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こんにちは。観葉スタイル、運営者の「まさび」です。
リビングやオフィスの隅で、シュッと背筋を伸ばして佇むサンスベリア。その力強い姿と、空気清浄能力の高さから「天然の空気清浄機」とも呼ばれ、私たちの生活に潤いを与えてくれる頼もしい相棒ですよね。
私自身も、自宅のベランダやリビングで大小様々なサンスベリアを育てていますが、その強靭な生命力には日々驚かされるばかりです。
しかし、そんな丈夫なサンスベリアでも、時としてSOSのサインを出すことがあります。
ふと愛株を眺めたとき、「あれ?なんだか色が薄い気がする…」「以前のような濃い緑色じゃない…」と不安に感じたことはありませんか?
「もしかして枯れ始めているの?」「病気かな?」と心配になりますよね。鮮やかな緑色が魅力なだけに、色が抜けて白っぽくなったり、黄色く変色したりすると、どう対処していいか分からず焦ってしまうものです。
実はその色の変化、植物からの「環境が合っていないよ!」「根っこが苦しいよ!」という無言の叫びかもしれません。
サンスベリアの色が薄くなる原因には、根腐れや水やりの失敗、日照不足による徒長、さらには栄養バランスの乱れなど、いくつかの明確なパターンが存在します。
そして重要なのは、原因によって対処法が全く異なるということです。良かれと思って水をあげたら、実はそれが追い打ちをかけてしまった…なんていう悲しい事態は避けたいですよね。
この記事では、サンスベリアの色が薄いと感じた時にチェックすべきポイントと、症状別の具体的な復活方法について、私自身の栽培経験と数々の失敗談(苦笑)を交えながら、徹底的に詳しく解説していきます。
初心者の方でも迷わず対処できるよう、診断フローから具体的な処置の手順まで網羅しましたので、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事を読むことで理解できること
ポイント
- 色が薄くなる主な原因と、それぞれの症状の見分け方
- 「根腐れ」と「水不足」という真逆の原因を判別する決定的なポイント
- 枯れる前に実践したい、症状別の具体的な復活手順と外科的処置
- 美しい葉色を長く保つための、プロも実践する日常管理のコツ
コンテンツ
サンスベリアの色が薄い原因を徹底診断

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「色が薄い」と一口に言っても、その現れ方は千差万別です。全体的にぼんやりと白っぽくなることもあれば、葉の縁から黄色くなったり、あるいは新芽だけが薄かったりと、症状は様々です。そして、その症状の裏には必ず「原因」があります。
まずは、焦って水や肥料を与える前に、今のサンスベリアがどのような状態なのか、探偵になった気分で原因を正しく診断することから始めましょう。ここでの診断が、その後の復活劇の成否を分けると言っても過言ではありません。
根腐れにより変色していないか確認

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サンスベリアの色が薄くなる原因として、最も頻度が高く、かつ植物にとって致命的になりやすいのが根腐れです。「サンスベリアは枯らす方が難しい」なんて言われることもありますが、その数少ない枯れる原因のトップが、この根腐れなんですね。
なぜ根腐れで色が薄くなるのか?
