントは、「土の乾くスピード」の変化を観察することに尽きます。
「いつもより乾きが遅い」はSOS
通常、サンスベリアに適した環境(風通しが良く、適度な日当たりがある場所)であれば、たっぷりと水やりをしてから数日、長くても1週間以内には土の表面は白っぽく乾いてくるはずです。季節や天候にもよりますが、サンスベリアにとって居心地の良い土壌環境とは、ウェットとドライのサイクルが早い環境です。
しかし、もし1週間以上経っても土が黒っぽくジメジメしていたり、鉢を持ち上げた時にズッシリとした重さが全く変わらなかったりする場合は要注意です。これは、単に「最近雨が多いから」という理由だけではありません。
「根がダメージを受けて吸水活動を停止している(根詰まりや根腐れの初期)」か、あるいは「土の中で土壌の団粒構造が崩れ、微塵(みじん)が詰まって泥のように固まり、排水性が極端に悪化している」というサインだからです。
呼吸困難の始まり
植物の根も、私たちと同じように酸素を吸って呼吸しています(根呼吸)。土の粒と粒の間にある隙間(気相)にある酸素を取り込んでいるのです。しかし、水やり後に土が乾かないということは、その隙間がずっと水で埋まっている状態を意味します。
つまり、根にとってはずっと水の中に顔を沈められているのと同じで、呼吸ができません。「なんか、いつもより乾きが遅いな?」「いつまでも土が黒いな」と感じたら、それは根腐れの第一歩、ステージ1の入り口です。
この時点で水やりを完全にストップし、サーキュレーターで風を送ったり、割り箸で土に穴を開けて通気を確保したりするだけで、多くのサンスベリアは深刻なダメージを受けることなく持ち直します。毎日の観察で、葉だけでなく「土」を見てあげることが、愛株を守る秘訣です。
冬の水のやりすぎは枯れる最大の要因
サンスベリアを枯らしてしまう時期のNo.1は、間違いなく「冬」です。夏の間はあんなに元気だったのに、冬越しに失敗して春にブヨブヨになって発見される...という悲しい事例があとを絶ちません。なぜ冬に枯れやすいのでしょうか。
休眠期の生理メカニズム
サンスベリアは熱帯性の植物であり、日本の冬の寒さは大の苦手です。気温が10℃を下回ると、彼らは生命維持のために「休眠状態」に入ります。動物の冬眠と同じで、成長をピタリと止めて、エネルギーの消費を最小限に抑えるのです。この時、根の吸水活動もほぼ停止します。
この休眠期間中、サンスベリアは根から水をほとんど吸い上げません。それなのに、私たち人間が「暖房で乾燥しているから」「なんだか葉が痩せて元気がないから」と良かれと思って水を与えてしまうとどうなるでしょうか。
吸われない水は、冷たい土の中にいつまでも残り続けます。冬の夜間、室温が下がると鉢の中の水も冷え込み、根を冷蔵庫の水の中に浸けているような状態にします。これにより、根の細胞が低温障害を起こして破壊され、そこから一気に腐敗が進行するのです。これを「低温過湿」と呼びます。
冬の鉄則:勇気ある「断水」
12月から2月の寒い時期(最低気温が10℃を下回る環境)では、原則として「断水(水やりを一切しない)」が正解です。
「一滴もあげなくて枯れないの?」と不安になるかもしれませんが、サンスベリアはあの分厚い葉の中にたっぷりと水分を蓄えているので、数ヶ月水がなくても全く問題ありません。むしろ、冬に水を与えることの方が、枯らすリスクを何倍にも高めてしまうのです。
※ただし、北海道の断熱性の高い住宅や、24時間暖房がついているオフィスなど、室内が常に20℃以上保たれている環境であれば、完全に断水せず、月に1回程度軽く水を与えても大丈夫です。
サンスベリアの根腐れからの復活と対処法

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「根腐れしてしまったかも...」と落ち込む必要はありません。サンスベリアは非常に生命力が強い植物なので、腐った部分さえ適切に取り除いてあげれば、また新しい根を出して元気に復活してくれます。ここからは、症状の重さに応じた具体的な治療手順を解説します。
軽度なら乾燥させるだけで対処可能
先ほどのステージ診断で「初期(ステージ1)」、つまり「土が乾かない」「少し元気がないけれど、異臭はなく根元も硬い」という状態であれば、植物に負担のかかる「植え替え」をする必要はありません。環境改善という「内科的治療」で回復を目指します。
即時断水と強制乾燥
まず行うべきは、直ちに水やりを中止することです。「様子を見るために少し水をやる」のは厳禁です。そして、鉢を今ある場所から、家の中で最も風通しの良い場所に移動させます。
サーキュレーターや扇風機があれば活用しましょう。ただし、風を植物に直接当て続けると乾燥しすぎて弱ってしまうことがあるので、鉢の周囲の空気が循環するように、壁や天井に向けて風を送るのがポイントです。
また、鉢の下にスノコやレンガを置いて鉢底を浮かせ、下からの通気性を確保するのも非常に効果的です。鉢カバーに入れている場合は、必ずカバーから出してください。
温度の確保
