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シャープな葉が魅力のドラセナが枯れた状態になると、とても心配になりますよね。ドラセナが枯れたので復活させる方法を知りたいと検索しているあなたは、どうにかして元気を取り戻したいと考えていることでしょう。
葉に茶色の斑点が出たり、根腐れを疑う症状が見られたりすると、不安になるものです。もしかしたら害虫や病気のサインかもしれませんし、肥料の与え方が原因かもしれません。
幹から気根のようなものが出てくることもあります。枯れた葉っぱは元に戻りますか?という疑問や、今後の成長速度、美しい樹形を維持する方法についても知りたいはずです。
この記事では、ドラセナが枯れた状態から復活させるための原因の見極め方と、成長期に合わせた具体的な対処法を詳しく解説します。
ポイント
- ドラセナが枯れる主な原因を特定できる
- 根腐れや病気、害虫の具体的な対処法がわかる
- 枯れた状態からの復活手順を学べる
- 元気な状態を維持するための管理方法がわかる
コンテンツ
ドラセナが枯れた?復活のための原因特定

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参考
- 水やりが原因?根腐れの症状
- 軟腐病など病気のサインを見逃さない
- 害虫による被害と特定方法
- 葉の茶色い斑点は葉焼けの合図?
- 肥料の与えすぎも枯れる原因に
水やりが原因?根腐れの症状

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ドラセナが枯れる原因として、最も可能性が高く、また多くの方が陥りがちなのが「水のやりすぎによる根腐れ」です。
ドラセナの原産地は熱帯アフリカなどの乾燥した地域が多く、その性質から比較的乾燥に強い植物です。そのため、土が常に湿っている過湿な状態を極端に嫌います。
鉢の中がずっとジメジメしていると、土の粒子間にある酸素が不足し、根が呼吸できなくなってしまいます。やがて根は酸欠状態から窒息し、腐り始めてしまうのです。
根が機能しなくなると、当然ながら水分や養分を茎や葉に送ることができません。その結果、水をやっているにもかかわらず、まるで水切れのように葉が垂れたり、枯れたりし始めるという悪循環に陥ります。
根腐れのサイン
以下の症状が見られたら、根腐れを強く疑ってください。
- 土の表面がいつまで経っても乾かない、または土からカビ臭い・腐ったような異臭がする
- ドラセナの幹の根元あたりが、触るとブヨブヨと柔らかい(健康な幹は硬いです)
- 葉にハリがなく、全体的に下向きに垂れ下がっている
- 新芽が成長せず、黒ずんで枯れてくる
もし根腐れが疑われる場合は、一刻も早く植え替える必要があります。様子を見ても回復することはまずありません。
思い切って鉢から株を抜き、黒く変色してドロドロになった根や、スカスカになった根を清潔なハサミで全て切り落としましょう。そして、必ず水はけの良い新しい観葉植物用の土を使って植え直す必要があります。
軟腐病など病気のサインを見逃さない
根腐れと似た症状ですが、特定の病気が原因で枯れてしまうこともあります。根腐れによって株が弱っていると、これらの病気を併発しやすくなるため、より注意が必要です。特に警戒すべきは「軟腐病(なんぷびょう)」や「立枯病(たちがれびょう)」です。
これらの病気は、主に細菌(バクテリア)やカビ(糸状菌)が、水やりの際の泥はねや、剪定・植え替え時の小さな傷口から侵入することで発生します。特に、高温多湿になる梅雨時期や夏場に発生・進行しやすい傾向があります。
軟腐病(なんぷびょう)
軟腐病は、主に細菌が原因で植物の組織が腐敗する病気です。根腐れと併発することも多く、地際(土と接する部分)や幹の一部が水っぽくドロドロになり、特有の強い腐敗臭を放ちます。一度発症すると進行が非常に早く、数日で株全体がダメになってしまうこともあります。
対処法としては、腐敗した部分を健康な組織ごと、大きくえぐるように取り除くしかありません。
