パキラ

パキラの土配合ガイド!根腐れや害虫を防ぐ最適な作り方とは?

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

パキラの土配合ガイド!根腐れや害虫を防ぐ最適な作り方とは?

観葉スタイル・イメージ

大切なパキラを元気に育てたいけれど、パキラの土配合で悩んでいませんか?「水やりは気をつけているのに、なぜか元気がない…」その原因、もしかしたら土にあるかもしれません。

大切なパキラの植え替え失敗したくないけれど、肥料の選び方や厄介な根腐れ害虫の対策も気になりますよね。

100均の材料で手軽に済ませて良いのか、そもそもパキラは土じゃないと育ちませんか?という根本的な疑問や、パキラの土に鹿沼土は使えますか?といった具体的な質問もあるでしょう。

最近では土を使わない清潔なハイドロカルチャーも人気ですが、それぞれのメリット・デメリットをしっかり理解してから挑戦したいものです。

この記事では、そんなあなたの悩みを全て解決し、パキラがいつまでも生き生きと育つための土作りの秘訣を、基本から応用まで徹底的に解説します。

ポイント

  • パキラが本当に好む土の条件と基本的な考え方
  • 失敗の9割を占める根腐れや害虫を防ぐための具体的な土配合レシピ
  • 園芸店の土と100均の土、自作土のメリット・デメリットを徹底比較
  • 土を使わないハイドロカルチャーでの育て方の基本と注意点

失敗しないパキラの土配合の基本

失敗しないパキラの土配合の基本

観葉スタイル・イメージ

参考

  • 根腐れを防ぐ土づくりのポイント
  • 土が原因の害虫を発生させない工夫
  • パキラの土に鹿沼土は使えるか解説
  • 100均で揃う土配合の材料
  • 土作りに合わせた肥料の選び方

根腐れを防ぐ土づくりのポイント

根腐れを防ぐ土づくりのポイント

観葉スタイル・イメージ

パキラを育てる上で誰もが一度は直面する可能性のあるトラブルが「根腐れ」です。葉が黄色く変色したり、幹が柔らかくなったりした場合、その多くは根腐れが原因と考えられます。

この主な原因は、水のやりすぎという行為そのものよりも、与えられた水が鉢の中に留まり続けてしまう「土の排水性の悪さ」にあります。パキラの原産地は水はけの良い土壌であり、根が常に湿った状態に置かれることを極端に嫌う性質を持っています。

結論として、パキラの健康を維持し、根腐れを未然に防ぐためには「排水性」と「通気性」という2つの要素を最大限に高めた土づくりが最も重要です。

理想的な土とは、水やりをした際に余分な水分が数秒で鉢底から流れ出し、土の粒子間に常に新鮮な空気が循環している状態を指します。これにより、根は健全な呼吸を続けることができ、水分や養分を効率的に吸収することが可能になるのです。

具体的に土を配合する場合、多くの園芸家が利用する市販の「観葉植物用の土」は便利な選択肢ですが、製品によっては保水性を重視するあまり、パキラにとっては過湿になりがちなものも少なくありません。

そのため、市販品をベースにする場合でも、「パーライト(真珠岩)」や「赤玉土(小粒)」といった水はけを良くする無機質の用土を全体の2〜3割程度追加で混ぜ込むことを強く推奨します。このひと手間が、土全体の構造を改善し、根腐れのリスクを劇的に低減させます。

根腐れを絶対に防ぐための土づくり要点

  • 最優先事項:とにかく水が抜けること、空気が通ること。排水性と通気性の確保が全てです。
  • 黄金の配合比率(目安):観葉植物用の土7割に対し、パーライトや赤玉土などの無機用土を3割加える。
  • 物理的な基本対策:鉢底の穴を鉢底ネットで覆い、その上に鉢の高さの1/5程度の鉢底石を必ず敷くこと。これが水の通り道を確保する上で不可欠です。

