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大切に育てているエバーフレッシュ。その成長の過程で「エバーフレッシュの花から実になるの?」という、新たなステージへの期待と疑問を抱いたことはありませんか。
そもそもエバーフレッシュの花は珍しいものなのか、せっかく咲いたこの機会を逃さないために、花が咲く条件や具体的な花 咲かせ方について詳しく知りたい方も多いでしょう。
いざ花が咲いても、正しい受粉の仕方を理解していないと、残念ながら実がならないこともあります。この記事では、エバーフレッシュの受粉から実がなるまでの全ステップをより深く、そして分かりやすく解説します。
実がなった後その実をどうするのか?また、種の収穫方法や保管方法、さらには未来の楽しみであるエバーフレッシュの発芽率はどのくらいなのかも紹介。
中にはユニークな見た目の実なので気持ち悪いと感じる方や、エバーフレッシュの実は食べるものなのか気になる方もいるかもしれません。
また、エバーフレッシュは毎日水やりが必要ですか?といった日々の管理に関する基本的な疑問にも丁寧にお答えし、あなたのグリーンライフを全力でサポートします。
ポイント
- エバーフレッシュの開花から受粉までの具体的な流れ
- 受粉後に実がならない原因とその対策
- 実がなってから種を収穫するまでの管理方法
- 収穫した種の保管方法と発芽させるコツ
Contents
エバーフレッシュの受粉から実がなるまでの基本

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参考
- エバーフレッシュの花は珍しい?
- エバーフレッシュの花が咲く条件は?
- そもそもエバーフレッシュの花から実になるの?
- 自宅でできる簡単な受粉の仕方
- 受粉させても実がならない原因
- 花の咲かせ方のコツ
エバーフレッシュの花は珍しい?

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結論から言うと、エバーフレッシュの花が咲くこと自体は、植物学的に見て決して珍しい現象ではありません。
しかし、実際に育てている愛好家の中でも「うちのエバーフレッシュは花が咲かない」という声が多いのもまた事実です。
このギャップは、エバーフレッシュが開花するために要求する、いくつかの繊細な条件を家庭環境で満たすことが難しいことに起因します。
本来、原産地である中南米の熱帯地域ではごく普通に開花する樹木です。しかし、日本の室内環境は、一年を通した日照時間や温度、湿度のサイクルが原産地とは大きく異なります。
そのため、植物が「子孫を残す(開花する)準備ができた」と判断するスイッチが入りにくいのです。
つまり、花そのものが希少なのではなく、「日本の一般的な室内環境で咲かせるのが、やや難しい」というのが正確な理解となります。
もしあなたのエバーフレッシュに花が咲いたのなら、それは日々の丁寧な管理が実を結び、植物がその環境に非常に満足している最高のサインです。
まずはご自身を褒めてあげて、自信を持って次の「結実」というステップに進んでみましょう!
ちなみに、エバーフレッシュの花は、直径3cmほどのクリームイエローの細い糸が集まった、タンポポの綿毛のような非常に愛らしい姿をしています。
ほのかに固形石鹸のような清潔感のある香りがすることもあります。ただ、その優美な葉の印象が強いため、開花していても気づかれにくいことも。
花の寿命は数日から一週間程度と短いため、緑色の丸い蕾を見つけたら、ぜひ毎日その変化を観察してみてください。
エバーフレッシュの花が咲く条件は?

