ポトス

ポトスの剪定についての教科書!時期や場所、失敗しないコツは?

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日本人女性がリビングのテーブルでポトスの鉢植えを前に、伸びたつるを持ち上げて観察している。明るい自然光が差し込む室内、ハサミや霧吹きが机の上に置かれている。穏やかな表情で手入れの準備をしている様子。

観葉スタイル・イメージ

ポトスが伸びすぎて、どう手入れしたら良いか悩んでいませんか。ポトスは生命力が強く育てやすい反面、放置するとあっという間につるが伸びて形が乱れがちです。ポトスの剪定は、見た目を美しく整えるだけでなく、株を健康に保ち、元気に育てるためにも欠かせない大切な作業です。

しかし、剪定の適切な時期や、切るべき正しい剪定場所が分からず、「切ったら枯れてしまうのでは」と失敗を恐れて剪定不足になっている方も多いかもしれません。

この記事では、ポトスの剪定について基本的な考え方から、目的別の「切り戻し」の方法、剪定後の枝を有効活用した「挿し木」や「水差し」のテクニック、さらには「水耕栽培」でインテリアとして楽しむ方法まで、写真や図解が無くても分かりやすいように詳しく解説します。

剪定後の理想的な置き場所や、ポトスの成長に合わせた「植え替え」のタイミングも併せて紹介しますので、ぜひ参考にして、いきいきとしたポトスを育てましょう。

ポイント

  • ポトスの剪定が必要な理由と最適な時期
  • 目的別の2つの剪定方法(切り戻し・摘心)
  • 剪定で失敗しないための具体的なコツ
  • 剪定した枝を水差しや挿し木で増やす方法

ポトスの剪定の基本と目的

日本人男性がポトスの葉と茎を手で持ち、節の位置を指先で確認している。背景は日当たりの良い室内の窓辺。学びながら慎重に剪定箇所を見極める場面。

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まずは、なぜポトスに剪定が必要なのか、その基本的な目的と最適なタイミングについて理解を深めましょう。適切な時期に正しい手入れをすることが、ポトスを長く楽しむための第一歩です。

参考

  • 剪定不足が引き起こす問題
  • 剪定に最適な時期はいつ?
  • 剪定方法は2種類!切り戻しとは
  • どこを切る?正しい剪定場所
  • 剪定で失敗しないためのコツ

剪定不足が引き起こす問題

ポトスは非常に生命力が強い植物ですが、剪定をせずに放置してしまうと、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

最も分かりやすい問題は、見た目が悪くなることです。ポトスは日照不足などの環境下では、葉と葉の間隔が異常に空き、ひょろひょろとした姿で伸びる「徒長(とちょう)」を起こしやすい性質があります。この状態になると、購入時のようなこんもりとした美しい姿が失われてしまいます。

さらに深刻なのは、健康面への影響です。葉が密集しすぎると内部の風通しが悪化します。風通しが悪いと湿気がこもりやすくなり、ハダニやカイガラムシといった病害虫の絶好の住処になってしまう恐れがあります。(参考:KINCHO園芸「観葉植物につく小さい虫とは?」

また、葉が茂りすぎると株元の葉に光が当たらなくなり、光合成ができずに古い葉から黄色く変色して落ちていきます。その結果、根元部分だけが寂しくスカスカな印象になってしまうこともあります。

剪定不足が引き起こすデメリット

ポトスを剪定せずに放置すると、以下のような問題が発生しやすくなります。

  • つるが間延び(徒長)して不格好になる
  • 風通しが悪くなり、ハダニやカイガラムシが発生しやすくなる
  • 株元に光が当たらず、下葉が枯れてスカスカになる
  • 土の状態が確認しにくく、根腐れの原因にもなる

剪定に最適な時期はいつ?