「観葉植物用」のラベルを過信しない

「観葉植物用」と記載されていても、その配合は多種多様な植物に対応できるよう汎用的に作られています。特に、保水材として多用されるピートモスや腐葉土が多く配合されている土は、水分を長時間保持しやすい傾向にあります。

水やり後、土の表面に水たまりができる、あるいは土の乾きが遅いと感じたら、それは土壌環境が悪化しているサインかもしれません。すぐに水はけを改善する対策を検討しましょう。

土が原因の害虫を発生させない工夫

土が原因の害虫を発生させない工夫

観葉スタイル・イメージ

室内で大切に育てている観葉植物の周りを、コバエなどの小さな害虫が飛び回っている光景は、非常に不快なものです。実は、外部から侵入してくるケースもありますが、その発生源の多くは植木鉢の土そのものにあることをご存知でしょうか。

室内での害虫発生を未然に防ぐためには、有機質(腐葉土や堆肥など)の含有量が少ない、清潔な無機質の土を主体に用土を構成することが最も効果的な対策となります。

なぜなら、キノコバエといった室内でよく見られる害虫は、土に含まれる未熟な有機物をエサにしたり、湿った有機質土壌を産卵場所として好んだりするからです。(出典:アース製薬「【観葉植物に発生するコバエ】原因と駆除、予防方法をご紹介」

このため、特に室内で育てるパキラの土は、できるだけ有機物の配合を抑える意識が重要です。

赤玉土、鹿沼土、パーライト、バーミキュライトといった無機質の鉱物由来の用土を中心に配合することで、虫が好むジメジメした環境やエサとなる有機物を減らし、そもそも寄り付きにくいクリーンな土壌環境を維持できます。

土の表面を覆う「マルチング」で物理的にシャットアウト

すでに植え替えを終えた鉢でコバエが発生してしまった場合の応急処置として、土の表面を2〜3cmほどの厚さで無機質の用土(鹿沼土の小粒、ハイドロボール、化粧砂など)で覆う「マルチング」というテクニックも非常に有効です。

これにより、土の湿気を好むコバエが土の表面に降り立って産卵するのを物理的に防ぐ効果が期待できます。

マルチングはコバエ対策として非常に効果的なだけでなく、土の急な乾燥を防いだり、水やり時の土の跳ね返りを抑えたりするメリットもあります。何より、白い化粧石やバークチップなどでおしゃれに飾れば、お部屋のインテリア性をぐっと高めることもできるので一石二鳥ですよ。

パキラの土に鹿沼土は使えるか解説

パキラの土に鹿沼土は使えるか解説

観葉スタイル・イメージ

園芸用土としてポピュラーな鹿沼土ですが、「パキラの土にも使えるのだろうか?」と疑問に思う方もいるでしょう。

結論から言うと、パキラの土に鹿沼土は使用できます。ただし、その特性を理解し、単体で用いるのではなく、他の用土と混ぜて「土壌改良材」として活用するのが一般的です。

鹿沼土は、栃木県鹿沼市周辺で産出される軽石の一種で、多孔質(小さな穴がたくさん空いている)な構造から、非常に優れた排水性と通気性を持つのが最大の特徴です。

この鹿沼土を土に混ぜ込むことで、土全体の水はけを劇的に改善し、根腐れのリスクを大幅に下げることができます。また、土が締まって固くなるのを防ぎ、根が伸びやすいふかふかの状態を維持する効果も期待できます。

一方で、鹿沼土には知っておくべきデメリットも存在します。多孔質であるがゆえに保水性や保肥性(肥料を保持する力)は低いため、鹿沼土の割合が多すぎると土が乾燥しやすく、与えた肥料も流れやすくなります。

また、地質調査総合センターの報告書にもあるように、鹿沼土自体が酸性(pH4.0~5.0)を示すため、多用すると土全体が酸性に傾きすぎる可能性があり、植物の生育に必要な微量要素の吸収を妨げてしまうこともあります。