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エバーフレッシュがその美しい花を咲かせるためには、人間と同じように、まず健康で十分に成熟している必要があります。
その上で、開花のスイッチを入れるためのいくつかの環境要因が重要になります。ここでは、開花に不可欠な主要条件をさらに詳しく掘り下げて解説します。
1. 十分な光量
植物が花を咲かせるには、光合成によって大量のエネルギーを生産・蓄積する必要があります。そのため、日照不足は開花できない最も一般的な原因の一つです。
理想的なのは、レースカーテン越しに柔らかな自然光が長時間差し込むような場所です。強すぎる直射日光は「葉焼け」を起こし、葉が白っぽく変色してしまうため避けましょう。
2. 適切な温度サイクル
エバーフレッシュの生育適温は20℃前後とされています。特に、春から夏にかけて気温が安定して暖かい時期が続くことで、花芽の形成が促されます。
冬の寒さは苦手で、この時期に株が弱ると、春以降の開花は難しくなります。冬越しは必ず室内で行い、最低でも10℃、できれば15℃以上を保つのが理想です。
3. 株の成熟度(年齢)
若い株は、まず自身の体を大きくする「栄養成長」を優先するため、すぐには花を咲かせません。子孫を残すための「生殖成長」にエネルギーを割けるようになるには、ある程度の成熟が必要です。
一般的に、種から育てた実生の株が開花するまでには、少なくとも4〜5年、時にはそれ以上の年月がかかると言われています。園芸店で販売されているある程度成長した株であれば、環境に慣れた2〜3年目に花を咲かせることもあります。
開花条件チェックリスト
ご自身の育成環境がこれらの条件を満たしているか、一度チェックしてみましょう。
チェック項目 | 理想的な状態 | ワンポイントアドバイス |
---|---|---|
光 | 年間を通して明るい半日陰 | 直射日光は避ける。窓際に置く場合はレースカーテンを引く。 |
温度 | 生育期:20℃前後 / 冬季:10℃以上 | 冬は窓際の冷気に注意。部屋の中央寄りに移動させる。 |
年齢 | 購入後2年以上経過(目安) | 若い株は焦らず、まずは大きく健康に育てることを目標にする。 |
健康状態 | 葉の色が濃く、新芽が定期的に出る | 根詰まりや病害虫がないか定期的に確認する。 |
これらの条件を辛抱強く満たしてあげることで、エバーフレッシュはそれに応え、やがて美しい花という形で私たちを喜ばせてくれるでしょう。
そもそもエバーフレッシュの花から実になるの?

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はい、もちろんです。エバーフレッシュは花が咲いた後、「受粉」という重要なプロセスが成功すれば、特徴的な実をつけます。
エバーフレッシュは植物分類上、マメ科に属しており、私たちに馴染み深いインゲンマメやエダマメなどと同じように、花の後には「莢(さや)」と呼ばれる実を形成します。
この莢の中に、次世代へと命をつなぐための種子が作られるのです。
ただし、花が咲きさえすれば自動的に実がなるわけではありません。結実のためには、おしべで作られた花粉が、めしべの先端(柱頭)に付着する「受粉」が不可欠です。
原産地の自然環境下では、昆虫や風がその役割を担っていますが、そのような媒介者がほとんどいない日本の室内環境では、受粉が成立せずに花が落ちてしまうケースが非常に多いのが実情です。
豆知識:マメ科植物と根粒菌の関係
エバーフレッシュを含むマメ科の植物は、「根粒菌(こんりゅうきん)」という土壌中のバクテリアと共生関係にあります。
根に小さなこぶ(根粒)を作り、その中に根粒菌を住まわせる代わりに、植物が直接利用できない空気中の窒素を、栄養として使える形に変えてもらうのです。
この働きにより、比較的痩せた土地でも元気に育つことができます。農研機構の解説によると、この共生関係は持続可能な農業においても非常に重要な役割を果たしています。
このように、花から実へとステージを進めるためには、「受粉」という関門をクリアすることが絶対条件となります。
室内での栽培で結実を目指すのであれば、私たちが昆虫の代わりとなり、人工的に受粉を手伝ってあげる「人工受粉」が、最も効果的で確実な手段となるのです。
自宅でできる簡単な受粉の仕方

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室内で育てるエバーフレッシュの結実を成功させる鍵は、「人工受粉」にあります。
「人工」と聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、実際は非常にシンプルで、誰でも簡単に行うことができます。特別な道具も必要ありません。
準備するものは、綿棒、あるいは化粧用の筆や絵筆など、先端が柔らかいものであれば何でも構いません。
花粉は黄色いため、黒い綿棒を使うと花粉が付着したかどうかが一目で分かり、作業がしやすくなるのでおすすめです。
人工受粉の簡単3ステップ
- ベストなタイミングを狙う
花が完全に開ききって、ポンポンのようなふわふわの状態になった時が受粉のチャンスです。一般的に、開花してから2~3日目が最も花粉が多く、受粉に適しているとされています。 - 花粉を優しく採取する
綿棒や筆の先端で、無数にある黄色い糸状のおしべの先端(葯)を、撫でるように優しく触れます。綿棒の先に黄色い粉(花粉)がはっきりと付着すれば、採取は成功です。 - めしべに花粉を付ける
エバーフレッシュの花をよく観察すると、大多数の黄色いおしべの中に、1〜2本だけ少し長く、先端の形が違う白い糸状のめしべがあります。ステップ2で採取した花粉を、そのめしべの先端(柱頭)に、ポンポンと優しく乗せるように付けてあげます。
受粉作業を行う上での重要注意点
エバーフレッシュの花は非常に繊細です。作業中に力を入れすぎると、花が傷ついたり、ぽろりと落ちてしまうことがあります。あくまで「優しく、そっと触れる」ことを常に意識してください。
また、植物の活動が活発になる、湿度の低い晴れた日の午前中に行うと、成功率が上がると言われています。
もし複数の花が同時に咲いているのなら、それぞれの花から花粉を取り、別の花へ付けてあげる「交配」を行うと、遺伝子の多様性が生まれ、より結実の確率が高まる可能性があります。
一度の作業で成功するとは限らないため、2〜3日間、毎日繰り返し受粉作業を行うことを強くおすすめします。
受粉させても実がならない原因