その後、切り口に市販の殺菌剤(銅水和剤などを含むもの)を塗布して乾燥させます。他の植物への感染を防ぐため、使用したハサミや手は必ずアルコールなどで消毒してください。(参考:KINCHO園芸「病害虫ナビ - 軟腐病」)
立枯病(たちがれびょう)
立枯病は、主にカビが原因で発生します。株元の茎や葉の根元が黄色や褐色に変色し、次第に腐ったように枯れていきます。多湿な環境で風通しが悪いと発生しやすくなります。
対処法は、被害が出た部分を取り除き、土を新しいものに入れ替えることです。日頃から風通しを良くし、水やりは葉や茎にかけず、株元の土に静かに注ぐようにするだけで、発生リスクを大きく減らせます。
病気のサインに気づいたら、すぐに被害部を取り除き、他の植物から隔離することが重要です。使用する土は必ず新品の清潔なものを選び、風通しの良い環境で管理を徹底しましょう。
害虫による被害と特定方法

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ドラセナの元気がなくなる原因として、害虫の発生も考えられます。室内で管理していても、窓からの侵入や、購入時についていた卵が孵化することがあります。主な害虫は「ハダニ」と「カイガラムシ」です。
これらの害虫は、植物の葉や幹から養分を吸い取る(吸汁する)ため、放置すると株全体の生育が阻害され、光合成ができなくなり、最終的に枯れる原因となってしまいます。
毎日のお世話のついでに、葉の裏側や葉の付け根、幹の隙間などをチェックする習慣をつけると、害虫の早期発見につながりますよ。被害が広がる前に対処するのが一番です。
特に注意すべき害虫の特徴と対処法をまとめます。
| 害虫の種類 | 主な症状・特徴 | 対処法 |
|---|---|---|
| ハダニ | 非常に小さく(0.5mm程度)、肉眼では点にしか見えません。主に葉の裏側に発生します。葉緑素を吸うため、葉の表面がカスリ状に白っぽく色が抜けます。被害が進むとクモの巣のような細い糸を植物全体に張り巡らせます。 | ハダニは水に弱い性質があります。これは、水滴が体の表面にある気門(呼吸する穴)を塞ぐためです。霧吹きで葉の裏側を中心にこまめに水をかける(葉水)ことが、最も効果的な予防・対処法です。大発生した場合は、専用の殺ダニ剤を使用します。 |
| カイガラムシ | 白い綿のようなもの(コナカイガラムシ)や、茶色く硬い殻のようなもの(カタカイガラムシ)が葉の付け根や幹に付着します。養分を吸うだけでなく、ベタベタした排泄物(甘露)を出し、これが原因でカビが発生し黒くなる「すす病」を併発することがあります。 | 成虫は硬い殻やロウ物質で覆われているため、薬剤が効きにくいです。(参考:アース製薬「カイガラムシ」)数が少ないうちに、歯ブラシやティッシュ、綿棒などでこすり落とすのが最も確実です。幼虫が発生する春〜夏にかけては、薬剤散布も効果的です。 |
害虫は全般的に風通しが悪く、乾燥した環境を好みます。定期的な葉水と、風通しの良い場所に置くことが、害虫予防の基本となります。見つけ次第、早めに対処しましょう。
葉の茶色い斑点は葉焼けの合図?

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葉に茶色の斑点ができたり、葉先からパリパリに乾燥して枯れこんだりする場合、その最も一般的な原因は「葉焼け」です。
ドラセナは明るい場所を好む植物ですが、その多くは熱帯の森の中で、他の木々の木漏れ日を浴びて育ちます。そのため、日本の真夏の強すぎる直射日光や、午後の強い西日は非常に苦手です。強すぎる日差しは、葉の組織を文字通り火傷させ、細胞が壊死(えし)することで茶色く変色してしまうのです。
葉焼けの具体的な症状
葉焼けの症状は、光の強さによって二段階で現れることがあります。
- 急性の葉焼け:
急に強い日差しに当てた場合、葉が白っぽく色が抜けたり、部分的に透き通ったようになったりします。これは葉緑素が破壊されているサインです。 - 慢性の葉焼け:
じわじわと強い光に当たり続けると、葉の先端や縁など、最も光が集中する部分から水分が奪われ、茶色くパリパリに乾燥していきます。
環境の急変は厳禁
特に注意が必要なのが、暗い室内で管理していた株を、「日光浴させよう」と急に屋外の直射日光に当てることです。