もし季節が冬であれば、できるだけ暖かい場所(ただし、エアコンの風が直撃しない場所)に移動させます。寒さは弱った株にとって致命傷になりかねません。代謝を少しでも維持させるために、昼間は窓辺の日光に当て(夜は冷気から守るために窓から離す)、温度を確保してあげましょう。
この状態で2週間ほど様子を見ます。土が完全に乾き、葉のハリが戻ってくるようなら危機は脱しています。その後は水やりの頻度を大幅に減らし、乾かし気味に管理してください。
腐敗部分を切除して植え替えを行う手順

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「異臭がする」「根元が柔らかい」「葉が変色している」など、ステージ2(中期)〜ステージ3(後期)の場合は、悠長に乾かしている時間はありません。腐敗菌が全身に回る前に、腐った部分を物理的に取り除く「外科手術(緊急植え替え)」が必要です。少し勇気がいりますが、以下の手順で行えば大丈夫です。
手順1:株を抜いて洗浄する
まず、新聞紙などを広げ、鉢からサンスベリアを慎重に引き抜きます。根が健康なら土がガッチリと付いてきますが、根腐れしている場合は根が切れてしまっているため、驚くほど簡単にスポッと抜けることが多いはずです。
根についている古い土には、腐敗菌が大量に増殖しています。これを新しい鉢に持ち込むと再発の原因になるので、お風呂場や屋外の水道で、根についた土をシャワーの水流で優しく、かつ徹底的に洗い流してください。
手順2:腐った部分の切除(デブリードマン)
洗い流した根をよく観察します。健康な根は白やオレンジ色で硬さがありますが、腐った根は黒く変色し、摘むとヌルヌルと崩れます。中身がスカスカになっている場合もあります。
ここで重要なのが、「腐った部分を一切残さないこと」です。清潔なハサミ(使う前にアルコール消毒か、ライターの火で炙って消毒してください)を使い、黒くなっている根や、ブヨブヨになった地下茎を躊躇なく切り落とします。
「腐っている境界線ギリギリ」ではなく、健康な白い組織を数ミリ含めるように、大きめにカットするのが成功のコツです。癌の手術と同じで、悪い部分を少しでも残すと、新しい土の中でそこから再び腐敗が始まってしまいます。地下茎の一部が腐っている場合は、ナイフでその部分をえぐり取るように削ぎ落とします。
手順3:乾燥とカルス形成
切ったばかりの切り口は湿っており、人間で言えば生傷の状態です。そのまま湿った土に戻すと、切り口から雑菌が侵入してしまいます。
切り口を保護するために、トップジンMペーストなどの癒合剤を塗るのがベストですが、それがない場合は、風通しの良い日陰に「裸のまま」転がしておき、1日〜数日間乾燥させます。
切り口がコルクのように乾いて固まる(カルス形成)のを待ってから植え付けるのが、プロの再生術です。この期間、水を与えなくても枯れることはないので安心してください。
手順4:新しい土への植え付け
切り口が乾いたら、一回り小さな鉢に、新しい清潔な土を使って植え付けます。
根のボリュームが減っているのに大きな鉢を使うと、土が多すぎてまた過湿になります。植え付け後はすぐに水を与えず、1週間〜10日程度空けてから、コップ半分程度の少量の水を与えて発根を促します。最初はぐらつきますが、支柱などで支えてあげてください。
植え替えの詳しい手順や、鉢のサイズの選び方については、こちらの記事も参考にしてみてください。
サンスベリアの植え替え失敗のサインは?適切な深さと注意点について
水はけの良い土を選んで再発を防ぐ
無事に手術が終わっても、以前と同じ土を使っていては、また同じ悲劇を繰り返してしまいます。復活後のサンスベリアにとって、命綱となるのが「土の選び方」です。根腐れを起こした原因の多くは、水やりの頻度だけでなく、使用している土の「保水性が高すぎること」にあります。
サンスベリアが好む土の条件
サンスベリアに必要なのは、水を与えた瞬間に鉢底からザッと水が流れ出るほどの「圧倒的な排水性」と、土の粒の間に新鮮な空気が通る「通気性」です。
一般的に売られている「観葉植物の土(汎用)」は、ポトスやモンステラなど多くの植物に合うように作られていますが、乾燥を好むサンスベリアにとっては少し水持ちが良すぎる(乾きにくい)場合があります。また、庭の土や黒土は粘土質で固まりやすく、呼吸ができなくなるので絶対に使用してはいけません。
おすすめの土と配合レシピ
最も失敗が少ないのは、ホームセンターなどで売られている「サンスベリア専用の土」や「多肉植物・サボテンの土」を使用することです。これらは最初から排水性を最優先に設計されており、粒状の土が主体になっているため、根腐れリスクを大幅に下げることができます。
自分でブレンドする場合の黄金比
もし自分で土を配合するなら、以下のレシピがおすすめです。
- 硬質赤玉土(小粒):50%
- 軽石(小粒)または日向土:30%
- 腐葉土(完熟のもの):20%
- (オプション)くん炭:5%程度(根腐れ防止・消臭効果)
- (オプション)ゼオライト:少量(根腐れ防止剤として)
復活直後の株には、肥料分はほとんどなくて構いません。まずは根を張らせることが最優先なので、肥料よりも「水はけ」重視のサラサラした土を目指しましょう。