日本人女性がカレンダーを指差しながら、窓際のポトスの鉢を見ている。外には春の日差しと緑が感じられる季節感。成長期に剪定を考える様子を表現。

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ポトスの剪定は、植物が最もエネルギーに満ち溢れている「生育期」に行うのが鉄則です。この時期に作業することで、剪定による株へのダメージを最小限に抑え、その後の回復を圧倒的に早めることができます。

具体的には、気温が安定して15℃以上を保てる5月〜10月頃が最適なシーズンとなります。このタイミングがなぜベストなのか、逆にダメな時期はなぜダメなのかを、植物のメカニズムから詳しく解説します。

最大の適期:5月〜7月(春〜初夏)

ポトスの剪定において、最も理想的で「ゴールデンタイム」と呼べるのがこの時期です。

理由は、気温が安定して上昇し、ポトスが1年で最も活発に光合成を行うからです。光合成によって作られた豊富なエネルギー(糖)が、剪定による傷口(切り口)を素早く治癒させ、新しい芽を吹かせるための十分な「体力」となります。

また、この時期は成長ホルモンの分泌も活発になるため、カットした節のすぐ下から、次々と新しい脇芽が力強く伸びてきます。株の仕立て直し(リフレッシュ)と、ボリュームアップを同時に狙える、まさにベストタイミングと言えるでしょう。

次点の適期:8月〜10月(夏〜秋)

夏の8月は、酷暑すぎると(室温が35℃を超えるなど)一時的に成長が停滞することもありますが、一般的な室内管理であれば問題なく剪定できます。

9月から10月にかけても、気温が15℃以上保たれていれば、まだまだ生育期です。

ただし、10月後半になると徐々に気温が下がり、成長スピードが鈍化し始めます。もし秋に剪定を行う場合は、本格的な冬が来る前に新芽がしっかり展開して体力を蓄えられるよう、遅くとも10月中旬までには作業を終えておくのが理想的です。

厳禁の時期:11月〜3月(晩秋〜冬)

気温が10℃を下回るようになると、ポトスの成長はほぼ停止し、エネルギーを温存する「休眠期」に入ります。この時期に剪定を行うのは、株にとって非常に危険な行為です。

なぜなら、以下の2つの致命的な問題が発生するからです。

  1. 回復する体力がない:
    光合成がほとんど行われないため、切り口を塞ぐエネルギーがありません。傷口が治らないまま、そこから雑菌が入ったり、枯れ込んだりすることがあります。
  2. 水分バランスが崩壊する:
    冬は暖房などで空気が乾燥しているため、葉や切り口からの水分蒸発(蒸散)は続きます。しかし、鉢の中の土が冷えていると、根は水を吸い上げる活動を停止してしまいます。

冬の剪定は「生理的干ばつ」を引き起こす

冬の剪定は、「切り口から水分は失われ続けるのに、根から水分を補給できない」という最悪のアンバランス(生理的干ばつ)を引き起こします。これにより、株は水分を失って枯れてしまうリスクが非常に高くなります。

品種や環境にもよりますが、室内の最低気温が10℃を下回る時期の剪定は、絶対に避けてください。(万が一、事故で折れてしまった場合などを除く)

剪定時期のまとめ

  • Best(最適):5月〜7月。回復が最も早く、新芽が旺盛に出る。
  • Good(適期):8月〜10月中旬。気温が15℃以上あれば問題なく行える。
  • NG(厳禁):11月〜3月。成長が停止し、回復できずに枯れるリスクが非常に高い。

剪定方法は2種類!切り戻しとは

日本人男性がハサミでポトスの長いつるを切り戻している動作の瞬間。床に広がる健康な緑の葉、明るい室内の観葉植物コーナー。集中した表情で丁寧にカットしている。

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ポトスの剪定には、主に「切り戻し」と「摘心(てきしん)」という2つの方法があります。どちらも「切る」作業ですが、その目的は異なります。ポトスの現在の状態や、将来どのような姿にしたいかに合わせて、適切な方法を選ぶことが大切です。

切り戻し:形を整える

「切り戻し」とは、伸びすぎたつるや形が崩れた部分を、思い切って短くカットする剪定方法です。

間延びしてひょろひょろになったつるや、葉が落ちてスカスカになったつるを、株元近く(好みの長さ)で切ることで、全体の形を仕立て直します。これにより、株姿がスッキリとコンパクトに戻り、カットした節から新しい芽が吹いてリフレッシュさせることができます。