暗い場所で育った葉(陰葉)は、薄く、光を効率よく集められるように適応しています。その葉を、何の準備もなく強い日差しに当てると、環境の急変に対応できずに深刻な葉焼けを起こします。
もし屋外に出す場合は、まずは日陰からスタートし、徐々に明るい場所に移動させる「順化(じゅんか)」という慣らし期間が最低1〜2週間は必要です。
葉焼けと「病気」の見分け方
葉焼けと病気(炭疽病や斑点病など)の斑点は見分ける必要があります。
- 葉焼けの斑点:
主に日光が強く当たる「葉の表面」や「葉先」など、突出した部分に集中して発生します。斑点の縁ははっきりせず、乾燥してパリパリしています。 - 病気の斑点:
日光の当たり方に関係なく、株元や葉の付け根などにも発生します。斑点が同心円状(輪紋)になったり、縁が黒く中心が褐色になったり、水が染みたようにジメジメしたりするのが特徴です。この場合は殺菌剤などでの対処が必要になります。
葉焼け以外の「葉先が茶色くなる」原因
葉先だけが茶色くなる場合、葉焼け以外に以下の原因も考えられます。
- 空気の乾燥:
ドラセナは多湿な環境を好みます。エアコンの風が直接当たったり、冬場で空気が極端に乾燥したりすると、葉先から水分が奪われて枯れ込みます。この場合は、こまめな葉水(霧吹き)が有効です。 - フッ素(フッ化物)による害:
あまり知られていませんが、ドラセナは水道水に含まれるフッ素や塩素に敏感な植物です。これらの成分が根から吸収されて葉先に蓄積し、許容量を超えると葉先が茶色く枯れ込むことがあります。浄水器の水や、汲み置きした水を与えることで改善する場合があります。
枯れてしまった部分の対処法
一度葉焼けやフッ素害で茶色くなってしまった部分は、残念ながら元には戻りません。しかし、原因を取り除けば、新しく出てくる葉は健康に育ちます。
見栄えが悪い場合は、枯れた部分だけを清潔なハサミでカットしても構いません。その際は、健康な緑色の部分をギリギリで切るのではなく、茶色い部分を1〜2mmほどわずかに残して切るのがコツです。緑色の部分まで切ると、そこから再び枯れ込みが始まることがあるためです。
肥料の与えすぎも枯れる原因に
植物を元気にしたいという一心で与えた肥料が、逆にドラセナを苦しめ、枯らす原因になってしまうことがあります。これは「肥料焼け」と呼ばれる深刻な症状です。
多くの場合、葉の色が悪い、元気がないといった症状を見て、「栄養不足かもしれない」と判断し、良かれと思って肥料や活力剤を与えてしまいます。しかし、その不調の原因が根腐れや日照不足、あるいは冬の休眠期であった場合、肥料の追加は文字通り「火に油を注ぐ」行為となります。
肥料焼けのメカニズム:「浸透圧」
植物の根は「浸透圧」の原理を利用して水分を吸収しています。これは、水が「濃度の低い(水っぽい)方」から「濃度の高い(塩分などが多い)方」へ移動する力のことです。通常は、根の細胞内のほうが土の中の水分よりも濃度が高いため、根は自然に水分を吸い上げることができます。
しかし、規定量以上の肥料を与えたり、生育が緩慢になる冬場に肥料を与えたりすると、土の中の肥料(=塩分)濃度が異常に高くなります。すると、根の細胞内よりも土の中の濃度の方が高くなってしまい、浸透圧のバランスが逆転します。
身近な例:野菜の塩もみ
これは、きゅうりや白菜に塩を振ると水分が出てくる「野菜の塩もみ」と全く同じ原理です。高い塩分濃度が、野菜の細胞から水分を強制的に引き出しているのです。同じことが、ドラセナのデリケートな根で起こってしまいます。
その結果、根は水分を吸い上げるどころか、逆に土へと水分を奪われてしまい、深刻な脱水症状を起こします。根が傷み、機能しなくなるため、水をやっても吸い上げられず、まるで水不足のような状態で葉が枯れ始めてしまうのです。
肥料焼けの具体的な症状
- 葉先や葉の縁が、急に茶色くパリパリに焦げたように枯れ込む。
- 下葉だけでなく、比較的元気だった中間の葉まで黄色くなり、落ち始める。
- 土の表面や、素焼き鉢の外側に白い結晶(塩分)が浮き出てくる。
最大の注意点:冬の施肥