サンスベリアは乾燥したアフリカや南アジアが原産地で、乾燥には驚くほど強い反面、土が常に湿っているジメジメした環境にはめっぽう弱い植物です。
土の中が常に水で満たされていると、根っこは呼吸ができなくなってしまいます。植物の根も私たちと同じように酸素を必要としているのですが、水浸しの状態では酸素欠乏(酸欠)に陥ります。酸欠状態が続くと根の細胞が壊死し、そこから腐敗菌が入り込んで根が腐っていきます。これが根腐れの正体です。
根が腐ると、当然ながら水分や養分を吸い上げるポンプの機能が停止します。土にはたっぷり水があるのに、植物体は水を吸えない「生理的な干ばつ状態」になるわけです。その結果、葉に水分やミネラルが届かなくなり、光合成機能が低下して、葉の色ツヤが悪くなり、全体的にくすんだ薄い色に変色していくのです。
見逃してはいけない危険なサイン
もし、最近水をしっかりあげているのに葉に元気がなかったり、色が冴えないなと感じたりしたら、以下のチェックポイントを確認してみてください。
根腐れ診断チェックリスト
- 株元の感触: 色が薄くなると同時に、株元(土から出ている根元の部分)を指でつまんでみてください。ここがブヨブヨと柔らかくなっている、あるいはヌルヌルしている場合は、根腐れが茎の内部まで進行している極めて危険な状態です。
- 土の匂い: 鉢に鼻を近づけて、土の匂いを嗅いでみてください。雨上がりの森のような土の匂いではなく、ドブのような、あるいは腐った玉ねぎのような嫌な腐敗臭がしたら、土の中で根が腐っています。
- 葉の状態: 葉が根元からパタリと倒れる、引っ張ると抵抗なくスッと抜ける、葉の一部が黒く変色して溶けたようになっている、といった症状も根腐れ特有のものです。
「土が乾いていないのに、毎日少しずつ水をあげていた」「受け皿に溜まった水を捨てずに放置していた」といった心当たりがある場合は、ほぼ間違いなく根腐れが原因でしょう。
この場合、ただ水を控えるだけでは回復しないことが多く、腐った部分を取り除く外科的な処置が必要になります。様子見をしている間に菌が全身に回ってしまうので、早急な対応が求められます。
詳しくは、サンスベリアが丸まる原因と根腐れのサインについての記事でも、写真付きで詳しく解説していますので、あわせて確認してみてください。
水やり不足で葉がシワシワになる

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根腐れとは対照的に、極度の水不足によってもサンスベリアの色は薄くなります。「乾燥に強いから」と安心しすぎて、数ヶ月も水を忘れていたり、夏場の暑い時期に水やりが少なすぎたりすると発生します。
細胞の水分が抜けて光の反射が変わる
サンスベリアの肉厚な葉は、厳しい乾燥に耐えるための貯水タンクの役割を果たしています。しかし、あまりにも長い期間水やりを忘れていると、さすがにタンクの貯えが尽きてしまいます。
植物の細胞は、水分を含んでパンパンに膨らむ力(膨圧)によって形を保っています。水分が抜けていくと、この膨圧が下がり、葉の厚みがなくなってペラペラになります。さらに進行すると、葉の表面に縦方向の細かいシワ(皺)が寄り、全体的に収縮します。
こうなると、葉の表面での光の反射具合が変わるためか、あるいは葉緑体が凝縮される影響か、全体的に色が薄く、白っぽくカサカサしたような質感に見えることがあります。また、生命維持のために古い葉(外側の葉)から水分を回収し始めるため、下葉から枯れ込んで色が茶色くなることもあります。
根腐れとの決定的な違いは「硬さ」
水不足で色が薄くなっている場合と、根腐れの場合、見た目は似ていても対処法は真逆です。間違えて根腐れの株に水をあげたらトドメを刺してしまいますし、水不足の株を乾燥させ続けたら枯死してしまいます。
この両者を見分ける最大のポイントは、「株元の硬さ」です。
診断のポイント
水不足の場合は、葉はシワシワになっていても、株元(根元)はしっかり硬いままであることがほとんどです。根はまだ生きていて、水を必死に求めている状態だからです。
株元が硬く、土がカラカラに乾いているなら、勇気を出して水をたっぷりと与えてみてください。早ければ翌日、遅くとも数日以内には、細胞が再び水分を吸って膨らみ、シワが伸びてパンとした濃い緑色に戻るはずです。この「復活」の早さも、サンスベリアの生命力の凄さですね。
日光不足で徒長して色が抜ける
室内で観葉植物として育てている場合、意外と多いのが日光不足による変色です。サンスベリアは「耐陰性(暗い場所でも耐える能力)」がある植物として紹介されることが多いですが、それは「暗い場所でもすぐに枯れない」という意味であって、「暗い場所が好き」というわけではありません。
本来は、アフリカの強い日差しを浴びて育つ、日光が大好きな植物なのです。
光を求めて彷徨う「徒長」という現象
光が足りない場所(例えば、窓のないトイレや、部屋の隅の暗がりなど)に長期間置かれると、サンスベリアは「もっと光を浴びなきゃ!」と生存本能を働かせます。そして、わずかな光を求めて、茎や葉を上へ上へと無理やり伸ばそうとします。
これを園芸用語で「徒長(とちょう)」と呼びます。健康的な成長とは異なり、ヒョロヒョロと頼りなく細長く伸びてしまうのが特徴です。
なぜ徒長すると色が薄くなるのか?