摘心(摘芽):ボリュームを出す

「摘心(てきしん)」または「摘芽(てきが)」とは、つるの先端にある新芽(頂芽)を指やハサミで摘み取る簡単な剪定方法です。

ポトスを含む多くの植物には、「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」と呼ばれる性質があります。これは、先端の芽(頂芽)が成長を独占し、脇にある芽(脇芽)の成長を抑制するというものです。

この頂芽をあえて摘み取ることで、頂芽優勢が解除され、これまで抑えられていた脇芽(葉の付け根にある芽)が「自分の出番だ」とばかりに一斉に成長を始めます。結果として、葉の数を増やし、株全体にこんもりとしたボリュームを出す効果が期待できます。

「ハンギングで垂らしているが、長くなりすぎて床につきそうだ」「株全体を小さくリセットしたい」という場合は切り戻しを、「株元の密度が低くなってきた」「もっと葉を茂らせてフサフサにしたい」という場合は摘心を選ぶと良いでしょう。

剪定方法 主な目的 切る場所 期待できる効果
切り戻し 株全体の形を仕立て直す(小さくする・整える) 伸びすぎたつるの途中(節のすぐ上) 株のリフレッシュ、間延びの解消
摘心(摘芽) 脇芽を増やしてボリュームを出す(密度を高める) つるの先端にある新芽(頂芽) 葉の数が増える、こんもりとした株姿になる

どこを切る?正しい剪定場所

日本人女性がポトスの「節」を指差して確認しながら、ハサミを持っている。手元に焦点を合わせた構図で、節の部分がよく見える。明るい光に照らされた室内の近距離カット。

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ポトスの剪定で失敗しないために、最も重要と言っても過言ではないのが「切る場所」です。ポトスを剪定する際は、「節(ふし)」の位置を必ず確認してください。

節とは、葉の付け根部分にある、少し膨らんだ茶色い部分のことです。よく観察すると、そこから葉が出ているだけでなく、気根(空気中の水分を取り込むための根)と呼ばれる茶色い突起が出ていることもあります。この節には、新しい芽を出す「成長点」が隠されています。

剪定でつるを切る際は、この節のすぐ上(1〜2cm程度)をカットします。

必ず「節を株本体側に残す」ように切ってください。もし節が残らないように、節と節の真ん中や、節の根元側(株側)で切ってしまうと、そこから新しい芽が出てこなくなり、残されたつるが枯れてしまう可能性があるため、細心の注意が必要です。

剪定は「節のすぐ上」でカット

葉の付け根にある膨らんだ「節」を探し、必ずその節が株側に残るように、節の少し先(先端側)をハサミでカットしてください。これが新しい芽を出し、再び成長させるための重要なポイントです。

剪定で失敗しないためのコツ

ポトスは非常に丈夫な植物であり、剪定にも強いですが、いくつかの基本的なコツを押さえることで、剪定の失敗を限りなくゼロに近づけ、株へのダメージを最小限に抑えることができます。

第一に、清潔なハサミを使用することです。これは人間でいう「清潔なメスで手術する」のと同じです。汚れたハサミを使うと、切り口から雑菌が入り、病気の原因になることがあります。使用前には、剪定バサミの刃をアルコールティッシュで拭く、またはライターの火で軽く炙るなどして、必ず消毒済みの清潔な状態にしておきましょう。

第二に、思い切って切ることです。特に切り戻しの場合、「こんなに短くして大丈夫か」と不安になり、中途半端に切ってしまいがちです。しかし、ポトスは生育期であれば驚異的な回復力を見せます。大胆にカットしても、すぐに節から新芽を出して回復します。中途半端に残すよりも、理想の形をイメージしてスッキリと整える方が、結果的に美しい株姿になります。

第三に、樹液に注意することです。これは安全に関する非常に重要な注意点です。

樹液(シュウ酸カルシウム)に関するご注意

ポトスはサトイモ科の植物です。サトイモ科の植物(クワズイモなど)には、不溶性のシュウ酸カルシウムの針状結晶が含まれていることが知られています。(参考:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:クワズイモ」