鹿沼土を配合するメリット・デメリット
メリット デメリット
排水性・通気性が大幅に向上する
根腐れ防止に絶大な効果を発揮します。
保肥性が低い
肥料成分が流れやすく、肥料切れを起こしやすいです。
土が固まるのを防ぐ
根が健全に伸長しやすい環境を維持します。
乾燥しやすい
水やりの頻度が上がり、管理が少し難しくなります。
無機質で清潔
病原菌や害虫がわきにくいクリーンな用土です。
土が酸性に傾きやすい
多くの観葉植物が好む弱酸性〜中性の範囲から外れる可能性があります。

おすすめの配合割合と使い方

パキラの土に鹿沼土を混ぜ込む場合、その割合は用土全体の1割から、多くても2割程度に留めておくのが無難です。

基本用土である赤玉土を主体に、栄養分を補う腐葉土やピートモスを混ぜ、そこに「水はけ調整役」として鹿沼土を少量加える、といった使い方が最もその長所を活かせるでしょう。

100均で揃う土配合の材料

100均で揃う土配合の材料

観葉スタイル・イメージ

近年、100均の園芸コーナーの品揃えは目覚ましく、土の配合に必要な基本的な材料を手軽に揃えることが可能になりました。

特に、これから観葉植物を始めたい方や、小さな鉢ひとつ分の土だけが必要といった方にとって、少量から購入できる100均の用土は非常に魅力的で便利な存在です。

しかし、100均の材料を利用する際には、そのメリットとデメリットの両方を冷静に理解しておくことが、後の失敗を防ぐために重要になります。

最大のメリットは、言うまでもなく圧倒的な手軽さとコストパフォーマンスの高さです。様々な種類の土が小袋で販売されているため、大きな袋を余らせることなく、必要な分だけを無駄なく購入できる点は大きな利点です。

その一方で、園芸専門店で扱われている専門用土と比較した場合、品質の安定性に欠ける可能性があるというデメリットも考慮しておく必要があります。

例えば、赤玉土の粒が崩れやすく、すぐに泥状になって水はけを悪化させてしまう「微塵(みじん)」が多く含まれていることがあります。また、製品によっては殺菌処理が徹底されておらず、稀に雑草の種や虫の卵などが混入している可能性もゼロではありません。

100均で手に入りやすい主な用土と注意点

  • 観葉植物の土:最も手軽ですが、製品によって配合が大きく異なります。水はけが悪いと感じたら、パーライトなどを追加しましょう。
  • 赤玉土:硬質のものを選びたいところですが、100均では軟質のものがほとんどです。使用前にふるいにかけて微塵を取り除くと良いでしょう。
  • 鹿沼土:赤玉土同様、微塵を取り除いてから使うことをお勧めします。
  • パーライト:水はけ改善の必需品。これは品質の差が出にくいため、100均でも安心して利用しやすい材料の一つです。
  • 鉢底石:ネットに入っているタイプもあり便利ですが、粒の大きさが揃っているか確認しましょう。

100均の土が「悪い」というわけでは決してありません。特性を理解し、ひと手間加えることで十分に活用できます。

例えば、使用前にビニールシートに広げて天日干しするだけでも、殺菌・殺虫効果が期待できます。まずは小さな鉢で試してみて、その土のクセを掴んでから本格的に使用するのが賢い使い方と言えるでしょう。

土作りに合わせた肥料の選び方

土作りに合わせた肥料の選び方

観葉スタイル・イメージ

パキラの健やかな成長のためには、水や光だけでなく、適切な肥料による栄養補給が欠かせません。

そして、その肥料の選び方や与えるタイミングは、どのような土を使っているかによって大きく左右されるということを覚えておく必要があります。土の性質と肥料の種類を合わせることで、初めて効果的な栄養管理が可能になります。

例えば、多くの市販の培養土には、腐葉土や堆肥などの有機質が豊富に含まれており、さらに「元肥(もとごえ)」として、植物が初期に必要とする栄養分があらかじめ配合されていることがほとんどです。