徒長した葉は、急いで体を伸ばすことにエネルギーを使うため、細胞壁が薄く、組織の密度がスカスカになります。また、光合成が十分にできない環境では、植物はエネルギーの浪費を防ぐために、光合成を行う「葉緑素(クロロフィル)」の生産を抑制してしまいます。
葉の緑色は葉緑素の色そのものですから、葉緑素が作られない徒長した葉は、必然的に色が薄くなります。薄い黄緑色や、白っぽく透けたような色になり、サンスベリア特有の美しい横縞模様(タイガー柄)もぼやけて不鮮明になってしまうのです。
日光不足(徒長)の特徴
- 形状: 葉が不自然に細長く伸び、厚みがない。自重を支えきれずにダランと垂れ下がったり、折れ曲がったりする。
- 色: 全体的に色が淡く、健康的で濃い緑色ではない。模様のコントラストがはっきりしない。
- 新芽: 新しく出てくる芽がいつまでも細く、色が濃くならない。
残念ながら、一度徒長して細長く伸びてしまった部分は、後から日光に当てても太くなったり濃い色に戻ったりすることはありません。しかし、環境を改善することで、これから出てくる新芽を健康に育てることは可能です。
サンスベリアが大きくならない時の改善策の記事では、光合成と成長の関係、そして日光の重要性についても詳しく触れていますので、置き場所に迷っている方は参考にしてください。
直射日光による葉焼けの症状
光不足も問題ですが、その逆、「光が強すぎる」のもまた、サンスベリアの葉色を薄くする大きな原因となります。特に注意が必要なのが、葉焼け(日焼け)です。
植物にとっての「火傷」
「サンスベリアは日光が好きって言ったじゃないか!」と思われるかもしれませんが、問題なのは「急激な環境変化」です。
ずっと室内の柔らかい光や蛍光灯の下で育てていた「もやしっ子」のようなサンスベリアを、良かれと思って突然真夏の炎天下のベランダに出したり、西日がガンガン当たる窓辺に移動させたりするとどうなるでしょうか?
植物は強い光に対応するために、日焼け止めのような成分を体内で生成して身を守るのですが、急な変化には対応が間に合いません。その結果、過剰な光エネルギーによって活性酸素が発生し、葉の細胞や葉緑素が破壊されてしまいます。これが葉焼けです。
葉焼けの具体的な症状と不可逆性
葉焼けを起こしたサンスベリアは、光が強く当たっていた部分だけが境界明瞭に変色します。
- 初期: 色が抜けて、白っぽく漂白されたような色になる。
- 重度: 茶色く焦げたようになり、組織が死んでカサカサに乾燥する。
これは人間でいう「重度の火傷」と同じ状態で、細胞が死滅してしまっているため、残念ながら一度葉焼けして変色した部分は、二度と元の緑色には戻りません。
特に、春先から夏にかけての日差しは想像以上に強力です。「色が薄いから日光浴させよう!」という親心がいきなりベランダに出す行為は、植物にとっては拷問になりかねません。
屋外に出す場合は、まずは日陰からスタートし、数週間かけて徐々に明るい場所へと慣らしていく「光順化(ひかりじゅんか)」というステップが不可欠です。
肥料不足や栄養バランスの乱れ
水やりも適切、日当たりも問題ない。それなのに、なんとなく葉の色が薄い…。そんな時に疑うべきなのが、土壌環境、特に栄養不足(肥料切れ)です。
植物が健康な緑色を保つためには、水と光だけでなく、土からの栄養素が必要です。購入してから2年も3年も植え替えをせずに放置していると、鉢の中が根でパンパンになる「根詰まり」を起こすだけでなく、土の中の栄養分が完全に枯渇してしまいます。
緑色を作る素が足りていない?