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時間をかけて丁寧に人工受粉を行ったにもかかわらず、数日後に花がポロリと落ちてしまい、実がつかない…。これは非常に残念な瞬間ですが、決して珍しいことではありません。
その場合、いくつかの原因が複合的に影響している可能性があります。失敗から学ぶことで、次の開花シーズンでの成功率を格段に高めることができます。
最も一般的に考えられる原因は、受粉のタイミングのミスマッチです。多くの植物には、自身の花粉で受粉してしまう「自家受粉」を避けるための巧妙な仕組みが備わっています。
エバーフレッシュの近縁種であるネムノキでは、おしべが先に成熟して花粉を出し、その数日後にめしべが成熟する「雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)」という性質が知られており、エバーフレッシュも同様の性質を持つ可能性が考えられます。
タイミングのズレを克服するアイディア
もし「雄性先熟」が原因であれば、開花2日目頃の最も花粉が多い時期に採取した花粉を、綿棒に付けたまま乾燥しないようにビニール袋などに入れて保存しておきます。
そして、おしべが少し萎れ始めた開花4〜5日目頃に、保存しておいた花粉をめしべに付ける、という時間差攻撃が有効かもしれません。
その他の複合的な原因と対策
タイミング以外にも、植物の状態や環境が大きく影響します。
考えられる原因 | 具体的な状況 | 試すべき対策 |
---|---|---|
株の体力不足 | そもそも実を育て上げるだけのエネルギーが株に蓄えられていない。日照不足や栄養不足が背景にある。 | 開花前からの適切な施肥。日当たりの良い場所での管理を徹底する。 |
急激な環境変化 | 受粉が気になり、鉢を頻繁に動かしたり、置き場所を大きく変えたりした。 | 開花から結実が確認できるまでは、できるだけ同じ場所で静かに管理する。 |
水分の過不足 | 開花・受粉期に極端な水切れを起こした、あるいは逆に土が常に湿った状態だった。 | 土の表面が乾いたらたっぷり与える、という基本をより丁寧に行う。 |
遺伝的な要因 | 株によっては、そもそも自家受粉では結実しにくい性質(自家不和合性)を持っている可能性もある。 | こればかりは対策が難しいですが、別の株をもう一つ育て、異なる株同士で交配させてみる価値はあります。 |
もし今回実がならなかったとしても、それはあなたの管理が悪かったわけではなく、植物の持つ自然なサイクルの結果です。
決して落胆せず、まずは元気に夏を越し、来シーズンの開花を目指して愛情を注ぎ続けることが何よりも大切です。
花の咲かせ方のコツ