このような土を使用した場合、植え替え後しばらく(約1ヶ月程度)は追加で肥料を与える必要はなく、むしろ与えすぎが「肥料焼け」という根を傷める原因になりかねません。

その逆に、赤玉土や鹿沼土といった無機質の用土を主体に自作した土は、それ自体には植物が利用できる栄養分がほとんど含まれていません。

この場合は、植え付け時に緩効性(ゆっくり効くタイプ)の化成肥料を土に混ぜ込むか、成長期(春〜秋)に定期的に液体肥料を与えて栄養を補給する必要があります。

土のタイプ別・最適な肥料の与え方
土のタイプ 最適な肥料の与え方 管理のポイント
市販の培養土(元肥入り) 製品の表示に従い、生育期に追肥(液体肥料または置き肥)を行う。 元肥が含まれているため、植え替え直後の施肥は厳禁。肥料の与えすぎに最も注意が必要なタイプです。
自作の土(有機質入り) 元肥として緩効性肥料を混ぜ込み、生育期には追肥も行う。 有機物が微生物によって分解される過程でも緩やかに栄養が供給されますが、それだけでは不足しがちです。
自作の土(無機質中心) 元肥は必須。さらに、生育期には定期的な液体肥料での追肥が不可欠。 土に肥料を保持する力(保肥性)が低いため、肥料が水やりで流れやすいです。そのため、薄めの液体肥料をこまめに与えるのが効果的です。

植え替え直後の施肥は絶対にNG!

これは全ての土に共通する鉄則です。どのような土を使った場合でも、植え替え直後(最低でも2週間、できれば1ヶ月間)は一切の肥料を与えないでください。

植え替えで多かれ少なかれダメージを受けた根にとって、肥料の濃い成分は大きな負担となり、回復を妨げるだけでなく、最悪の場合、根を枯らしてしまう原因になります。

パキラの土配合を活かす植え替え術

パキラの土配合を活かす植え替え術

観葉スタイル・イメージ

参考

  • 植え替え時期と手順の基本
  • 植え替え失敗しないための注意点
  • 土を使わないパキラの育て方とは
  • ハイドロカルチャーへの植え替え方法
  • パキラは土じゃないと育たないのか?

植え替え時期と手順の基本

植え替え時期と手順の基本

観葉スタイル・イメージ

パキラが購入時のままの鉢で元気に成長を続けていても、いずれは植え替えが必要になります。

植え替えは、窮屈になった鉢の中で行き場を失った根(根詰まり)を解放し、新しい土で新鮮な酸素や栄養を供給するための、いわば「新しい家への引越し」作業です。これを怠ると、成長が止まるだけでなく、根腐れや水切れの原因にもなります。

植え替えに最も適した時期は、パキラの生命力が最も高まる成長期の5月〜9月頃です。この時期は気候が安定し、気温も高いため、植え替え作業で根が多少傷ついても、その後の回復が非常にスムーズに進みます。

特に梅雨時期は、湿度が高く植物の活動が活発になるため、絶好のタイミングと言えるでしょう。逆に、成長が緩やかになる冬場の休眠期に植え替えを行うと、回復に時間がかかり、株全体が弱ってしまうリスクが高いため、特別な事情がない限りは避けるべきです。

これは植え替えのサイン!見逃さないで

参考

  • 鉢の底穴から根がはみ出してきている:最も分かりやすい根詰まりのサインです。
  • 水を与えても土への染み込みが悪い、またはすぐ抜ける:鉢の中が根でいっぱいになっているか、土が劣化して固まっている証拠です。
  • 鉢に対して株が大きくなり、バランスが悪く倒れやすい:見た目の問題だけでなく、根が十分に張れていない可能性があります。
  • 購入・前回の植え替えから2年以上経過している:目に見えるサインがなくても、土の劣化や栄養不足が進んでいます。