特にドラセナの生育が止まる冬(最低気温が10℃を下回る頃)は、肥料を一切与えないでください。ドラセナは休眠状態に入り、栄養をほとんど吸収できません。
この時期に与えられた肥料は、吸収されないまま土壌に蓄積し、塩分濃度を高めます。活動していないのに無理やり栄養を与えると、土壌環境を悪化させ、根を傷める致命的な原因にしかなりません。
もし肥料を与えすぎてしまったら
もし肥料焼けが疑われる場合は、すぐに対処が必要です。
簡単な流れ
- 固形肥料の除去:鉢の表面に置いた固形肥料(置き肥)は、すぐに全て取り除きます。
- 土壌の洗浄(リーチング):液体肥料や、土に混ぜ込んだ肥料が原因の場合、鉢を浴室や流しに運びます。鉢底から水が勢いよく流れ出るまでたっぷりと水を与え、一度水を止めます。10分ほど待ってから、再びたっぷりと水を与える作業を3〜4回繰り返します。これにより、土の中の過剰な塩分を洗い流します。
- 最終手段(植え替え):上記の洗浄でも改善しない、あるいは明らかに根が広範囲に傷んでいると確信できる場合は、新しい土で植え替えるしかありません。ただし、これは弱った株にさらなるストレスを与えるため、最終手段と考えてください。
肥料は、必ず製品に記載されている規定量と時期を守り、「迷ったら、薄め・少なめ」を徹底することが、ドラセナを健康に育てる秘訣です。
ドラセナを枯れた状態から復活させる手順
参考
- 枯れた葉っぱは元に戻りますか?
- 樹形を整える剪定と切り戻し
- 成長期に行うべき植え替え作業
- 復活後の成長速度と管理のコツ
- 気根の役割と正しい処理方法
枯れた葉っぱは元に戻りますか?
「枯れた葉っぱは元に戻りますか?」というご質問をよくいただきますが、これは復活させたいと願う方にとって最も気になる点でしょう。しかし、残念ながら一度完全に枯れてしまった(茶色や黄色に変色した)葉は、元の緑色の状態には戻りません。
葉が茶色や黄色に変わってしまった部分は、葉緑素が壊れ、細胞が不可逆的な死を迎えているためです。光合成を行う機能を失ってしまっています。
しかし、ここで落ち込む必要はありません。枯れた部分を適切に処理することで、株の体力を温存させ、新しい芽の成長を力強く促すことができます。
枯れた葉をそのままにしておくと、見た目が悪いだけでなく、そこにカビや細菌が繁殖して病害虫の原因になったり、元気な部分への栄養供給を妨げたりすることもあるんですよ。早めに整理してあげましょう。
枯れた葉の剪定方法
枯れた葉の処理は、株の負担にならないよう清潔なハサミで行います。
- 葉先だけが枯れている場合:枯れた部分だけを、葉の形に沿って斜めにカットします。このとき、健康な緑色の部分を1〜2mmほどわずかに残すように切ると、切り口から再び枯れ込むのを防げます。
- 葉全体が枯れている場合:葉の付け根から、清潔なハサミでカットして取り除きます。品種によっては、付け根部分を下に引っ張ると綺麗に取り除ける場合もあります。
樹形を整える剪定と切り戻し
ドラセナが枯れた原因が、深刻な根腐れや冬の寒さによるダメージだった場合、葉だけでなく幹自体が弱っていることがあります。このような場合は、株を復活させるために思い切った「切り戻し」という剪定作業が復活の鍵となります。
根がひどく傷んでいるのに、たくさんの葉や枝が残っていると、根はそれら全てを支えるために無理をしなくてはなりません。
根の負担が大きすぎて、回復するどころか衰弱が進んでしまいます。剪定によって地上部(葉や枝)を減らし、株全体のバランスを整えることで、新しい根と芽の発生を促すのです。
まず、幹を触ってみて、ブヨブヨと柔らかくなっている部分がないか確認してください。もし柔らかい部分があれば、そこから病気や腐敗が進行する可能性があるため、その部分はもう助かりません。必ず、触って硬く健康な部分まで切り詰める必要があります。
どこまで切るか迷った際は、少しずつ切り下げていき、切り口を確認します。切り口が茶色く枯れていたら、まだその部分は死んでいます。さらに切り下げ、切り口が白っぽいや緑色っぽい、瑞々しい部分が出てきたら、そこが生きている証拠です。その位置で切り戻しを完了します。
剪定は、ドラセナの生育期である5月~9月頃に行うのが最適です。回復力が高いため、株へのダメージが最小限で済みます。