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前述の通り、エバーフレッシュの開花には健康な株の状態が不可欠です。
ここでは、日々の基本的なお世話に加えて、開花を力強く後押しするための、一歩進んだ「花の咲かせ方のコツ」を具体的にご紹介します。
1. 戦略的な剪定でエネルギーを凝縮
エバーフレッシュは非常に成長が旺盛で、放置すると枝葉が過密になりがちです。これにより風通しが悪くなるだけでなく、栄養が葉や茎の成長にばかり使われてしまいます。
花芽が形成される前の春先(5月頃)に、伸びすぎた枝や内向きに生えている不要な枝を剪定することで、株全体のエネルギーを花芽の形成へと効率よく集中させることができます。
剪定する際は、茎の節にある「成長点」の少し上で切るのがポイントです。
2. 「リン酸」を意識した肥料選び
植物の成長には「肥料の三要素」である窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)が重要です。このうち、花や実の成長を直接的にサポートするのが「リン酸(P)」です。
葉の成長を促す「窒素(N)」が多すぎる肥料を与え続けると、「葉ボケ」といって葉ばかりが茂り、花がつきにくくなることがあります。
春から秋の成長期には、リン酸の比率がやや高めに配合された市販の液体肥料を、規定通りに薄めて2週間に1回程度与えると効果的です。
肥料は人間でいうサプリメントのようなもの。与えすぎはかえって根を傷め、逆効果になります。必ず商品の説明書に記載された使用量と頻度を守ってくださいね。
3. 植え替えによる根の健康診断とリフレッシュ
鉢の中で根がぎゅうぎゅうに詰まってしまう「根詰まり」は、植物の成長を妨げる大きな要因です。根が水分や養分を十分に吸収できなくなり、株全体の活力が失われてしまいます。
1〜2年に1回、5月〜9月の成長期に、一回り大きな鉢に植え替えることを強くおすすめします。植え替えの際には、古い土を3分の1ほど優しく落とし、黒ずんで腐った根があれば清潔なハサミで切り取りましょう。
新しい土と広いスペースを得て、根がのびのびと活動できるようになることが、株全体の健康、ひいては開花へと繋がります。
エバーフレッシュの受粉後、実がなるまでの育て方

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参考
- 実がなったらその実はどうする?
- エバーフレッシュは毎日水やりが必要ですか?
- 赤い実は食べるもの?見た目が気持ち悪い?
- 種の収穫時期と保管方法
- エバーフレッシュの発芽率はどのくらい?
- 総括:エバーフレッシュの受粉で実がなるまで
実がなったらその実はどうする?

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受粉に成功し、花の付け根から緑色の細長いさや(実)が顔を覗かせ始めたら、それは次なるステージの幕開けです。
この大切な実をどう扱うべきか、主な選択肢は「①種を収穫するために、そのまま成熟させる」か「②株の体力を温存するために、早めに摘み取る」の2つになります。
多くの場合、せっかく成功した結実ですから、そのまま成長のプロセスを楽しみ、最終的に種を収穫することをおすすめします。
実は数週間から数ヶ月という長い時間をかけてゆっくりと成長し、鮮やかな緑色から目を引く赤色へとドラマチックに変化していきます。
この生命の移ろいを日々観察できるのは、植物を育てる者だけが味わえる特権的な喜びです。
しかし、忘れてはならないのが、結実と種の成熟は植物にとって膨大なエネルギーを消耗する大仕事であるという点です。
もし、あなたのエバーフレッシュがまだ若く小さな株であったり、夏の厳しい暑さで少し元気がなさそうに見える場合は、あえて実を早めに摘み取り、株本体の成長や体力回復を優先させるというのも、愛情ある賢明な判断と言えます。
特に、一度にたくさんの実がついた場合は、元気の良いものを2〜3個だけ残して他は摘み取る「摘果(てきか)」をしてあげると、株への負担を軽減できます。
実を成熟させる場合の管理ポイント
実を収穫まで育てる場合も、特別な管理は基本的に不要です。これまで通り、日当たりや風通し、水やりの基本を守り続けましょう。
実が成長するにつれてその重みで枝がしな垂れ下がってくることがありますが、これは自然な過程なので、無理に支柱などで支える必要はありません。
さやが美しい赤色に染まり、やがて自然に裂けて中から黒く輝く種が見えてくるその時まで、焦らずじっくりと見守ってあげましょう。
エバーフレッシュは毎日水やりが必要ですか?