体質によっては、ポトスの茎を切った際に出る樹液が皮膚に付着すると、この結晶の刺激により、かぶれや痒みを引き起こす場合があります。作業を行う際は、念のため園芸用の手袋を着用することを強くおすすめします。

もし樹液に触れてしまった場合は、こすらずに、すぐに流水でよく洗い流してください。

ポトスの剪定後の活用と管理

剪定が終わったら、次は切った枝の活用と、親株のケアが待っています。ポトスは剪定後も楽しみが多い植物です。増やし方や、剪定後の正しい管理方法について解説します。

参考

  • 切った枝で挿し木に挑戦
  • 水差しでの簡単な増やし方
  • 水耕栽培で育てることも可能
  • 剪定後の理想的な置き場所
  • 植え替えのタイミングと手順

切った枝で挿し木に挑戦

日本人男性が机の上で剪定したポトスの枝を小さな鉢に挿している。赤玉土を使った清潔な作業台、霧吹きとジョウロが横に置かれている。穏やかで前向きな表情。

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剪定で切り落とした枝(つる)は、ゴミとして捨ててしまうのは非常にもったいないです。「挿し木」によって、新しい株として簡単に増やすことができます。ポトスは非常に発根しやすいため、園芸初心者の方が「増やす楽しみ」を体験するのにも最適です。

まず、剪定した枝を、「節」が必ず1〜2つ含まれる長さ(約10〜15cm)にカットします。

このとき、根が出る前に葉から水分が蒸発しすぎるのを防ぐため、先端の葉を2〜3枚だけ残し、他の葉は付け根から切り落としましょう。葉が大きい場合は、残す葉も半分ほどの大きさにカットすると、さらに蒸散を防げます。

次に、赤玉土(小粒)やバーミキュライト、挿し木専用の清潔な土を入れたポットや鉢を用意します。土をあらかじめ霧吹きなどで湿らせておき、カットした枝の節の部分が土に埋まるように、指や割り箸で開けた穴に優しく挿してください。

作業後は、土が完全に乾燥しないように注意しながら、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。早ければ数週間、通常1ヶ月ほどで節から新しい根と芽が伸びてきます。新芽が数枚展開したら、挿し木成功です。

水差しでの簡単な増やし方

「挿し木用の土を用意するのが面倒」「もっと手軽に増やしたい」という方には、「水差し」が最も簡単な増やし方です。土を使わずに、水だけで発根させることができます。

手順は挿し木とほとんど同じです。まず、剪定した枝を節が1〜2つ含まれるようにカットします。葉も同様に先端の2〜3枚を残して取り除いてください。

次に、清潔な空き瓶やコップに水を入れ、枝を挿します。このとき、必ず「節」の部分が水に浸かるようにするのが最大のポイントです。前述の通り、ポトスは節から根を出すため、ここが水に浸かっていないと発根しません。

水は雑菌の繁殖や酸素不足を防ぐため、できれば毎日、少なくとも2〜3日に一度は新鮮な水に取り替えましょう。置き場所は挿し木と同じく、直射日光の当たらない明るい日陰が適しています。数週間もすれば、節から白い根が健気に伸びてくるのが観察できるはずです。

水差しで発根を待つ間、水に市販の発根促進剤(メネデールなど)を規定の濃度で少量混ぜておくと、発根の成功率が上がると言われています。

水耕栽培で育てることも可能

水差しで無事に発根したポトスは、そのまま水耕栽培(ハイドロカルチャー)として育て続けることが可能です。

土を使わないため、有機物をエサにするコバエなどの不快な虫が発生しにくく、カビの心配も少ないのが最大の魅力です。そのため、キッチンやダイニングテーブル、寝室など、清潔感を保ちたい場所にも安心して置くことができます。