初心者でも安心!基本的な植え替え手順

  1. 準備を万端に現在の鉢よりひと回り(直径で3cm程度)大きい鉢、新しい土、鉢底ネット、鉢底石、清潔なハサミ、割り箸などを用意します。
  2. 優しく鉢から抜く数日前から水やりを控え、土を乾燥させておくと作業しやすくなります。鉢の側面を軽く叩き、株元を持ってゆっくりと引き抜きます。
  3. 根を丁寧に整理する固まった古い土を手で優しく1/3程度落とします。この時、黒く変色してぶよぶよした根(腐った根)や、異常に長い根があれば、清潔なハサミでカットします。健康な白い根はなるべく傷つけないように注意してください。
  4. 新しい鉢に植え付ける新しい鉢の底に鉢底ネットと鉢底石を敷き、新しい土を少し入れます。その上に株を中央に配置し、高さを見ながら隙間に新しい土を丁寧に流し込みます。割り箸などで軽く突き、根の隙間まで土がしっかり行き渡るように馴染ませるのがコツです。
  5. 最後の仕上げの水やり植え付けが完了したら、鉢底から透明な水が流れ出るまで、たっぷりと惜しみなく水を与えます。これにより、土の微塵が洗い流され、根と土がしっかりと密着します。

植え替え失敗しないための注意点

土を使わないパキラの育て方とは

観葉スタイル・イメージ

手順通りに行ったはずの植え替えで失敗し、かえってパキラを弱らせてしまうケースは少なくありません。植え替えの失敗は、主に「根の扱い方」と「植え替え後の管理方法」という2つのポイントでの誤解や知識不足から生じます。

まず、根を整理する際の注意点として、健康な根まで過度に落としすぎないことが挙げられます。「古い土はすべて洗い流した方が良い」という情報を見かけることがありますが、これはデリケートな観葉植物にとっては大きなストレスです。

根についた土は、植物と共生する微生物の住処でもあり、すべてを取り去ることは株の活力を著しく低下させます。固まった土を優しくほぐし、明らかに腐敗している黒ずんだ根を取り除く程度に留めるのが、失敗しないための重要なコツです。

次に、鉢のサイズ選びも失敗を左右する大きな要因です。大きく成長してほしいという親心から、いきなり大きすぎる鉢に植え替えるのは典型的な失敗例です。鉢が大きすぎると、植物が吸水するスピードよりも土が乾くスピードが遅くなり、結果として鉢の中が常に過湿状態になります。

これは、自ら根腐れしやすい環境を作り出しているのと同じことです。原則として、元の鉢よりひと回り(号数で1号、直径で3cm程度)大きいサイズを選ぶのが鉄則です。

植え替え後の「過保護」が失敗を招く!

参考

  • 置き場所:植え替え後、最低でも1〜2週間は、直射日光の当たらないレースのカーテン越しくらいの「明るい日陰」で安静にさせます。新しい根が活動を始めるまでは、強い光は回復を妨げるストレスにしかなりません。
  • 水やり:植え付け直後にたっぷりと与えた後は、土の表面が完全に乾くまで次の水やりは我慢します。根がまだ水を十分に吸えない状態で頻繁に水を与えると、簡単に根腐れを起こします。「少し乾かし気味」を意識することが成功の秘訣です。
  • 肥料:前述の通り、植え替え後1ヶ月は絶対に肥料を与えないでください。弱った胃にステーキを食べさせるようなものです。まずは自力で回復するのを見守りましょう。

土を使わないパキラの育て方とは

土を使わないパキラの育て方とは

観葉スタイル・イメージ

パキラは非常に生命力が強く、順応性にも富んでいるため、実は土を使わない方法でも十分に育てることが可能です。土を使わずに植物を育てる方法は「水耕栽培(すいこうさいばい)」と総称され、特に室内で清潔にグリーンを楽しみたい方々から大きな支持を集めています。

代表的な方法としては、セラミックや粘土を高温で焼いて発泡させた人工の石を使う「ハイドロカルチャー」や、剪定した枝をそのまま水に挿して育てる「水栽培(水挿し)」があります。