必ず清潔なハサミやノコギリを使用し、太い幹を切った場合は、切り口からの水分の蒸発や病原菌の侵入を防ぐため、市販の癒合剤(ゆごうざい)を塗布すると万全です。
切り口のすぐ下あたりから新しい芽が複数出てくることが多いため、それを楽しみに待ちましょう。
成長期に行うべき植え替え作業

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前述の通り、根腐れや根詰まり(鉢の中で根がパンパンになること)が枯れた原因である場合、最も効果的かつ根本的な対処法は「植え替え」です。
植え替えも、株へのダメージを最小限に抑えるため、回復力の高い成長期(5月~9月)に行うのがベストです。気温が低い冬場の植え替えは、株が寒さのダメージと植え替えのダメージに耐えられず、そのまま枯死してしまうリスクが非常に高いため、絶対に避けてください。
植え替えの手順
根腐れを起こしたドラセナを復活させるための、緊急手術とも言える作業です。
手順
- 鉢から抜く:鉢の縁をゴムハンマーなどで軽く叩きながら、ドラセナの株を優しく引き抜きます。
- 根の整理:古い土をできるだけ手でほぐしながら落とします。この時、黒く変色してドロドロに腐っている根や、引っ張ると簡単にちぎれるスカスカの古い根を、清潔なハサミで全て切り落とします。健康な白い根だけを残すイメージです。
- 葉の整理:根をかなり多く切り落とした場合は、根から吸い上げる水分量と葉から蒸散する水分量のバランスを取るため、葉の数も剪定して減らします。(前述の「切り戻し」もこのタイミングで行います)
- 植え付け:必ず「水はけの良い」「新品の」観葉植物用の土を使って植え付けます。根を多く切った場合、土の量が多いと乾きにくくなり、再び根腐れするリスクが高まります。そのため、あえて一回り小さな鉢に植え替えるのも非常に良い方法です。
植え替え後の管理
植え替え直後は、ドラセナにとって大きな手術を終えた後の集中治療期間にあたります。すぐに直射日光に当てるのは避け、明るい日陰で風通しの良い場所に置き、1~2週間ほど休ませます(これを「養生(ようじょう)」といいます)。
植え替え直後の水やりは、土全体が湿る程度に与え、その後は土の表面がしっかり乾いてから与えるようにし、根腐れの再発を徹底して防ぎましょう。
復活後の成長速度と管理のコツ
剪定や植え替えといった大きな手術を行った後、すぐに新芽が出なくても焦る必要はありません。復活後の成長速度は、株が受けたダメージの度合いや、管理する季節・環境によって大きく異なります。
特に、幹の大部分を切り戻した場合は、新しい芽を出すまでに数週間から、時には数ヶ月かかることもあります。株はまず、目に見えない地中で新しい根を張り、生きるための土台を再構築することにエネルギーを集中させているのです。
「まだかな?」と不安になり、幹をつついたり、水を余計にあげたりしたくなるかもしれませんが、それは逆効果です。幹が硬いままであれば、株は生きています。水やりは「土が乾いたら」の原則を徹底し、辛抱強く見守りましょう。
やがて切り口の近くや幹の途中から小さな新芽が出てきて、それが安定して成長し始めたら、通常の管理に戻します。
復活後の管理のコツ
- 置き場所:レースのカーテン越しの、明るく風通しの良い場所が最適です。暗い場所は生育が鈍り、徒長(間延び)の原因になります。
- 水やり:「土の表面がしっかり乾いたこと」を指で触って確認してから、鉢底から水が流れるまでたっぷりと与えます。受け皿に溜まった水は、根腐れ防止のため必ず捨ててください。
- 葉水:葉水(霧吹きで葉に水をかけること)は、空気中の湿度を好み、乾燥を嫌うドラセナにとって非常に有効です。ハダニ予防にもなるため、エアコンで乾燥しがちな時期は特に、毎日行っても構いません。新芽の成長も助けてくれます。
- 肥料:植え替え後、最低でも1ヶ月は肥料を与えません。新芽が安定して成長を始めたら、まずは規定量より薄めた液体肥料から与え始め、徐々に通常の管理に戻していきます。
気根の役割と正しい処理方法