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この質問は、園芸初心者からベテランまで、多くの方が抱く疑問の一つです。結論から申し上げますと、「毎日機械的に水やりをするのは間違い」です。
水の与えすぎは、土中の酸素不足を招き、根が呼吸できずに腐ってしまう「根腐れ」を引き起こします。これは観葉植物を枯らす原因の第一位とも言える、最も避けたいトラブルです。
水やりの絶対的な基本原則は、「土の表面が乾いたことを確認してから、鉢底の穴から水が十分に流れ出るまでたっぷりと与える」ことです。
この「乾いたら、たっぷり」のメリハリが、健康な根を育てる鍵となります。
特に、花が咲いてから実が成熟するまでのデリケートな期間は、水の管理が結実の成否を左右することもあります。
この時期に深刻な水切れを起こすと、植物は自身を守るために実を落としてしまうことがあります。逆に、常に土が湿っている過湿状態も、根にダメージを与え、実を育てる体力を奪ってしまいます。
季節と環境に応じた水やり頻度の目安
季節 | 水やりの頻度(目安) | 注意点 |
---|---|---|
春〜秋(成長期) | 3日〜1週間に1回程度 | 土の乾きが早い。特に夏場は水切れに注意が必要。 |
冬(休眠期) | 1〜2週間に1回程度 | 成長が緩やかで水の吸い上げも少ない。乾燥気味に管理する。 |
※上記はあくまで目安です。鉢のサイズ、土の種類、日当たり、風通しによって乾くスピードは大きく変わります。
「葉水」は毎日でも効果的
土への水やりとは異なり、霧吹きで葉全体に水を吹きかける「葉水」は、空気中の湿度を好むエバーフレッシュにとって非常に有効です。
乾燥を防ぐだけでなく、葉の表面に付着するハダニなどの害虫を洗い流す効果も期待できます。
こちらは季節を問わず、毎日行っても問題ありません。特にエアコンの風で乾燥しがちな室内では、こまめな葉水が健康維持に繋がります。
最も大切なのは、「昨日あげたから、今日はあげない」というルールではなく、毎日必ず植物の状態を見て、土を実際に指で触ってその湿り気を確認する習慣です。
植物との対話こそが、水やりマスターへの一番の近道です。
赤い実は食べるもの?見た目が気持ち悪い?

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無事に成熟期を迎えたエバーフレッシュの実は、鮮やかな赤色に染まったさやが螺旋状にねじれ、その裂け目から光沢のある黒い種子が顔を覗かせるという、非常にユニークで芸術的な姿を見せます。
この独特の造形美に生命の神秘を感じる人がいる一方で、その形状や色のコントラストから「少し不気味」「虫のようで気持ち悪い」と感じる方がいるのも事実です。
これは個人の感性の問題であり、どちらが正しいというものではありません。ただ、これはエバーフレッシュが子孫を残すために進化してきた、機能美あふれる自然な姿なのです。
【重要】エバーフレッシュの実は食べられるのか?
そして、最も重要な安全性に関する情報です。結論として、エバーフレッシュの実および種子は、絶対に食べてはいけません。
マメ科の植物であるため、見た目が食用の豆に似ているかもしれませんが、これらはあくまで観賞用の植物であり、食用の安全性は一切確認されていません。
どのような成分が含まれているか科学的に解明されておらず、人体に有害なアルカロイドなどの毒性物質を含む可能性も完全に否定できません。
実際に、観賞用の植物を誤って摂取したことによる健康被害の事例は、厚生労働省からも注意喚起がなされています。
小さなお子様やペットがいるご家庭は特に注意!
子供やペットは、色鮮やかなものを興味本位で口にしてしまう危険性があります。
万が一の事故を防ぐためにも、実がついたエバーフレッシュは、彼らの手の届かない場所に移動させるなどの対策を徹底してください。
実はあくまで「見て楽しむもの」「種を採るためのもの」と正しく理解し、安全にグリーンライフを楽しみましょう。
種の収穫時期と保管方法

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鮮やかな赤いさやが成熟し、自然にパカっと裂けて中から美しい黒い種が見えてきたら、それは待ちに待った収穫の合図です。
このタイミングを逃さないことが、発芽率の高い良い種を手に入れるための最初のステップとなります。焦って未熟なうちに収穫してしまうと、種に発芽能力が備わっていないため注意が必要です。
種を収穫するベストなタイミング
さやが完全に乾燥し、自然に裂けて、中の種が今にもこぼれ落ちそうになっている状態が、最も成熟した収穫の適期です。さやごと枝から優しくひねるようにして取り外しましょう。
種はさやに白い糸のようなものでかろうじて繋がっている状態なので、指で簡単に採取できます。
採取したての種は、表面に少しぬめりや果肉が付着していることがあるため、後でカビが生えるのを防ぐために、流水できれいに洗い流してください。
発芽率を維持するための正しい種 保管方法
収穫した種をすぐに蒔かない場合は、種が持つ発芽能力をできるだけ維持したまま「休眠」させておく必要があります。適切な処理と保管を行わないと、種はあっという間に劣化してしまいます。
- しっかりと乾燥させる
水洗いした種を、キッチンペーパーなどの上に広げ、直射日光の当たらない風通しの良い場所で数日間、完全に乾燥させます。中途半端な乾燥はカビの原因になります。 - 光と空気を遮断する
完全に乾燥した種を、中身が透けない小さな紙の封筒や、チャック付きのポリ袋などに入れます。湿気対策として、小さな乾燥剤を一緒に入れるとより効果的です。 - 冷蔵庫で低温保存する
種を入れた封筒や袋を、温度変化の少ない冷蔵庫の野菜室などで保管します。低温・低湿・暗所の環境が、種の長期休眠に最も適しています。
この方法により、種の呼吸を最小限に抑え、エネルギーの消耗を防ぐことができます。
しかし、どんなに丁寧に保管しても発芽率は少しずつ低下していくため、できれば収穫した次の春(種まきの適期)までには蒔くことをおすすめします。
エバーフレッシュの発芽率はどのくらい?