植物の葉色に深く関わっている栄養素は、主に以下の2つです。
| 要素 | 役割と欠乏時の症状 |
|---|---|
| 窒素(N) | 植物の体を大きくし、葉色を濃くする「葉肥(はごえ)」と呼ばれる成分。不足すると、植物全体の生育が悪くなり、古い葉から順に色が薄く(淡緑色〜黄色)なります。 |
| マグネシウム(Mg) | 光合成を行う葉緑素(クロロフィル)の中心となる成分。不足すると、葉脈の緑色は残るものの、葉脈と葉脈の間が黄色くなる「葉脈間クロロシス」という特有の虎狩り模様のような変色が起こります。 |
サンスベリアは少ない栄養でも育つ省エネ植物ですが、さすがに何年も栄養補給がないとガス欠を起こします。特に、根詰まりを起こしていると、新しい栄養を吸収する根毛が発達できず、肥料を与えても吸えない状態になっていることが多いです。
ただし、ここで注意が必要なのが、「色が薄い=肥料不足」と早合点して、弱っている株に濃い液体肥料や大量の固形肥料を与えてしまうことです。根が弱っている時に高濃度の肥料を与えると、浸透圧の作用で逆に根から水分が奪われる「肥料焼け」を起こし、トドメを刺してしまいかねません。
肥料はあくまで「健康な株の成長を助けるサプリメント」であり、弱った株を治す薬ではないことを覚えておいてください。
色が薄いサンスベリアの復活方法と対策

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原因がある程度特定できたら、いよいよ治療のフェーズです。植物は口をきけませんが、適切な処置をしてあげれば、驚くべき回復力を見せてくれることがあります。ここでは、症状や原因に合わせた具体的な復活プログラムを解説します。
枯れる前に適切な土へ交換する
もし、診断の結果「根詰まり」や「土の劣化(水はけが悪い)」「長期間の肥料不足」が原因であるなら、土をリセットする「植え替え」が最も効果的な解決策です。
なぜ土を交換する必要があるのか?
植物を育てていると、土は徐々に劣化していきます。最初はふかふかだった土も、水やりのたびに微細な粒子が崩れ、粘土のように固まってしまいます。これを「団粒構造の崩壊」と言います。
固まった土の中では、水はけが悪くなるだけでなく、新鮮な空気が通り抜けられません。サンスベリアの根は酸素を大量に必要とするため、この息苦しい環境がストレスとなり、葉の色を悪くさせているのです。新しい土への交換は、植物にとって「深呼吸できる環境」を取り戻す作業と言えます。
サンスベリアが喜ぶ「土のレシピ」
サンスベリアにとって理想的な土は、「水はけが良く、すぐに乾く土」です。保水性が高すぎる土(一般的な花と野菜の土など)単体では、根腐れのリスクが高まります。
初心者の方におすすめなのは、市販されている「サンスベリアの土」や「多肉植物・サボテンの土」を使うことです。これらは最初から排水性を重視して配合されているため、失敗が少ないです。
もし自分でブレンドする場合は、以下のような配合がおすすめです。
- 赤玉土(小粒):5〜6割
- 腐葉土(完熟):2〜3割
- 軽石(日向土など):1〜2割
この配合は、水を与えるとザーッとすぐに鉢底から流れ出るくらいの排水性を持っています。これにより、鉢の中の空気が水やりごとに入れ替わり、根が健康に育ち、結果として葉の色も濃く鮮やかになります。
ブヨブヨなら植え替えで処置

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診断の段階で「株元がブヨブヨしている(根腐れ)」と判断した場合は、悠長に構えている時間はありません。緊急の外科手術が必要です。根腐れは「癌」のようなもので、腐った部分を完全に取り除かない限り、健康な部分へ浸食し続けます。
復活のための外科手術・完全ガイド
以下の手順で、腐敗部分の切除と再生を行います。勇気がいりますが、思い切りが肝心です。
根腐れからの救済ステップ
- 抜去と洗浄: 鉢から株を優しく抜き、根についた古い土をシャワーなどで全て洗い流します。ここで根の状態を露わにします。
- 患部の特定: 根を確認し、黒く変色している部分、茶色くドロドロに溶けている部分、触るとボロボロと崩れる部分を探します。健康な根は白〜オレンジ色で、張りがあります。