これらの方法は、土を一切使用しないため、土壌に潜む病原菌や害虫の発生リスクが極めて低く、無臭で衛生的という、室内園芸における大きなメリットを提供してくれます。

土を使わない育て方の3大メリット

  • 圧倒的に衛生的:有機質の土を使わないため、コバエなどの不快な害虫が発生する心配がほとんどありません。アレルギーが心配な方や、キッチン周りに置きたい場合にも最適です。
  • 水やり管理が簡単:透明なガラス容器などを使えば、水の残量がひと目で確認できます。「いつ水をあげればいいか分からない」という初心者の方でも、水のやりすぎや水切れといった失敗を防ぎやすくなります。
  • 高いインテリア性:容器や培地のデザインを自由に選べるため、お部屋の雰囲気に合わせたスタイリッシュな演出が可能です。カラフルなゼリー状のボールを使う方法もあります。

もちろん、メリットばかりではありません。土壌栽培に比べて、根が常に水に触れている状態になるため、水の管理を怠ると根が酸欠を起こし、かえって根腐れしやすいという側面もあります。

また、培地自体には栄養分が全く含まれていないため、定期的に専用の液体肥料を与えて栄養を補給し続けなければなりません。植物を大きく、たくましく成長させるという点においては、多様な栄養素や微生物を含む土壌栽培に軍配が上がると言えるでしょう。

ハイドロカルチャーへの植え替え方法

ハイドロカルチャーへの植え替え方法

観葉スタイル・イメージ

すでに土で育てているお気に入りのパキラを、おしゃれなハイドロカルチャーに植え替えることも、もちろん可能です。ハイドロカルチャーへの植え替えを成功させるための、最も重要かつ不可欠なポイントは、「根に付着した土を、洗い残しなく完全に除去すること」です。

なぜなら、土の有機成分や土壌中の雑菌が少しでも残ったまま水だけの環境に移してしまうと、それが水中で腐敗を始め、水質を悪化させ、最終的に根全体を腐らせてしまう直接的な原因となるからです。

少し手間と時間はかかりますが、この最初の「洗浄」の工程をいかに丁寧に行うかが、その後の成否を分けると言っても過言ではありません。

誰でもできる!ハイドロカルチャーへの植え替え完全手順

  1. 万全の準備まず、穴の空いていないお好みの容器(最初は透明なガラス製がおすすめ)、培地となるハイドロボール(使用前に軽く水洗いしておく)、そして非常に重要な「根腐れ防止剤(ゼオライトなど)」、水耕栽培用の液体肥料を用意します。
  2. 丁寧な土落とし鉢からパキラを優しく抜き、根鉢を大まかに手でほぐして土を落とします。その後、バケツなどに溜めた常温の水の中で、根を傷つけないように優しく振り洗いします。根の隙間に入り込んだ土も、指の腹で丁寧に揉み出すようにして、完全に洗い流します。
  3. 根の剪定土をきれいに洗い流したら、根の状態をよく観察します。黒ずんで傷んだ根や、長すぎる根があれば、清潔なハサミで切り詰めて整理します。
  4. 慎重な植え付け容器の底が見えなくなる程度に根腐れ防止剤を敷き詰めます。その上にハイドロボールを少し入れ、パキラの株を中央に据えます。株が倒れないように手で支えながら、周りからハイドロボールを優しく注ぎ入れて株を安定させます。
  5. 最初の水やり最後に、容器の高さの1/5程度まで水を注ぎ入れます。水を入れすぎると根が呼吸できなくなるので、この水位が非常に重要です。

ハイドロカルチャーが初めてで不安な方は、水の量が視覚的に分かりやすいように、ぜひ透明なガラス容器を使ってみてください。「イオン交換樹脂栄養剤」という、肥料と根腐れ防止が一体になった便利な製品もあるので、活用すると管理がさらに楽になりますよ。

パキラは土じゃないと育たないのか?