また、透明なガラス容器を使えば、根が伸びていく様子を観察できたり、カラフルな培地(人工土)を使ったりと、インテリア性が高いのも利点です。

土植えより水耕栽培が適している理由

水差しで育てた根は「水中根(すいちゅうこん)」と呼ばれ、水の中の酸素を効率よく取り込むことに特化した、白くヒョロヒョロとした繊細な根です。

この水中根をいきなり観葉植物用の土に植え替えると、環境が激変してしまい、うまく水分や酸素を吸収できずにストレスで枯れてしまうことがあります。

その点、ハイドロカルチャー(水耕栽培)は、水差しと同じ「水」をベースにした環境です。そのため、水中根にとってストレスが非常に少なく、移行の成功率が格段に高いのです。

水耕栽培への移行手順

根が5〜10cm程度まで十分に伸びたら、水耕栽培への移行のタイミングです。

手順

  1. 容器の準備:
    お好みのガラス容器など、根の様子がわかる透明なものがおすすめです。フタ付きのものは蒸れやすいので、口が開いているものを選びましょう。
  2. 根腐れ防止剤を敷く:
    これは水耕栽培を成功させるための必須アイテムです。容器の底に、「ゼオライト」「ミリオンA」といった根腐れ防止剤を、底が見えなくなる程度(容器の1/10〜1/5)敷き詰めます。これらが水を浄化し、雑菌の繁殖を抑えてくれます。
  3. 人工培地(培土)を入れる:
    根腐れ防止剤の上に、主要な培地を少し入れます。代表的な培地には以下のようなものがあります。
  4. ポトスを固定する:
    水差しから取り出したポトスを容器の中央にセットし、根を傷つけないように注意しながら、周りから培地を追加して株を安定させます。
  5. 水を入れる:
    最後に水を入れますが、この量が最大のポイントです。

水位は容器の「5分の1」が鉄則

容器いっぱいに水を入れてはいけません。ポトスの根も呼吸をしており、酸素が必要です。水位を容器の5分の1程度に保つことで、水に浸かっていない上部の根が空気中の酸素を取り込めるようになります。常に根全体が水に浸かっていると、根が窒息して「根腐れ」を起こしてしまいます。

水耕栽培の主な人工培地

培地にはそれぞれ特徴があります。目的に合わせて選びましょう。

培地の種類 特徴 メリット デメリット
ハイドロボール 粘土を高温で焼いた発泡煉石。最も一般的。 多孔質で酸素を多く含む。繰り返し洗って使える。 色や形のバリエーションは少ない。
ジェルポリマー 高吸水性樹脂。カラフルなゼリー状。 見た目が美しい。保水性が非常に高い。 崩れやすく、雑菌が繁殖しやすい。根張りのスペースが少ない。
ネオコール 炭を原料としたセラミック素材。 多孔質で軽く、炭の力で水を浄化する作用も持つ。 ハイドロボールより価格がやや高め。

水耕栽培の管理方法

土植えとは異なる、水耕栽培特有の管理が必要です。

水やりのタイミング:
容器の底に溜めていた水が完全になくなり、底が乾いてから1〜2日待ってから、再び容器の1/5まで水を注ぎます。この「乾く」期間を作ることで、根が酸素をしっかり取り込むことができ、根腐れを強力に防止できます。

肥料の与え方:
土と違い、水や人工培地には一切の養分が含まれていません。そのため、水やりとは別に、定期的な施肥が必須です。

  • 時期:生育期(5月〜10月)のみ。冬は与えません。
  • 頻度:2週間に1回程度。
  • 種類:必ず「水耕栽培専用の液体肥料」を使うか、通常の液体肥料(ハイポネックス原液など)を土植えの規定よりもさらに薄く(2〜3倍に)希釈して使います。

藻(アオコ)の発生に注意

透明な容器に「光」「水」「肥料」が揃うと、緑色の藻(アオコ)が発生しやすくなります。藻は見た目が悪いだけでなく、水中の養分や酸素をポトスと奪い合ってしまいます。

藻が発生したら、一度ポトスを取り出し、容器と培地(ハイドロボールなど)を流水でよく洗い流してリセットしてください。これを防ぐためには、遮光性のある(不透明な)容器を使うのが最も効果的ですT。