- 切除(デブリードマン): 清潔なハサミやカッター(ライターの火やアルコールで消毒済み)を使い、腐っている部分を全て切り落とします。「これくらい残してもいいかな?」という迷いは禁物です。健康な白い断面が見えるまで、正常な組織も含めて大きめにカットしてください。
- 乾燥(カルス形成): ここが最重要ポイントです。切った直後に土に植えてはいけません。切り口から菌が入るのを防ぐため、風通しの良い日陰に置き、3日〜1週間ほど乾燥させます。切り口がコルク状に乾いて硬くなる(カルス形成)のを待ちます。サンスベリアは生命力が強いので、抜きっぱなしで1週間放置しても枯れません。
- 植え付け: 切り口が完全に乾いたら、新しい清潔な乾いた土に植え付けます。この時、根が減ってしまった分、鉢のサイズを小さくする(ダウンサイジング)のがコツです。土の量が多すぎると乾きにくくなり、根腐れが再発しやすくなるからです。
- 養生: 植え付け直後は水をやりません。発根するまでは水を吸えないからです。2週間〜1ヶ月ほど待ち、少しずつ水やりを再開します。
この手順を踏めば、株元まで腐っていない限り、多くのサンスベリアは復活します。植え替えの詳しい手順や失敗しないコツについては、サンスベリアの植え替え失敗のサインと手順の記事で、さらに詳しく解説しています。
斑が消える先祖返りの可能性
これは病気や管理不全ではありませんが、サンスベリア特有の興味深い生理現象として知っておきたいのが「先祖返り」です。
サンスベリア・ローレンチー(別名:トラノオ)など、葉の縁に美しい黄色い斑(ふ)が入る品種は、園芸的に価値を高めるために選抜された「キメラ植物」であることが多いです。異なる遺伝情報を持つ細胞が混ざり合って、あの模様を作り出しています。
葉挿しをすると緑色に戻る?
もし、あなたが「色が薄いから、葉挿しをして新しい株を作ろう」と考え、斑入りの葉を切り取って土に挿したとします。数ヶ月後、そこから可愛い子株が出てきますが、驚くことにその子株には黄色い縁取りがありません。全体が緑色で、横縞模様だけのシンプルな姿になっているはずです。
これは、葉挿し(不定芽形成)の過程で、斑入りの不安定な遺伝形質がリセットされ、植物としてより生存に有利な(葉緑素をたくさん持つ)緑色の細胞だけで体が作られるために起こります。これを「先祖返り」と呼びます。
この緑色の株は、斑入り品種に比べて色が薄く見えたり、模様が地味に見えたりするため、「色が変だ」と感じるかもしれませんが、植物としては非常に健全で、むしろ斑入りよりも丈夫なくらいです。
もし、黄色い斑入りのまま増やしたいのであれば、葉挿しではなく、地下茎を切り分けて増やす「株分け」を行う必要があります。株分けであれば、親の遺伝形質をそのまま受け継ぐ(クローン)ため、色や模様が変わることはありません。
新芽の色が薄いのは正常な成長
毎日観察していると、株元からタケノコのようにニョキッと顔を出したばかりの新芽(子株)の色が気にあることがあるかもしれません。「親株はあんなに濃い緑色なのに、この子はどうしてこんなに白っぽいの?」「栄養不足?」と不安になる方も多いです。
赤ちゃんの肌と同じでデリケート
結論から言うと、これは全く心配いりません。新芽の色が薄いのは、正常な成長過程です。
生まれたばかりの新芽は、まだ組織が柔らかく、水分を多く含んでいます。そして何より、光合成を行うための葉緑素がまだ十分に蓄積されていません。人間の赤ちゃんが皮膚が薄くて赤っぽく見えるのと同じで、植物の赤ちゃんも色が淡いのです。
この時期の葉は非常にデリケートです。「色が薄いから」といって肥料を与えたり、強い直射日光に当てたりするのは逆効果です。親株の陰になるような場所で、柔らかい光を浴びながら成長するにつれて、徐々に葉緑素が増え、組織が固まり、親株と同じような濃い緑色と鮮明な模様が現れてきます。
数ヶ月かけてゆっくりと色が変化していく様子を楽しむのも、サンスベリア栽培の醍醐味の一つですね。
冬の寒さ対策と置き場所の変更

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日本の冬は、熱帯生まれのサンスベリアにとっては過酷な試練の季節です。冬場に「色が薄くなった」「透き通ったような色になった」という相談が急増しますが、これは寒さによるダメージが原因であることがほとんどです。
窓際は危険地帯!コールドドラフトに注意
「日当たりが良いから」と、冬でも窓際に置きっぱなしにしていませんか?