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エバーフレッシュの種は、数ある観葉植物の中でも比較的発芽しやすく、初心者でも成功体験を得やすい部類に入ります。
採取したばかりの新鮮で状態の良い種を、適切な条件下で蒔けば、かなりの高確率で可愛らしい双葉を拝むことができるでしょう。
ただし、その発芽率は、種の「鮮度」「保管状態」「種まき環境」という三つの要素に大きく左右されます。言うまでもなく、収穫したての種をすぐに蒔くのが最も高い発芽率を期待できます。
前述の方法で冷蔵保管した種も発芽しますが、保管期間が長くなるほど、その力は少しずつ失われていきます。
発芽成功率を最大限に高めるための4つの秘訣
- ① 新鮮な種を選ぶ
何よりもこれが一番重要です。収穫してから1年以内、できれば半年以内に蒔くのが理想です。 - ② 発芽のスイッチを入れる「吸水」
種まきの前日、種をコップなどの容器に入れ、一晩(8〜12時間程度)水に浸けておきます。乾燥して休眠状態にあった種が水分を吸収し、目を覚ますきっかけとなります。 - ③ 発芽に適した「温度」を保つ
発芽には20℃〜25℃程度の安定した気温が必要です。日本の気候では、春(5月頃)から初夏(7月上旬頃)が種まきのベストシーズンです。 - ④ 病気を防ぐ「清潔な土」を使う
大人の植物が使う肥料入りの土は、若い芽には刺激が強すぎたり、雑菌が多かったりします。必ず、肥料分が含まれていない清潔な「種まき・さし木用の土」や「バーミキュライト」を使いましょう。
1つの種だけだと失敗する可能性もあるので、できれば5粒以上、同時に蒔いてみることをおすすめします。
数週間後、土の中から小さな双葉が力強く顔を出す瞬間は、これまでの苦労が報われる、本当に感動的な体験ですよ!
発芽後は、徐々に明るい場所に慣らし、本葉が数枚出てきたら、小さな鉢に植え替えて本格的な育成をスタートさせます。
総括:エバーフレッシュの受粉で実がなるまで
この記事では、エバーフレッシュの開花から受粉、そして実がなり種を収穫するまでの一連のプロセスを、各ステップで詳しく解説しました。最後に、あなたがエバーフレッシュとの豊かな生活を末永く楽しむための、最も重要なポイントをリスト形式で再確認しましょう。
チェックリスト
- エバーフレッシュの花は珍しくないが家庭で咲かせるには条件が必要
- 開花には十分な日光、適切な温度、株の成熟が不可欠
- 花が咲いた後に実がなるには受粉というステップが必要
- 室内では綿棒などを使った人工受粉が効果的
- 受粉しても実がならないのはタイミングや株の体力が原因のことがある
- 花を咲かせるには剪定や適切な施肥がコツとなる
- 実がなったら種を収穫するために成熟させるか株のために摘み取るか選ぶ
- 水やりは毎日ではなく土の表面が乾いたらたっぷりが基本
- 実は観賞用であり絶対に食べることはできない
- 赤いさやが自然に裂けたら種収穫のタイミング
- 収穫した種は乾燥させて冷蔵庫で保管する
- 発芽率は比較的高く新鮮な種ほど成功しやすい
- 種まき前には一晩水に浸けて吸水させると良い
- 発芽には20℃以上の温度が必要
- 受粉から結実、種まきまでの一連のサイクルはエバーフレッシュ栽培の醍醐味