剪定後の理想的な置き場所

日本人女性が剪定を終えたポトスの鉢を、レースカーテン越しの窓辺にそっと置いている。柔らかな自然光が差し込み、清潔で風通しの良い室内。穏やかな雰囲気と回復への安心感。

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剪定後のポトスは、人間で言えば「手術後」のデリケートな状態です。

株は大きなストレスを受け、それまでの「成長」モードから、切り口を塞いで雑菌の侵入を防ぐ「治癒・防御」モードにエネルギーを集中させます。この「養生期間(ようじょうきかん)」をいかに上手にサポートできるかで、その後の回復速度と樹形が決まります。

置き場所として最適なのは、「直射日光を避けた、風通しの良い明るい日陰」です。これを具体的に解説します。

1.「光」の管理:直射日光は厳禁、しかし暗すぎてもNG

剪定によって葉の数が減っているため、植物が処理できる光の量も減っています。この状態で強い直射日光に当てると、残った葉が葉焼けを起こしやすく、株全体の体力をさらに奪うことになります。

かといって、光が全く入らない暗い場所に置くのも逆効果です。植物は「光合成」によって傷を治すエネルギーを生み出すため、暗すぎると回復が遅れてしまいます。

ベストな置き場所

レースのカーテン越しに柔らかい光が入る窓辺や、窓から少し離れた(1.5m〜2m程度)部屋の明るい場所が理想的です。北向きの窓辺なども適しています。

2.「風」の管理:風通しで切り口を乾かす

剪定後の管理で光と同じくらい重要なのが「風通し」です。ポトスの切り口は、カット直後は水分で濡れています。空気がよどんだ場所に置くと、この切り口がなかなか乾かず、湿った状態が長く続きます。

湿った切り口は、カビや雑菌が繁殖する絶好のターゲットとなり、そこから病気が発生して茎が腐り始める(軟腐病など)原因になります。適度な風通しを確保し、切り口を素早く乾燥させることが、最も効果的な「消毒」代わりとなります。

エアコンや扇風機の風が直接当たる場所は避けてください。乾燥が急激すぎて植物がショック状態になり、かえって体力を消耗します。あくまで「空気がゆるやかに動いている」状態がベストです。

3.「水」と「肥料」の管理:最大の失敗ポイント

剪定後にポトスを枯らしてしまう最大の原因が、「水」と「肥料」の与えすぎです。

「早く元気になってほしい」という親心から、水や肥料をあげたくなりますが、これは手術直後の患者にステーキを食べさせるようなものです。剪定後は「足し算」ではなく「引き算」の管理が鉄則です。

水やり:
剪定によって葉の量が減ったため、植物が水分を蒸散させる「口」が減っています。つまり、根が水を吸い上げる量が劇的に減少します。それにもかかわらず、剪定前と同じペースで水を与えると、土の中が常に過湿状態になり、根が呼吸できずに窒息します。これが「根腐れ」の直接的な原因です。

肥料:
剪定後の弱った根に肥料(特に化学肥料)を与えると、根が肥料の成分(塩類)に負けてしまい、「肥料焼け」を起こす危険があります。株は傷の治癒に全力を注いでいるため、栄養を吸収する余裕はありません。

剪定後の水・肥料の鉄則

  • 水やり:土の表面が乾いてから、さらに2〜3日待つくらい控えめにします。鉢を持ち上げて軽くなったのを確認してから与えるのが確実です。
  • 肥料:剪定後、最低1ヶ月は一切の肥料を与えないでください。

回復のサインと通常の管理への移行

この「養生期間」は、季節にもよりますが約2〜4週間ほどです。株が回復し始めたサインは、カットした節の付け根から、小さな緑色の「新芽」が顔を出すことです。

この新しい芽が動き始めたのを確認したら、それは「回復完了」の合図です。そこから徐々に水やりの頻度を元に戻し、元の置き場所(剪定前まで置いていた日当たりの良い場所)へと移動させていきましょう。肥料を与えるのは、その新芽がしっかりと葉を開いてからでも遅くありません。