昼間は暖かくても、夜の窓際は外気と同じくらいまで冷え込みます。さらに、冷たい空気は重いため、床付近を這うように流れてきます(コールドドラフト現象)。
サンスベリアは10℃を下回ると成長が止まり、5℃を下回ると細胞内の水分が凍結して細胞が破壊される「凍害」のリスクが高まります。凍害を受けると、葉が水っぽく透き通った色(暗緑色〜茶色)になり、その後急速にブヨブヨに腐って枯れ落ちます。これは一度なると回復しません。
冬の色抜けを防ぐ鉄則
冬場にサンスベリアの美しい色を維持するためには、以下の2点を徹底してください。
冬越しのポイント
- 置き場所の移動: 夕方になったら窓際から離し、部屋の中央や、冷気が溜まりにくい高い場所(棚の上など)に移動させる。段ボールや発泡スチロールで鉢を囲うのも有効です。
- 断水(水やりストップ): 気温が10℃を下回る時期(概ね11月〜3月頃)は、水やりを極限まで控えます。10℃以下になる部屋なら、一滴も水を与えない「完全断水」にします。水を断つことで植物体内の樹液濃度が高まり、不凍液のような役割を果たして寒さに強くなります。
冬の間、断水によって葉が少しシワっとなったり、色が多少くすんだりすることがありますが、これは寒さを耐え抜くための防御姿勢です。春になり暖かくなってから水やりを再開すれば、またプリッとした緑色に戻りますので、冬は「寝かせてあげる」感覚で見守りましょう。
サンスベリアの色が薄い時の対処まとめ
今回は、サンスベリアの色が薄くなる様々な原因と、それぞれの対処法について長文で解説してきました。「色が薄い」という一つの現象でも、その背景には「水が多すぎる」「水が足りない」「光が足りない」「寒すぎる」といった全く異なる理由が隠されていることがお分かりいただけたかと思います。
最後に、対処のポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
記事のまとめ:色が薄い時のアクションプラン
- まずは株元を触る。「ブヨブヨ=根腐れ」「硬い=水不足」の判別が最優先。
- 根腐れの場合は、腐った根を切除し、乾燥させてから新しい土に植え替える外科手術を行う。
- 水不足でシワシワの場合は、鉢底から出るまでたっぷりと水を与える(ただし冬以外)。
- 光不足で徒長している場合は、レースカーテン越しの明るい場所へ時間をかけて移動させる。
- 冬場の色抜けは寒さが原因の可能性大。窓際から離し、断水して休眠させる。
- 新芽の色が薄いのは正常な成長なので、そのまま優しく見守る。
サンスベリアは、私たちが思っている以上にタフな植物です。色が薄くなったからといって、すぐに諦める必要はありません。植物が発しているサインを正しく読み取り、環境を少し変えてあげるだけで、見違えるように元気になることも珍しくありません。
この記事が、あなたのサンスベリアが再び鮮やかな緑色を取り戻し、長く一緒に暮らすための一助となれば嬉しいです。毎日少しだけ気にかけて、植物との対話を楽しんでくださいね。
※本記事の情報は一般的な栽培経験に基づく目安です。植物の状態や栽培環境によって結果は異なります。最終的な判断は専門家にご相談されることをおすすめします。