根がない場合は葉挿しで再生させる

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もし、株を鉢から抜いて洗ってみたら、根が全て溶けて無くなっていたり、地下茎そのものがドロドロに腐敗していたりした場合...。「もうダメか」と諦めるのはまだ早いです。サンスベリアには、葉っぱ一枚からでも個体を再生させる驚異的な能力があります。
最後の切り札「葉挿し」
株元が腐っていても、葉の上の方がまだ緑色で硬く、生気があるなら、その部分を切り取って「葉挿し(はざし)」を行いましょう。これは、いわば植物のクローンを作る方法です。
葉挿しの手順
- 葉を切り取る:腐敗していない健康な葉を選び、清潔なハサミで切り取ります。1枚の長い葉を、10cm〜15cm程度の間隔でぶつ切りにしてもOKです。
- 上下を記録する:ここが最重要ポイントです。植物には「極性(きょくせい)」があり、本来の上側から芽が、下側から根が出ます。逆さまに土に挿しても発根しません。マジックで印をつけるか、下側をV字にカットするなどして、上下がわからなくならないようにします。
- 乾燥させる:切り口を日陰で数日間〜1週間ほどしっかり乾燥させます。切り口が湿ったまま挿すと、そこから腐ります。
- 土に挿す:肥料分のない清潔な土(赤玉土の小粒やバーミキュライト)に、葉の下側を3〜5cmほど挿します。
- 待つ:直射日光の当たらない明るい場所に置き、土が乾いたら水を与えます。
早ければ1ヶ月、遅ければ3ヶ月以上かかりますが、切り口から新しい根と、小さな子株(芽)が顔を出します。時間はかかりますが、生命の神秘を感じられる感動的なプロセスです。
斑入り品種の注意点
ただし、ローレンチー(トラノオ)のような「斑入り(葉の縁が黄色い)」品種を葉挿しすると、新しく出てくる子株は斑が消えて、緑一色の葉(先祖返り)が生えてくることが一般的です。
これは遺伝子の構造上の理由(キメラの消失)で避けられません。以前の姿とは変わってしまいますが、愛株の命を繋ぐための最後の手段として覚えておいてください。
適切な水やり頻度で予防を徹底する
無事に復活したら、二度と根腐れさせないための管理に切り替えましょう。サンスベリアの水やりで最も大切なのは、日本の四季に合わせた「メリハリ」です。一年中同じペースで水をやってはいけません。
季節別・水やりカレンダー
- 春〜秋(5月〜10月頃):成長期
気温が上がり、サンスベリアが活発に育つ時期です。土の表面だけでなく、鉢の中まで完全に乾いてから、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。
「土が乾いたらすぐ」ではなく、「乾いてからさらに2〜3日待ってから」与えるくらいが丁度よいです。目安としては1〜2週間に1回程度ですが、日数で決めず、必ず土の乾き具合(指を土に挿してみる、鉢を持ち上げるなど)を確認してください。受け皿に溜まった水は必ず捨てましょう。これを放置すると、鉢底が常に水に浸かり、根腐れの原因になります。
- 冬(11月〜4月頃):休眠期
先ほどもお伝えした通り、基本的には断水します。もし室内が常に暖かく、サンスベリアが少しずつ成長しているようであれば、1ヶ月に1回、暖かい日の午前中に、コップ半分程度のごく少量の水を与える程度に留めます。
冬の間、葉にシワが寄ることがありますが、春になって水を吸えば元に戻ります。慌てて水をやらないことが、冬越しの成功率をグッと高めます。
基本的な育て方や置き場所、100均で購入したサンスベリアのケア方法については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
100均サンスベリアの育て方と初心者の注意点!長持ちさせるコツも
サンスベリアを根腐れから守る育て方
ここまで、サンスベリアの根腐れ対策について長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。最後に、私からお伝えしたいサンスベリア栽培の極意は、「構いすぎないこと」に尽きます。
私たちはつい、愛するペットのように「毎日お水をあげないと可哀想」「お腹が空いているんじゃないか」と思って肥料や水を与えてしまいがちです。しかし、乾燥地帯で進化したサンスベリアにとっては、カラカラに乾いている時間こそが、故郷を思い出すリラックスできる時間でもあります。
水をやらない勇気、冬は存在を忘れるくらいの距離感が、実は一番の愛情なのかもしれません。この「引き算の管理」さえマスターすれば、サンスベリアは驚くほど長く、あなたの部屋を彩り、空気を浄化し続けてくれます。
もし根腐れしてしまっても、早期発見と適切な処置で、サンスベリアは必ず応えてくれます。今回の経験を糧に、よりサンスベリアにとって居心地の良い環境を作ってあげてくださいね。あなたのサンスベリアが、再び元気に復活することを心から願っています。
※本記事の情報は一般的な園芸学の知識および個人の経験に基づいています。植物の状態や栽培環境により最適な対処は異なるため、最終的な判断は専門家にご相談されることをおすすめします。