パキラは土じゃないと育たないのか?

観葉スタイル・イメージ

「植物は土で育つもの」というイメージが強いですが、パキラは土じゃないと育たないのか?という疑問に対する答えは、明確に「いいえ」です。パキラは土がなくても、適切な環境さえ整えれば十分に育ちます。

前述の通り、パキラは非常に丈夫で環境適応能力が高いため、ハイドロカルチャーや水栽培といった土以外の環境でも元気に成長することができます。

そもそも植物が成長するために不可欠な要素は「水」「光」「空気(酸素)」そして「栄養」の4つであり、土はあくまでそれらを根に効率よく供給するための「媒体(培地)」の一つに過ぎないのです。

水耕栽培では、土の代わりに水やハイドロボールが根を支え、水分と空気を供給する役割を担い、不足する栄養素は液体肥料によって人為的に供給します。土栽培と水耕栽培、どちらの育て方にもそれぞれ素晴らしいメリットと、知っておくべきデメリットがあります。

どちらか一方が優れているというわけではなく、ご自身のライフスタイルや植物を育てる目的に合わせて、最適な方法を選ぶのが最も良い選択と言えるでしょう。

【あなたに合うのはどっち?】土栽培vs水耕栽培おすすめ診断
  土栽培がおすすめな人🌱 水耕栽培がおすすめな人✨
育て方の目的 ・パキラを大きく、太く、たくましく育てたい
・剪定や植え替えなど、植物本来の成長サイクルを楽しみたい
・将来的に花や実を見てみたい(実生株の場合)
・とにかく室内を清潔に保ちたい
・虫が苦手、土を触るのに抵抗がある
・植物をインテリアの一部としてお洒落に飾りたい
ライフスタイル ・植物の状態を日々観察し、土の乾き具合を見て水やりをするのが好き
・植え替えなどの園芸作業を楽しいと感じる
・ベランダなど、作業スペースを確保できる
・出張や旅行などで家を空けることが多い(水管理が楽)
・ズボラさんでも失敗しにくい育て方をしたい
・植物の根が伸びる様子も観察してみたい

最適なパキラの土配合で元気に育てる

チェックリスト

  • パキラの土で最も重要なのは過湿を防ぐ排水性と通気性
  • 根腐れの最大の原因は水のやりすぎと水はけが悪い土の組み合わせ
  • 市販の観葉植物の土にはパーライトや赤玉土を追加すると格段に良くなる
  • 室内栽培での害虫予防には有機質の少ない無機質な用土が効果的
  • 土の表面を化粧砂などで覆うマルチングも害虫対策として有効
  • 鹿沼土は排水性を高めるが全体の1〜2割に留め、酸性に傾きすぎないよう注意する
  • 100均でも用土は揃うが、品質を見極め、微塵を取り除くなどひと手間かけるのが望ましい
  • 土の性質(有機質か無機質か)を理解し、それに合わせて肥料の種類や与え方を変える
  • 植え替えの最適期は植物の生命力が高まる成長期の5月〜9月
  • 植え替え時に大きすぎる鉢を選ぶと、過湿を招き根腐れの原因になるため厳禁
  • 植え替え後は直射日光を避けた明るい日陰で、水やりを控えめに管理するのが成功のコツ
  • パキラは土を使わないハイドロカルチャーでも十分に育てられる
  • ハイドロカルチャーは衛生的で水やり管理が楽、インテリア性が高いのが魅力
  • 土からハイドロカルチャーへ植え替える際は、根を傷つけないよう完全に洗い清潔にすることが最も重要
  • 植物を大きく育てたいなら土栽培、手軽さと清潔さを求めるなら水耕栽培がおすすめ
  • この記事を書いた人
パキラを持つ運営者

まさび

『観葉植物のある暮らしスタイル』管理人のまさびです。失敗から学んだ実体験と深い知識で、観葉植物の育て方(特にパキラ)を優しく解説。あなたのグリーンライフを応援します。

-パキラ
-, , , ,