植え替えのタイミングと手順

ポトスはつるの成長だけでなく、鉢の中の根の成長も早いため、1〜2年に1回は植え替えが必要です。

根が鉢の中でいっぱいになる「根詰まり」を起こすと、成長が鈍ったり、水はけが悪くなって根腐れしたりする原因になります。剪定と同時に行うと、株への負担を一度で済ませることができるため効率的です。

以下のようなサインが見られたら、植え替えのタイミングです。

植え替えのサイン

  • 鉢の底穴から根が飛び出してきている
  • 水を与えても土への染み込みが非常に悪い、またはすぐ抜ける
  • 以前より土の乾きが異常に早い
  • 葉の色が薄くなったり、すぐに黄色くなったりする(肥料不足の場合もあり)
  • 株全体に元気がなく、成長が鈍化した

植え替えの時期も、剪定と同じく生育期の5月〜9月頃が最適です。作業によるダメージからの回復が最も早い時期です。

植え替えの手順

手順

  1. 現在よりも一回り(直径で3cm程度)大きな鉢と、新しい観葉植物用の土を用意します。このとき、水はけと通気性の良い培養土例:ハイポネックス培養土など、パーライトや赤玉土が配合されたもの)を選びましょう。
  2. 鉢からポトスの株を優しく引き抜きます。根が張って抜けない場合は、鉢の側面をゴムハンマーなどで軽く叩くと、鉢と根鉢の間に隙間ができて抜けやすくなります。
  3. 古い土を肩(上部)と根の周りから、手で優しく1/3程度落とします。根がガチガチに固まっている場合は、少しほぐしてください。
  4. 黒ずんで腐った根や、長すぎる根があれば、清潔なハサミでカットします。
  5. 新しい鉢に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を薄く敷き詰めます。
  6. 新しい土を鉢の1/4程度入れます。
  7. ポトスの株を中央に置き、高さを調整しながら隙間に新しい土を流し込みます。割り箸などで軽く突きながら入れると、隙間なく土が入ります。
  8. 植え替え後は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与え、剪定後と同様に数日間は明るい日陰で管理してください。

適切なポトスの剪定で元気にする

ポトスの剪定と、その後の管理や増やし方について詳しく解説しました。ポトスは非常に丈夫で、こちらのケアに応えてくれやすい植物です。要点を押さえて、ぜひ元気で美しいポトスを育ててください。最後に、この記事の要点をまとめます。

チェックリスト

  • ポトスの剪定は見た目を整え、健康を維持するために必要
  • 剪定不足は徒長や病害虫の原因になる
  • 剪定の最適な時期は成長が活発な5月〜10月
  • 気温が低い冬の剪定は株が弱るため避ける
  • 剪定には「切り戻し(整形)」と「摘心(増量)」の2種類がある
  • 切り戻しは伸びすぎたつるを短く仕立て直すために行う
  • 摘心は先端の芽を摘み、脇芽を増やしてボリュームを出すために行う
  • 剪定で切る場所は新しい芽が出る「節」のすぐ上が基本
  • 必ず節を株側に残すようにカットする
  • 作業時は雑菌を防ぐため清潔なハサミを使う
  • 樹液でかぶれることがあるため園芸用手袋の着用を推奨
  • 剪定した枝は挿し木で簡単に増やせる
  • 水差しは土を使わずに発根させられる最も簡単な方法
  • 水差しで発根させた後は水耕栽培も可能
  • 水耕栽培では根腐れ防止剤と専用肥料が役立つ
  • 剪定後は直射日光を避けた明るい日陰で養生させる
  • 水やりは土が乾いてからと、通常より控えめにする
  • 1〜2年に1回は根詰まり解消のために植え替えが必要
  • 植え替えも剪定と同じ生育期に行うのがベスト
  • この記事を書いた人
パキラを持つ運営者

まさび

『観葉植物のある暮らしスタイル』管理人のまさびです。失敗から学んだ実体験と深い知識で、観葉植物の育て方(特にパキラ)を優しく解説。あなたのグリーンライフを応援します。

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