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ドラセナを育てていると、幹の途中から白や茶色、時には赤みがかった根のようなもの(気根:きこん)がニョキニョキと飛び出してくることがあります。これは病気や害虫ではなく、ドラセナが本来持つ「不定根(ふていこん)」と呼ばれる根の一種です。
原産地の熱帯雨林では、これらを使って他の樹木に着生したり、空気中の水分を効率よく吸収したり、あるいは幹が倒れないように体を支える「支柱根」として機能したりします。
室内で管理しているドラセナに気根が出る場合、その理由は「株からのSOS」である場合と、「単に元気な証拠」である場合の両方が考えられます。
気根が発生する主な3つの理由
1.地中の根からのSOS(根腐れ・水不足)
これが最も注意すべきパターンです。水のやりすぎで地中の根が根腐れを起こし、正常に水分を吸収できなくなった場合、ドラセナは生き残るために空気中からなんとか水分を得ようとして、必死に気根を伸ばします。
水をやっているのに葉が枯れる、幹の根元がブヨブヨするといった症状と同時に気根が出た場合は、この可能性が非常に高いです。「地上の根が枯れたので、空中に新しい根を出して助かろう」としている、株の悲鳴とも言えます。
2.鉢の中が限界(根詰まり)
鉢の中で根がパンパンになり、もう行き場がなくなった根が、鉢の縁や幹の隙間から上に向かって伸びてくるケースです。鉢底穴から根が飛び出している場合もこれに該当します。
これは「植え替えてほしい」「スペースが足りない」という明確なサインです。地中でのびのびと成長できないため、外に活路を求めている状態です。
3.環境への適応(元気な証拠)
梅雨時期や、加湿器を使っている部屋、浴室の近くなど、空気中の湿度が高い環境に置かれていると、ドラセナは「ここは(原産地のように)水分が多いな」と判断し、空気中の水分を取り込もうと積極的に気根を出すことがあります。
この場合は株自体が元気で生育旺盛な証拠であり、全く心配いりません。
気根を見つけたらどうすべきか?
気根が1〜2本出てきたからといって、すぐに枯れるわけではありません。慌てないでください。ただ、それは株の状態を見直す絶好のチャンスです。「最近水やりしすぎかな?」「土が臭くないか?」「植え替えてから2年以上経ったかな?」と、まずは株の健康状態を診断するきっかけにしましょう。
その上で、気根自体の処理方法は、原因が解決した後であれば主に2つの選択肢があります。
A)見た目が気になる場合:剪定する
気根は、そのままにしておいても生育に問題はありません。もし見栄えが気になる場合は、幹の付け根から清潔なハサミで切ってしまっても大丈夫です。そこから病気が入ることも稀ですし、株本体へのダメージもほとんどありません。
B)活かす場合:土に誘導する
モンステラなどで行われるように、長く伸びた気根を無理のない範囲で土の表面に誘導し、U字ピンなどで固定して植え込む方法もあります。気根はそのまま土に潜り、やがて地中根(土の中の根)として発達します。
特に背の高いドラセナの場合、株を支える「支柱根」としての役割を果たし、株全体をより安定させてくれるメリットがあります。試してみる価値はあるでしょう。
ドラセナが枯れた!復活する方法のまとめ
ドラセナが枯れたとしても、原因を正しく特定し、適切な手順を踏めば復活できる可能性は十分にあります。最後に、復活のための重要なポイントをまとめます。
チェックリスト
- ドラセナが枯れる最大の原因は根腐れ
- 水のやりすぎは厳禁、土の乾燥を確認する
- 幹がブヨブヨしたら根腐れのサイン
- 土から異臭がしたら危険信号
- 軟腐病や立枯病は細菌やカビが原因
- ハダニは葉裏をチェックし葉水で予防する
- カイガラムシは歯ブラシなどでこすり落とす
- 葉の茶色い斑点は葉焼けの可能性が高い
- 真夏の強すぎる直射日光は避ける
- 冬場の肥料は根を傷めるため与えない
- 残念ながら枯れた葉っぱは元に戻らない
- 枯れた葉や幹は清潔なハサミで剪定する
- 復活のための植え替えは成長期(5月~9月)に行う
- 植え替え時は腐った根を全てカットする
- 気根は切っても問題ないが株の状態も確認する
- ドラセナが枯れた状態からの復活は焦らず見守ることが大切